講演情報
[P13-05]在宅緩和ケア利用者の家族介護者支援の1事例-予期的な不安の把握と支援導入時期に着目してー
*田端 真一郎1、齊藤 浩平1、池田 耕二2 (1. 森山メモリアル病院指定訪問リハビリテーション事業所東出張所、2. 奈良学園大学保健医療学部リハビリテーション学科)
キーワード:
在宅緩和ケア、家族介護者支援、予期的な不安
【はじめに、目的】
在宅緩和ケアでは、家族介護者支援の重要性が指摘されている。一方、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)における支援導入時期や評価視点は十分に整理されていない。本報告の目的は、在宅緩和ケアを受けるがん患者の家族介護者への多要素介入を実施した1事例から、予期的な不安に着目した支援導入時期に関する臨床的示唆を得ることである。
【事例紹介、評価結果と問題点】
事例は、上行結腸癌術後再発に右肺・肋骨転移および胸膜播種を伴う80歳代後半のA氏(被介護者)と同居する妻(主介護者)である。訪問リハ開始時(X月)、余命の見立てから1か月以上経過していたが、A氏に余命告知はなされていなかった。A氏のFunctional Independence Measure(以下、FIM)は121点で、全項目が修正自立レベル以上であった。X+3か月に妻から意思疎通の悩みや腰痛の訴えがあり、介護者評価を行った。Burden Index of Caregiver(以下、BIC-11)は13/44点、the Adult Social Care Outcomes Toolkit Carer(以下、ASCOT-C)は0.75、介護肯定感尺度は44/56点であった。BIC-11では「よく思う」以上の回答はなく、「時間的負担感」が最も高かった。さらに、不安チェックリストにより、将来の見通し、健康、関わり方などに関する予期的な不安が確認された。
【介入内容と結果】
X月より週2回40分の訪問リハを開始し、日常生活動作能力の維持を目的に運動療法を行った。X+3か月から、妻への心理・教育的介入、介助方法指導、多職種への情報共有などの多要素介入を追加した。X+4か月では生活リズムの乱れや不穏が増加し、FIMは69点へ低下した。BIC-11は22点、ASCOT-Cは0.63へ悪化したが、「個々人の安全」「支援や励ましを受けているという思い」は改善し、介護肯定感尺度は維持された。X+4か月下旬に往診体制上の都合で2週間の予定で入院となったが、X+5か月に逝去し支援は終了した。
【考察】
本事例では、BIC-11において明確な介護負担感が認められない時点でも、将来の見通しや関わり方に関する予期的な不安が確認された。家族介護者支援の導入を検討する際には、介護負担感や社会的ケア関連QOLの総合スコアのみならず、予期的な不安にも着目することが重要であり、予期的な不安の表出が支援導入の契機となる可能性が示唆された。
【結論】
在宅緩和ケアにおいて、予期的な不安の表出は家族介護者支援導入の契機となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告にあたり筆頭演者が所属する機関の倫理審査委員会にて承認を受けた (審査番号:49)。対象者の家族には、個人情報とプライバシーの保護に配慮し、説明を行った上で口頭および書面にて同意を得た。
在宅緩和ケアでは、家族介護者支援の重要性が指摘されている。一方、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)における支援導入時期や評価視点は十分に整理されていない。本報告の目的は、在宅緩和ケアを受けるがん患者の家族介護者への多要素介入を実施した1事例から、予期的な不安に着目した支援導入時期に関する臨床的示唆を得ることである。
【事例紹介、評価結果と問題点】
事例は、上行結腸癌術後再発に右肺・肋骨転移および胸膜播種を伴う80歳代後半のA氏(被介護者)と同居する妻(主介護者)である。訪問リハ開始時(X月)、余命の見立てから1か月以上経過していたが、A氏に余命告知はなされていなかった。A氏のFunctional Independence Measure(以下、FIM)は121点で、全項目が修正自立レベル以上であった。X+3か月に妻から意思疎通の悩みや腰痛の訴えがあり、介護者評価を行った。Burden Index of Caregiver(以下、BIC-11)は13/44点、the Adult Social Care Outcomes Toolkit Carer(以下、ASCOT-C)は0.75、介護肯定感尺度は44/56点であった。BIC-11では「よく思う」以上の回答はなく、「時間的負担感」が最も高かった。さらに、不安チェックリストにより、将来の見通し、健康、関わり方などに関する予期的な不安が確認された。
【介入内容と結果】
X月より週2回40分の訪問リハを開始し、日常生活動作能力の維持を目的に運動療法を行った。X+3か月から、妻への心理・教育的介入、介助方法指導、多職種への情報共有などの多要素介入を追加した。X+4か月では生活リズムの乱れや不穏が増加し、FIMは69点へ低下した。BIC-11は22点、ASCOT-Cは0.63へ悪化したが、「個々人の安全」「支援や励ましを受けているという思い」は改善し、介護肯定感尺度は維持された。X+4か月下旬に往診体制上の都合で2週間の予定で入院となったが、X+5か月に逝去し支援は終了した。
【考察】
本事例では、BIC-11において明確な介護負担感が認められない時点でも、将来の見通しや関わり方に関する予期的な不安が確認された。家族介護者支援の導入を検討する際には、介護負担感や社会的ケア関連QOLの総合スコアのみならず、予期的な不安にも着目することが重要であり、予期的な不安の表出が支援導入の契機となる可能性が示唆された。
【結論】
在宅緩和ケアにおいて、予期的な不安の表出は家族介護者支援導入の契機となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告にあたり筆頭演者が所属する機関の倫理審査委員会にて承認を受けた (審査番号:49)。対象者の家族には、個人情報とプライバシーの保護に配慮し、説明を行った上で口頭および書面にて同意を得た。
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