講演情報

[P1-05]地域包括ケア病棟の退院支援における共有意思決定の実践状況と課題
―理学療法士を対象とした調査―

*指宿 輝1、尾川 達也2、池田 勇太3、石垣 智也4、兒玉 慶司1 (1. 大分大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2. 西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部、3. 摂南総合病院 リハビリテーション科、4. 畿央大学大学院 健康科学研究科)
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キーワード:

地域包括ケア、退院支援、共有意思決定

【はじめに、目的】 
 地域包括ケア病棟(地ケア)では,在宅復帰率の向上や対象者が望む暮らしを実現するための支援が求められる。退院支援の過程では,退院先の選択や介護サービス利用など,対象者の価値観を踏まえた意思決定が不可欠であり,医療者と患者が協働で行う共有意思決定(Shared Decision Making:SDM)の重要性が指摘されている。しかし,地ケアの退院支援で,理学療法士(PT)が行うSDMの実践内容,意思決定に対する嗜好性や実践上の課題は明らかではない。本研究は地ケアのPTを対象に,退院支援におけるSDMの実践状況および嗜好性とともに,意思決定場面の課題について調査することを目的とした。
【方法】
 対象者は19施設の地域包括ケア病棟または病床に勤務するPT44名(年齢:31.8±9.9歳)とした。調査期間は2024年6月から9月とし,Google FormsによるWeb調査を行った。質問項目は,①多職種でのSDMの実践状況を評価するGroup’s SDM,②退院支援場面におけるPTの意思決定の嗜好性を評価するControl Preference Scale(CPS)③退院支援の意思決定場面における課題を自由記述にて回答を求めた。Group’s SDMは全10項目で構成され,回答は「とてもそう思う」から「全くそう思わない」の6件法である。CPSは意思決定における患者参加の嗜好性をA(most-active),B(active),C(collaborative),D(passive),E(most-passive)から1つ選択し,AとBを能動的,Cを協調的,DとEを受動的と3つに分類するものである。分析方法は,記述統計と自由記述は内容の類似性に基づきカテゴリー化した。
【結果】
 Group’s SDMでは他8項目と比較し,項目3「参加者全員が対等の関係で話し合えているか」(36.3%),項目4「患者の価値観に関する情報が中心に話し合われているか」(27.2%)の2項目で否定的な回答割合が多かった。一方,CPSは能動的が40.9%,協調的が31.8%と患者参加の嗜好性は高かった。自由記述では,【その人らしさの評価】【コミュニケーション不足】【入院期限による時間的制約】【認知機能低下】【本人と家族の意見の不一致】などが挙がった。
【考察】
 地ケアのPTによる退院支援は,意思決定への患者参加を重視する嗜好性はあるが,多職種グループの場では,患者の価値観の共有や対等な話し合いの実践ができていない乖離を認めた。また,意思決定場面では,患者の価値観を把握する評価スキルや多職種間で対話する機会の充実など,改善可能な課題も示され,チームでのSDMの実践を促進できる可能性が示された。
【結論】
 その人らしい暮らしの実現に向け,多職種で患者の価値観を共有し,患者参加を支援する意思決定プロセスの構築が重要となる。
【倫理的配慮、説明と同意】
 大分大学福祉健康科学部倫理委員会における承認(承認番号:F240001)を得て研究を実施した。

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