講演情報

[O7-03]反省事例を契機とした多機関協働により重度訪問介護の普及と定着を図った活動報告―有効に働いた要因考察―

*古川 博章1、石垣 智也2、高尾 耕平3、高尾 優一4、平田 康介5、山内 みかる1、中村 洋子1 (1. 訪問看護ステーションほっぷ、2. 畿央大学大学院 健康科学研究科、3. 介護老人保健施設大阪緑ヶ丘 リハビリテーション科、4. 原田病院 在宅支援部 訪問リハビリテーション、5. 川口脳神経外科リハビリクリニック)
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キーワード:

重度訪問介護、多機関連携、制度普及

【はじめに】重度障害者が在宅生活を継続するには,適切な介護サービス利用が必要となる.障害者総合支援法に基づくサービスとして重度訪問介護(以下,重訪)があるものの,その利用には支援者の制度理解や事業所不足などを背景に地域差があるとされている.本報告では,重訪利用の実績がなかった圏域において,一事例の反省を契機に多機関協働で取り組んだ重訪の普及と定着に向けた活動を振り返り,その過程で有効に働いた要因について考察する.
【活動内容】X-15ヶ月に筋萎縮性側索硬化症の事例を訪問リハビリテーションで担当した.当時,事例本人が希望する在宅療養の継続と主介護者の介護負担感軽減を目的に重訪利用を検討したが,当該圏域(A圏域)では利用実績がなく,対応可能な事業所もなかったため,制度利用には至らなかった.その後,X日に主介護者の介護負担感増大を理由に在宅療養が終了し長期入院となった.この事例の経過と課題を教訓として文書化し,X+7ヶ月にA圏域の保健所へ研修企画を提案した.X+10ヶ月には,保健所主催の難病従事者研修を担当する機会を得た.研修には行政職員,看護師,ケアマネジャー(以下,CM)などが参加し,事例報告を基に介護者の介護負担感に関する課題と重訪の必要性を共有した.研修を契機に,行政・保健所の職員,CMが中心となって圏域周辺の事業所などに重訪への対応を働きかけ,X+17ヶ月に自事業所の利用者がA圏域初の重訪利用者となった.X+20ヶ月には,制度利用の啓発を目的に,圏域内のCMや医療・介護職を対象とした自事業所主催の研修会を開催し,行政・保健所の職員,CM,障害者生活相談員が話題提供を行った(参加者61名).さらに,X+24ヶ月には,A圏域で最初に重訪を利用した主介護者,重訪職員,担当CMによる対談企画を自事業所,保健所,行政,CM専門員会で共催し,当事者視点から制度利用の実際を共有した(参加者72名).
【成果】A圏域の保健所が把握する重訪利用者の各時点における累積人数は,X+24ヶ月:2名(2名),X+30ヶ月:3名(2名),X+33ヶ月:5名(2名),X+43ヶ月:6名(3名)と推移した(括弧内:累積人数の内,自事業所利用者の人数).
【結論】具体的な反省事例から得られた教訓を言語化し,地域課題として多機関で共有したことが課題解決の端緒となった可能性がある.また,制度利用の普及・定着には,行政,保健所,CM,障害福祉関係者などの関係機関・職種を,目的に応じて巻き込みながら協働することが必要と考えられる.特に,当事者の体験談を共有することは,支援者の課題意識を高め,制度利用の普及・定着を促す有効な啓発手段となり得る.
【倫理的配慮,説明と同意】本報告にあたり,事例の個人情報とプライバシーの保護に配慮し,活動内容に関連した事例および関係機関に対して報告の趣旨を説明し同意を得た.

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