講演情報

[P1-04]地域包括ケア病棟におけるShort Physical Performance Battery(SPPB)の有用性 -ADL改善との関連に着目して-

*長廣 健治1、田中 拓樹1、中島 貴史1 (1. 百年橋リハビリテーション病院 リハビリテーション部)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

地域包括ケア病棟、Short Physical Performance Battery(SPPB)、FIM利得

【はじめに、目的】
当院地域包括ケア病棟(以下、地ケア病棟)では、入退院時の機能評価にShort Physical Performance Battery(以下、SPPB)を使用している。SPPBは地域在住高齢者の転倒リスク予測に関する報告があるが、本研究では地ケア病棟患者におけるSPPBとFIM利得との関連性を調査・検討した。
【方法】
対象は当院地ケア病棟に入院した65歳以上の患者61名。除外基準はSPPB未評価者、施設入所者、レスパイト入院とした。カルテより後方視的に基本属性、HDS-R(20点以下を認知有とした)、入退院時SPPB、SPPB変化量(退院値-入院値)、FIM運動項目(以下mFIM)、mFIM利得(退院値-入院値)、入院日数等を調査した。mFIM利得の中央値11点以上を高利得群(n=35)、未満を低利得群(n=26)に分類した。さらにmFIM利得の関連要因を探るため、年齢、認知有無、入院時SPPB、SPPB変化量、入院時mFIM、入院日数の6項目を独立変数、2群分類を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を用いた。
【結果】
高利得群は年齢85[82-87]歳、女性率60%、認知有率49%、入院時SPPB 5±2.7点、退院時SPPB 7.1±2.6点、SPPB変化量2.1±2.2点、入院時mFIM 55[44-64]点、退院時mFIM 72.6±8.9点、mFIM利得18[13-24]点、入院日数47[29-59]日。低利得群は年齢82[78-86]歳、女性率58%、認知有率54%、入院時SPPB 5.3±2.9点、退院時SPPB 6.3±3.3点、SPPB変化量1±2.3点、入院時mFIM 62.4±10.1点、退院時mFIM 69±10.6点、mFIM利得7[4.5-10]点、入院日数33[25-57.5]日であった。二項ロジスティック回帰分析により、入院時SPPB(オッズ比:1.5、95%信頼区間:1.1-2、P=0.02)、SPPB変化量(オッズ比:1.6、95%信頼区間:1.1-2.2、P=0.01)が関連し、どちらも正に相関し、高利得に繋がる結果となった(モデルカイ2乗P:0.01、Hosmer Lemeshow P:0.49)。
【考察】
mFIM利得には、入院時SPPBおよびSPPB変化量が有意に関連していた。入院時SPPBは患者が持つ身体予備力を反映していると推察され、この基礎的下肢機能が高いほど予後が良好となり、結果としてmFIM利得の向上に繋がったと考えられる。したがって、入院時SPPBは予後予測を行う上で有用な指標になり得ることが示唆された。一方、立位バランスや歩行、立ち上がり能力の変化を見ているSPPB変化量は、トイレや移乗、移動などのFIM運動項目に影響しやすいと考えられる。そのため、入院期間中のSPPB向上がそのままmFIM利得の向上に繋がったと推察される。
【結論】
本研究により、入院時のSPPBとSPPBの変化がmFIM利得と有意に関連していることがわかった。このことから、SPPBは地ケア病棟患者における予後予測の因子、およびADL変化を反映する指標として有用であると考えられる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン