講演情報
[P10-05]地域在住高齢者における主観的老いと2ステップテストに基づくロコモティブシンドロームの関連
*稲村 泰成1,2、坂崎 純太郎3、松井 博史4、児玉 謙太郎5、室井 大佑3 (1. 亀田総合病院 リハビリテーション室、2. 畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション研究室、3. 千葉県立保健医療大学 健康科学部 リハビリテ ーション学科 理学療法学専攻、4. 大阪大学大学院 経済学研究科、5. 東京都立大学 大学教育センタ ー)
キーワード:
主観年齢、ロコモティブシンドローム、地域在住高齢者
【はじめに、目的】
主観年齢は実年齢に対して個人が感じる年齢であり、加齢における自己認識を反映する指標である。主観的老いを感じる高齢者ほど、死亡率上昇やQOL低下と関連することが報告されている。身体機能においては、歩行速度との関連が報告されており、主観的老いを理解する上で歩行機能が重要な側面である。一方で、歩行は速度という単一指標のみで捉えることはできない。そこで、我々はロコモティブシンドローム(以下ロコモ)という運動器障害により歩行に関わる機能低下を生じた状態に着目し、歩行速度で捉えきれない主観的老いを反映しうる可能性を考えた。本研究の目的は、地域在住高齢者を対象に、2ステップテストに基づくロコモが主観的老いを歩行速度に追加して説明するかを尤度比検定により検討することである。
【方法】
対象者は2025年に千葉県富津市で実施された体力測定会に参加した65歳以上の者とした。認知機能低下のある者、測定が実施できなかった者は除外した。主観年齢は実年齢と比較した主観的な年齢を「若い」、「年相応」、「老いている」の三件法で評価し、「若い」と回答した者を主観的若年群、「年相応」または「老いている」と回答した者を主観的老い群と定義した。歩行速度は助走路を設けた直線4mの快適歩行速度を測定した。ロコモは、2ステップテストの結果を身長で除した値の2ステップ値が1.3未満と定義した。階層的ロジスティック回帰にてModel 0(年齢+性別)、Model 1(+歩行速度)、Model 2(+ロコモ)を構築し、ΔDevianceに基づく尤度比検定でモデル適合度の改善を評価した。
【結果】
解析対象者は245名、年齢の平均±標準偏差は75.8±5.8歳、女性79.6%であった。主観的若年群は74名(75.8±5.6歳)、主観的老い群は171名(75.8±5.8歳)であった。Model 1では歩行速度追加によるモデル適合の有意な改善を認めなかった(ΔDeviance = 2.58、p = 0.108)。一方、Model 2ではロコモ追加によりモデル適合が有意に改善した(ΔDeviance = 5.64、p = 0.018)。ロコモのオッズ比は2.25(95%CI: 1.13–4.50)であった。
【考察】
本研究では、歩行速度を調整した後もロコモが主観的老いと関連した。これは、ロコモが歩行速度のみでは捉えきれない歩行機能の低下を反映すること、高齢者は歩行の多面的な機能低下を通じて自身の老いを認識している可能性を示唆する。主観的な老いを理解する上で、歩行速度に加えてロコモを評価する意義がある。
【結論】
地域在住高齢者において、ロコモは歩行速度とは異なる歩行機能の側面から主観的老いを追加的に説明する可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会で承認を受けた。
主観年齢は実年齢に対して個人が感じる年齢であり、加齢における自己認識を反映する指標である。主観的老いを感じる高齢者ほど、死亡率上昇やQOL低下と関連することが報告されている。身体機能においては、歩行速度との関連が報告されており、主観的老いを理解する上で歩行機能が重要な側面である。一方で、歩行は速度という単一指標のみで捉えることはできない。そこで、我々はロコモティブシンドローム(以下ロコモ)という運動器障害により歩行に関わる機能低下を生じた状態に着目し、歩行速度で捉えきれない主観的老いを反映しうる可能性を考えた。本研究の目的は、地域在住高齢者を対象に、2ステップテストに基づくロコモが主観的老いを歩行速度に追加して説明するかを尤度比検定により検討することである。
【方法】
対象者は2025年に千葉県富津市で実施された体力測定会に参加した65歳以上の者とした。認知機能低下のある者、測定が実施できなかった者は除外した。主観年齢は実年齢と比較した主観的な年齢を「若い」、「年相応」、「老いている」の三件法で評価し、「若い」と回答した者を主観的若年群、「年相応」または「老いている」と回答した者を主観的老い群と定義した。歩行速度は助走路を設けた直線4mの快適歩行速度を測定した。ロコモは、2ステップテストの結果を身長で除した値の2ステップ値が1.3未満と定義した。階層的ロジスティック回帰にてModel 0(年齢+性別)、Model 1(+歩行速度)、Model 2(+ロコモ)を構築し、ΔDevianceに基づく尤度比検定でモデル適合度の改善を評価した。
【結果】
解析対象者は245名、年齢の平均±標準偏差は75.8±5.8歳、女性79.6%であった。主観的若年群は74名(75.8±5.6歳)、主観的老い群は171名(75.8±5.8歳)であった。Model 1では歩行速度追加によるモデル適合の有意な改善を認めなかった(ΔDeviance = 2.58、p = 0.108)。一方、Model 2ではロコモ追加によりモデル適合が有意に改善した(ΔDeviance = 5.64、p = 0.018)。ロコモのオッズ比は2.25(95%CI: 1.13–4.50)であった。
【考察】
本研究では、歩行速度を調整した後もロコモが主観的老いと関連した。これは、ロコモが歩行速度のみでは捉えきれない歩行機能の低下を反映すること、高齢者は歩行の多面的な機能低下を通じて自身の老いを認識している可能性を示唆する。主観的な老いを理解する上で、歩行速度に加えてロコモを評価する意義がある。
【結論】
地域在住高齢者において、ロコモは歩行速度とは異なる歩行機能の側面から主観的老いを追加的に説明する可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会で承認を受けた。
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