講演情報

[P9-05]要介護高齢者における自律性の評価:Impact on Participation and Autonomy for Older Persons日本語版開発

*尾川 達也1,2、石垣 智也3、清水 夏生4、宮田 一弘5、野口 泰司6、松本 大輔3、上村 一貴7、森岡 周1 (1. 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター、2. 西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部、3. 畿央大学大学院 健康科学研究科、4. 埼玉医科大学 保健医療学部理学療法学科、5. 茨城県立医療大学 保健医療学部理学療法学科、6. 浜松医科大学 健康社会医学講座、7. 大阪公立大学 医学部リハビリテーション学科)
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キーワード:

要介護高齢者、自律性、評価

【はじめに、目的】
高齢者のwell-being実現に向け,身体機能と共に尊厳も重視され,自律性が確保された暮らしの支援が求められる.しかし本邦では,自律性の評価方法が不確立であり,日常生活における自己決定状況を客観的に捉えることが難しい.高齢者に特化した自律性尺度としてImpact on Participation and Autonomy-Older persons(IPA-O)があり,その日本語版を開発することで尊厳にも配慮した実践に資すると考える.本研究ではIPA-Oの日本語版(IPAO-J)を開発し,要介護高齢者を対象に信頼性と妥当性を検証した.
【方法】
対象は65歳以上の要介護高齢者104名(80.4±7.4歳)とした.調査項目は属性情報の他,ADLにBarthel Index(BI),IADLにFrenchay Activities Index(FAI),社会的支援に家族・友人のサポート数,QOLにSF-8を用いた.IPA-Oは移動やセルフケア,家の中や周辺での活動,経済状況,時間の使い方,社会的関係,他者への援助・支援および総括項目の計22項目で構成される自記式質問紙である.回答は「非常にそう思う:0点」から「全くそう思わない:4点」の5件法で,得点が低いほど自律性が高いことを示す.本研究では全項目の標準化平均点を分析に用いた.尺度特性はCOSMINに従い内部一貫性,再テスト信頼性の他,構成概念妥当性はIPA-Oが形成的モデルであることを踏まえ,先行研究に基づき事前に設定した仮説を検証した.有意水準は5%とした.
【結果】
IPAO-Jの全項目におけるCronbach’s α係数は0.89であり,許容可能な内部一貫性が確認された.再評価は50名に行い(間隔:14.7±2.6日),ICC(1,1)は0.79であった.構成概念妥当性は設定した10仮説のうち7仮説が支持された.特に,BI(ρ=-0.41)やFAI(ρ=-0.47)と負の相関を示し,友人の社会的支援(ρ=-0.38)やSF-8の精神的側面(ρ=-0.41)とも有意な相関を認めた.一方,教育歴や多疾患併存,SF-8の身体的側面との関係性は仮説と一致しなかった.IPAO-Jの領域別得点では,時間の使い方や経済状況が低かった一方,社会的関係および他者への援助・支援では高い傾向を示した.
【考察】
事前に設定した仮説の70%が支持され,IPAO-Jの構成概念妥当性は概ね確認された.また,要介護高齢者の自律性は一様ではなく,私的領域では維持されやすい一方,社会的領域では環境や対人関係の影響を受けやすい可能性が示唆された.
【結論】
IPAO-Jは,要介護高齢者の自律性を評価する上で一定の信頼性および妥当性を有する尺度であることが示された.本結果は,自律性が多面的かつ文脈依存的な構成概念であることを支持しており,要介護高齢者の自律性を把握する新たな尺度となり得る.
【倫理的配慮、説明と同意】
畿央大学研究倫理委員会の承認(番号:R7-05)を得ている.対象者にはヘルシンキ宣言に基づき本研究の内容や個人情報の取り扱いに配慮する旨を説明し,書面による同意を得た.

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