講演情報

[S2-01]訪問リハ利用者における身体機能とアパシーの組み合わせが主観的健康感に及ぼす影響―1年間の縦断研究―

*小林 太志1、斉藤 未幸1、小林 真央1、松館 史也1 (1. 盛岡つなぎ温泉病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

主観的健康感、アパシー、反応シフト

【はじめに、目的】
高齢者の身体機能低下やアパシーは主観的健康感に影響するが、両者の組み合わせによる変化への影響は不明である。本研究の目的は、訪問リハ利用者において身体機能とアパシーの状態別に主観的健康感(EQ-VAS)の1年変化を検討することである。
【方法】
対象は完全解析例57名(平均81.1±9.9歳、男性26.3%)。baselineと1年後にEQ-VAS、EQ-5D-3Lを測定した。アパシーはApathy Scale(AS)中央値17点、身体機能は簡易身体パフォーマンス検査(以下、SPPB)中央値3点(感度分析は既報の6点)で二値化し4群を作成。EQ-5D-3Lの天井効果を踏まえEQ-VASを主要指標とした。解析はMMRMを用い、Time、Group、Time×Groupを固定効果、IDをランダム効果とし、利用開始からbaselineまでの日数とSPPB変化量を調整した。
【結果】
主解析では低SPPB×高AS群が最も低いbaseline値を示し、1年後にEQ-VASが改善(+13.8、p=0.031)、高SPPB×高AS群は低下傾向(−9.3)を示した。感度分析も同様に、低SPPB×高AS群は+10.43、高SPPB×高AS群は−11.67であった。EQ-5D-3Lは天井効果を認めた。共変量は非有意であった。
【考察】
EQ-VASは個人の「期待値」と「現実」の乖離に影響される。高SPPB×高AS群の低下は、機能維持による「動けるはず」という期待値の高さに対し、アパシーによる活動性低下という現実が生じ、その負のギャップが主観的健康感の低下を招いたと考えられた。一方、低SPPB×高AS群の改善は、当初の期待値が著しく低かった状態に対し、訪問リハでの成功体験や対人接触が、健康に対する内部基準を変化させる反応シフトを導き、期待値を上回る正のギャップを生んだためと解釈できる。機能変化量調整後も群間差は維持され、EQ-VAS変化にはアパシーと機能の組み合わせの関連が示唆された。限界はEQ-VASが単一項目であり健康関連QOL全体を代表しない点、小サンプル化である。
【結論】
EQ-VASは低SPPB×高AS群で改善し高SPPB×高AS群で低下した。変化量は先行研究のMCID(7〜10点)を上回り臨床的意義が示された。訪問リハでは機能面のみならずアパシーを踏まえた支援が重要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施し、所属施設倫理委員会の承認を得た。対象者情報は匿名化し、個人情報保護に配慮した。

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