講演情報

[P14-06]認知症を有する終末期がん患者の社会参加を地域資源と多職種連携で支援した一症例報告

*西尾 光史1 (1. セントケア訪問看護ステーション城北)
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キーワード:

終末期、社会参加、多職種連携

【はじめに、目的】緩和ケア主体のがんリハビリテーションでは、患者・家族の希望を踏まえ、QOL維持・向上を支え、尊厳や自律性を保ち、意味ある目標の達成を支える視点が重要とされている。一方、認知症を合併する活動の達成が本人の意欲に結びつきにくいことがある。本報告では、認知症を有する終末期がん患者に対し、ICFの視点から参加制限要因を整理し、多職種・家族・地域資源との協働により、本人の人生史に根ざした活動を社会参加へ発展させた経過を報告する。【症例紹介、評価結果と問題点】本症例はアルツハイマー型認知症を有する大腸がん終末期患者、89歳女性。2025年8月より訪問看護サービスで介入を開始した。本人・家族は積極的治療を行わない方針で、家族は「最期まで本人らしく過ごしてほしい」と希望した。MMT4~5、関節可動域制限はなく屋内歩行は自立。連続歩行時間は約1分で左下腿後面痛(NRS8/10)が出現し歩行継続は困難であった。EQ-5Dは0.589、LSAは29.5で生活空間は限定されていた。左大腿静脈に血栓を認め、運動負荷の安全管理が課題であった。参加制限要因は、疼痛・血栓に伴う安全性への懸念、排泄に関する家族不安と外出先情報不足、認知症による反復支援の必要性であった。【介入内容と結果】主治医と連携し、疼痛時は休憩を挟み運動継続可能と許可を得た。介入初期は疼痛に配慮した歩行練習を行った。1か月で近隣店舗まで歩行可能となったが、その達成は記憶に残りにくかった。そこで、本人が以前取り組んでいた紀州よさこいに着目し、11月の祭り見学を目標とした。家族不安に対し、外出先の排泄環境を整理し、見通しを共有した結果、見学が実現した。本人は翌日以降も「楽しかった」と話され、体験は保持された。さらに、過去に習得していた踊り動作の一部が再現可能であったため、1月に施設行事として披露を企画した。理学療法士は踊り動作時の転倒リスクを評価し、簡略化動画を作成して家族・看護師と共有した。看護師は反復を支援し、介護職は施設行事として調整した。当日は元チームメイトと総踊りを笑顔で計4回披露できた。LSAは42へ改善した。【考察】本症例では、歩行距離の延長のみでは成功体験として定着しにくかった一方、人生史に根ざしたよさこいへの参加は記憶に残り、発話や笑顔を引き出した。人生史に根ざした活動への参加は、認知症を有する終末期患者においても、意欲や本人らしさを支える契機となる可能性が示唆された。また、参加の実現は機能改善のみでなく、環境因子と支援体制の調整により成立したと考えられる。単一症例であり一般化には限界があるが、ICFに基づき参加制限要因を整理し、本人の価値観や家族不安を踏まえて多職種・地域資源と協働することが、終末期患者の社会参加を支援する上で重要であることが示唆された。【倫理的配慮、説明と同意】個人が特定されないよう匿名化し、本人・家族に説明し同意を得た。

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