講演情報

[S2-05]施設入所要介護高齢者における睡眠効率に関連する要因の検討

*田中 昭成1、當利 賢一2、野口 大助1、時里 香3、野尻 晋一2 (1. 熊本機能病院 総合リハビリテーション部、2. 介護老人保健施設 清雅苑 リハビリテーション部、3. 熊本機能病院 リハビリテーション科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

施設入所要介護高齢者、睡眠効率、非装着型睡眠計

【はじめに、目的】
睡眠効率は睡眠の質を表す指標であり,年齢に伴い悪化する.しかし,認知機能,日常生活動作能力,睡眠関連要因を含めた関連因子については検討されていない.本研究では施設入所要介護高齢者の睡眠効率に関連する要因を明らかにすることを目的とした.
【方法】
研究デザインは横断研究とし,対象は2021年4月1日から2025年11月30日までに介護老人保健施設に新規入所した266名である.除外基準は重度認知機能障害や失語症,ベッド上安静が必要,欠損値がある者とした.パラマウントベッド株式会社製非装着型睡眠計(眠りSCAN)を用いて,入所後1週間の睡眠効率(在床時間のうち睡眠時間が占める割合)と夜間睡眠時間(実際に夜間眠っている時間の合計)と日中離床時間を調査した.取得した睡眠効率を目的変数とし,基本属性(性別,年齢,BMI),臨床要因(慢性疼痛の有無,睡眠薬使用の有無,Hasegawa’s Dementia Scale-Revised(HDS-R),Barthel Index(BI)),睡眠関連要因(夜間睡眠時間,日中離床時間)を説明変数として階層的重回帰分析を実施した.モデル1には基本属性,モデル2には基本属性および臨床要因,モデル3には基本属性,臨床要因および睡眠関連要因を投入した.有意水準は0.05とした.
【結果】
最終的な解析対象者は184名(女性:72.3%,年齢:中央値87歳)であった.睡眠効率は中央値74%,夜間睡眠時間は中央値8時間15分,日中離床時間は中央値8時間59分であった.階層的重回帰分析の結果,モデル1およびモデル2では性別のみが有意な関連を示した.一方,睡眠関連要因を追加したモデル3では,性別(β=0.078,p=0.007),HDS-R(β=0.067,p=0.031),BI(β=0.166,p<0.001),夜間睡眠時間(β=0.944,p<0.001),日中離床時間(β=0.300,p<0.001)が睡眠効率と有意に関連した.自由度調整済み決定係数は0.86であった.分散拡大係数はいずれも2未満であった.
【考察】
認知機能および日常生活動作能力は,睡眠習慣や生活リズムと関連しながら睡眠効率に関与している可能性がある.施設入所要介護高齢者の良好な睡眠効率の維持には,適切な夜間睡眠時間と十分な日中離床時間の双方を確保することが重要である可能性が示唆された.
【結論】
施設入所要介護高齢者の睡眠効率には,認知機能,日常生活動作能力,睡眠関連要因が複合的に関与していることが示された.
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当法人研究審査委員会で承認を得た(JMC420-2524).本研究は診療録を用いた調査研究であり,文書,口頭による同意取得は行わない.但し,人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を遵守し,研究についての情報を公開し,対象者が個人情報を研究に利用されることを拒否出来る機会を保障した.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン