講演情報
[P16-04]地域在住高齢者を対象とした運動教室による健康関連QOL改善の関連因子―responder解析を用いた検討―
*宮下 貴弘1、野牧 祐一郎1、新井 愛2、依田 やよい2、小須田 文俊1 (1. 佐久総合病院小海分院 理学療法科、2. 長野県小海町地域包括支援センター)
キーワード:
健康関連QOL、地域在住高齢者、responder解析
【はじめに,目的】
地域在住高齢者を対象とした運動教室は,身体機能や健康関連QOL(HRQOL)を改善させるが,「臨床的に意味のあるQOL改善」をもたらす対象者の特徴は十分解明されていない.本研究は,運動教室がHRQOLに及ぼす影響を検証し,最小重要差(MID)に基づいた臨床的改善を示す者(responder)の特徴およびHRQOL改善に関連する因子を検討することを目的とした.
【方法】
本研究は単群前後比較研究とし,二次解析としてresponder解析を行った.対象は全12回(週1回,約3か月)の運動教室に参加した高齢者のうち,初回および最終回で評価が可能であった19名(75.1±7.2歳,女性14名)とした.評価項目はHRQOL(EQ-5D-5L index,EQ-VAS),身体機能(握力,片脚立位時間,長座体前屈,TUG,5m歩行,5回立ち上がり)とした.統計解析は対応のあるt検定を用いて前後比較を行った.先行研究に基づくMIDより,本研究では0.05以上の改善をresponderと定義し,群間比較には正規分布に応じてt検定またはMann–WhitneyのU検定を用いた.さらにEQ-5D-5L indexの変化量と身体機能および各構成要素の変化との関連を相関分析により検討した.
【結果】
EQ-5D-5L indexは介入前後で有意に改善したが(0.854→0.908,p=0.042),EQ-VASは有意差を認めなかった(p=0.304).身体機能は片脚立位時間を除く全項目で有意に改善した(p<0.05).responderは10名(52.6%)であり,非responder群に比べベースラインのEQ-5D-5L indexが有意に低値であったが(p<0.001),年齢,性別,身体機能の変化量に有意差はなかった.相関分析では,「移動の程度」「ふだんの活動」「不安・ふさぎ込み」の変化とHRQOL変化量との間に有意な関連を認めた.
【考察】
HRQOLの臨床的改善は身体機能の変化量とは関連せず,初期HRQOLの低さ,および「移動の程度」「ふだんの活動」「不安・ふさぎ込み」の改善と関連していた.これは,運動教室への参加が単なる機能回復に留まらず,自己効力感や活動性,不安といった心理・行動面の変化をもたらし,HRQOL向上に寄与した可能性がある.また,ベースラインのHRQOLが低い対象者ほど改善を示したことから,介入効果は初期状態に依存する傾向が示された.
【結論】
地域運動教室は,高齢者のHRQOLおよび身体機能の改善に寄与し,特に初期HRQOLが低い対象者において臨床的に意味のある改善が得られる傾向が示された.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,所属施設の臨床研究・治験センターの承認を得て実施した(承認番号:R202509-02).
地域在住高齢者を対象とした運動教室は,身体機能や健康関連QOL(HRQOL)を改善させるが,「臨床的に意味のあるQOL改善」をもたらす対象者の特徴は十分解明されていない.本研究は,運動教室がHRQOLに及ぼす影響を検証し,最小重要差(MID)に基づいた臨床的改善を示す者(responder)の特徴およびHRQOL改善に関連する因子を検討することを目的とした.
【方法】
本研究は単群前後比較研究とし,二次解析としてresponder解析を行った.対象は全12回(週1回,約3か月)の運動教室に参加した高齢者のうち,初回および最終回で評価が可能であった19名(75.1±7.2歳,女性14名)とした.評価項目はHRQOL(EQ-5D-5L index,EQ-VAS),身体機能(握力,片脚立位時間,長座体前屈,TUG,5m歩行,5回立ち上がり)とした.統計解析は対応のあるt検定を用いて前後比較を行った.先行研究に基づくMIDより,本研究では0.05以上の改善をresponderと定義し,群間比較には正規分布に応じてt検定またはMann–WhitneyのU検定を用いた.さらにEQ-5D-5L indexの変化量と身体機能および各構成要素の変化との関連を相関分析により検討した.
【結果】
EQ-5D-5L indexは介入前後で有意に改善したが(0.854→0.908,p=0.042),EQ-VASは有意差を認めなかった(p=0.304).身体機能は片脚立位時間を除く全項目で有意に改善した(p<0.05).responderは10名(52.6%)であり,非responder群に比べベースラインのEQ-5D-5L indexが有意に低値であったが(p<0.001),年齢,性別,身体機能の変化量に有意差はなかった.相関分析では,「移動の程度」「ふだんの活動」「不安・ふさぎ込み」の変化とHRQOL変化量との間に有意な関連を認めた.
【考察】
HRQOLの臨床的改善は身体機能の変化量とは関連せず,初期HRQOLの低さ,および「移動の程度」「ふだんの活動」「不安・ふさぎ込み」の改善と関連していた.これは,運動教室への参加が単なる機能回復に留まらず,自己効力感や活動性,不安といった心理・行動面の変化をもたらし,HRQOL向上に寄与した可能性がある.また,ベースラインのHRQOLが低い対象者ほど改善を示したことから,介入効果は初期状態に依存する傾向が示された.
【結論】
地域運動教室は,高齢者のHRQOLおよび身体機能の改善に寄与し,特に初期HRQOLが低い対象者において臨床的に意味のある改善が得られる傾向が示された.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,所属施設の臨床研究・治験センターの承認を得て実施した(承認番号:R202509-02).
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