講演情報
[P4-03]移動能力の回復から生活の再構築へ
―脳卒中者の退院後フォローアップにおける目標の変容―
*乾 康浩1、岩本 健吾1、山田 祐子2、留松 恵里3、杉江 美穂4、林 雅弘4 (1. 奈良県総合リハビリテーションセンター リハビリテーション科、2. 奈良県総合リハビリテーションセンター 看護部、3. 奈良県総合リハビリテーションセンター 地域連携室、4. 奈良県総合リハビリテーションセンター 診療部)
キーワード:
脳卒中、退院後、目標設定
【はじめに】脳卒中者に対する回復期リハビリテーションでは,歩行能力や日常生活活動の獲得が重要な目標となる。しかし,退院後の地域生活では,復職や趣味活動,家族との関係など,より個別的で多様な課題に直面することが少なくない。そのため,退院時の目標が地域生活の中でどのように変化するのかを把握することは重要である。今回,当院で実施している脳卒中者に対する退院後フォローアップ事業で把握された目標の変化から,退院後支援の課題について検討したため報告する。
【実践内容】対象は,当院回復期リハビリテーション病棟から自宅退院予定の脳卒中者7名とした。退院時,退院3ヵ月後,退院6ヵ月後にAid for Decision-making in Occupation Choice(ADOC)を実施し,目標設定および満足度(1~5)を確認した。ADOCは,イラストを用いて対象者にとって重要な生活行為や役割を選択し,目標設定を支援するツールである。目標内容は,<移動><生活自立><その人らしい生活の再構築>の3つの視点から整理した。<移動>には歩行や公共交通機関利用などの移動手段の獲得を,<生活自立>には入浴や調理などの生活活動の獲得を、<その人らしい生活の再構築>には,復職,趣味活動など,本人が価値を置く生活行為や社会的役割の再獲得を含めた。
【成果や課題】退院時に<移動>を主な目標としていた対象者では,満足度が向上した(退院時1→退院6ヵ月後4~5)。また,入浴や調理など<生活自立>に関する目標の満足度も高かった(退院時1→退院6ヵ月後4~5)。一方で,<移動>や<生活自立>に満足した後,退院3ヵ月後に「完全に杖なしで生活する」「ゴルフを再開する」「ジョギングを行う」など,<その人らしい生活の再構築>に関する新たな目標を設定した対象者がみられた。退院時からこれらを目標としていた対象者もいたが,<その人らしい生活の再構築>に関する目標の満足度は,目標設定時期にかかわらず退院6ヵ月後においても概ね3点にとどまっていた。
【今後の展望または結論】脳卒中者の目標は,退院後の経過に伴い,移動能力の獲得,生活自立の達成を経て,本人にとって意味のある生活へと変容する可能性が示された。一方で,<その人らしい生活の再構築>に関する目標の満足度は退院6ヵ月後においても十分高いとは言えず,達成に時間を要する可能性が示唆された。移動や生活活動の獲得は重要な目標であるが,それ自体がゴールではなく,生活再構築の基盤である。理学療法士は退院時から本人らしい生活や社会的役割の再獲得を見据え,継続的なフォローアップを行う必要がある。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て実施された(承認番号: R5-リハNo. 1)。すべての参加者に対し、研究の目的・方法・不利益の有無・個人情報保護について文書および口頭で説明を行い、文書による同意を得た。
【実践内容】対象は,当院回復期リハビリテーション病棟から自宅退院予定の脳卒中者7名とした。退院時,退院3ヵ月後,退院6ヵ月後にAid for Decision-making in Occupation Choice(ADOC)を実施し,目標設定および満足度(1~5)を確認した。ADOCは,イラストを用いて対象者にとって重要な生活行為や役割を選択し,目標設定を支援するツールである。目標内容は,<移動><生活自立><その人らしい生活の再構築>の3つの視点から整理した。<移動>には歩行や公共交通機関利用などの移動手段の獲得を,<生活自立>には入浴や調理などの生活活動の獲得を、<その人らしい生活の再構築>には,復職,趣味活動など,本人が価値を置く生活行為や社会的役割の再獲得を含めた。
【成果や課題】退院時に<移動>を主な目標としていた対象者では,満足度が向上した(退院時1→退院6ヵ月後4~5)。また,入浴や調理など<生活自立>に関する目標の満足度も高かった(退院時1→退院6ヵ月後4~5)。一方で,<移動>や<生活自立>に満足した後,退院3ヵ月後に「完全に杖なしで生活する」「ゴルフを再開する」「ジョギングを行う」など,<その人らしい生活の再構築>に関する新たな目標を設定した対象者がみられた。退院時からこれらを目標としていた対象者もいたが,<その人らしい生活の再構築>に関する目標の満足度は,目標設定時期にかかわらず退院6ヵ月後においても概ね3点にとどまっていた。
【今後の展望または結論】脳卒中者の目標は,退院後の経過に伴い,移動能力の獲得,生活自立の達成を経て,本人にとって意味のある生活へと変容する可能性が示された。一方で,<その人らしい生活の再構築>に関する目標の満足度は退院6ヵ月後においても十分高いとは言えず,達成に時間を要する可能性が示唆された。移動や生活活動の獲得は重要な目標であるが,それ自体がゴールではなく,生活再構築の基盤である。理学療法士は退院時から本人らしい生活や社会的役割の再獲得を見据え,継続的なフォローアップを行う必要がある。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て実施された(承認番号: R5-リハNo. 1)。すべての参加者に対し、研究の目的・方法・不利益の有無・個人情報保護について文書および口頭で説明を行い、文書による同意を得た。
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