講演情報

[P12-06]感染症BCP研修における運営判断トレーニングの試み―通所リハにおける事例検討型グループワーク―

*小嶌 康介1、後藤 悠太1、小川 実優1 (1. 西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

感染症BCP、通所リハビリテーション、事例検討型グループワーク

【はじめに】
BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)は、非常時においても必要なサービスを継続するための計画である。本邦では令和3年度の介護報酬改定において全ての事業所でBCPの策定が義務付けられ、多くの事業所で整備が進められている。しかし、感染症BCPでは計画が整備されていても実際の運営判断に迷いが生じることが少なくない。特に通所系サービスでは、感染対策のみならず、利用者安全、サービス継続、職員体制など複数要素を同時に考慮する必要があり、現場における判断過程を共有・訓練する機会は少ない。今回、通所リハビリテーション職員を対象に、感染拡大時の運営判断をテーマとした事例検討型研修を実施し、判断過程および学習効果について検討した。
【実践内容】対象は通所リハビリテーション事業所職員16名とした。研修参加への同意が得られた職員のうち1名は体調不良により欠席、2名は回答未提出であったため、前後比較可能であった13名を分析対象とした。研修では、感染性胃腸炎の集団発生を想定した架空事例を提示した。参加者はまず個人で、「通常運営」から「全面休止」までの5段階から運営判断を選択し、その理由を記載した。その後、3グループに分かれ、各自の判断根拠を持ち寄り意見交換を行い、グループとしての運営判断を検討した。各グループには進行補助を担うファシリテーターと、最終判断をまとめる管理者役を配置した。事前・事後アンケートでは「段階的運営調整の必要性」「優先サービスの判断」「運営判断時に考慮すべき要素の想起」「安全と組織継続を踏まえた判断意識」等について自己評価式5件法で評価した。また、グループごとの判断理由、重視した要因、迷った点を収集した。
【成果】個人判断では、多くの参加者が「一部縮小」を選択した一方、一部に通常運営寄り・休止寄りの判断も認めた。グループ判断では全3班とも「一部縮小」で一致した。各班が重視した要因として、「利用者の安全」「感染拡大防止」「サービス継続」が共通して挙げられたが、その優先順位は班ごとに異なっていた。また、「利用者安全とサービス継続の優先度」「判断基準の解釈」「情報不足」などが主な迷いとして挙げられた。事後アンケートでは、全項目において0〜2点の否定的回答の割合が減少した。
【結論】感染症BCPにおける運営判断では、感染対策のみでなく、安全性、サービス継続、組織運営など複数要素を調整する必要があることが示唆された。また、個人では判断が分かれる状況でも、グループ討議を通じて現実的な運営方針へ収束する過程が確認された。事例検討型グループワークは、感染症BCPの現場実装に向けた判断過程の共有・訓練手法として有用である可能性がある。
【倫理的配慮】参加者には研究の目的および個人情報の取り扱いについて説明し、文書による同意を得た。回答は匿名化して集計・分析を行なった。

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