講演情報

[P4-04]地域在住高齢者における主観的認知機能低下及び運動認知リスク症候群と健康関連指標の関連:横断研究

*木下 貴文1、松田 憲亮2、池田 拓郎3 (1. みずほ内科クリニック、2. 国際医療福祉大学福岡保健医療学部理学療法学科、3. 福岡国際医療福祉大学医療学部理学療法学科)
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キーワード:

主観的認知機能低下、運動認知リスク症候群、フレイル

【目的】主観的認知機能低下(SCD)及び運動認知リスク症候群(MCR)は,認知症の前臨床期に位置づけられており,簡便かつ非侵襲的な指標として注目されている.一方,我が国では高齢者の健康状態を把握する指標として後期高齢者質問票(QMCOO)や改訂日本語版CHS基準(J-CHS基準)などが活用されている.しかしながら,これら既存の健康関連指標で捉えられる高齢者の健康状態とSCD及びMCRとの関連は十分に検討されていない.SCD及びMCRは認知的,身体的脆弱性を同時に捉える修正可能な指標であり,高齢者の健康状態を早期に把握する補完的指標として活用できる可能性がある.本研究の目的は,地域在住高齢者のSCD及びMCRと健康関連指標との関連を横断的に検討し,これらの臨床的特徴を明らかにすることである.
【方法】地域在住高齢者138名を解析対象とした.SCDは主観的認知機能に関する質問5項目のうち,1項目以上に該当する場合とした.MCRはSCD及び歩行速度低下(集団平均-1SD未満)の両方を満たす場合とした.健康関連指標はQMCOO,身体的フレイル(J-CHS基準),社会的フレイル(Makizakoらの基準)を評価した.統計解析は対象者を健常群,SCD群,MCR群に分類し,群間比較及び多重比較検定を実施した.また,QMCOO得点,身体的フレイル及び社会的フレイルの有無を従属変数とした多変量解析を実施した.なお,身体的フレイルは歩行速度を除外した修正版J-CHS基準で再定義し,感度分析を実施した.
【結果】群間比較の結果,QMCOO得点及び身体的フレイル有病率に有意差を認め,MCR群は他群と比較して有意に高値を示した.多変量解析の結果,SCD及びMCRはQMCOO得点と有意な関連を認めた.身体的フレイルとはMCRのみ有意な関連を示し,歩行速度除外後もその関連は維持された.一方,社会的フレイルとはSCD及びMCRのいずれも有意な関連を認めなかった.
【考察】SCD及びMCRが高齢者の多面的脆弱性を捉える補完的指標として有用である可能性が示唆された.特にMCRは歩行速度除外後も身体的フレイルと有意な関連が維持されたことから,単なる歩行速度低下のみでは説明できない身体的フレイルと共通する病態を有している可能性がある.一方,SCD単独では身体的フレイルと有意な関連を認めなかった.先行研究ではSCDがMCRや身体機能低下に先行して出現する早期の認知的変化であることが報告されており,将来的にSCDが身体機能低下を伴うことで,身体的フレイルと関連の強いMCRへ進展する可能性がある.
【結論】SCDは高齢者の多面的脆弱性と関連する認知的脆弱性の指標として,MCRはこれに身体的脆弱性を伴うより進行した健康状態を反映する指標として,それぞれ異なる臨床的特徴を有する可能性が示された.
【倫理的配慮,説明と同意】対象者には本研究の目的及び研究参加の任意性を説明し,書面にて同意を得た.本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認(24-KS-013)を得ている.

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