講演情報
[P11-03]居住地周辺の歩行環境に応じた外出行動の可視化により生活範囲の拡大と転倒への懸念の軽減を図った一症例
*辻中 椋1、植木 恵1 (1. 泉佐野優人会病院 リハビリテーション部)
キーワード:
屋外歩行、生活範囲、転倒自己効力感
【はじめに、目的】生活範囲の拡大には、身体機能の改善に加え、屋外歩行や外出時に直面する環境上の課題への対応が重要である。地域での移動には、移動距離、路面状況、段差、坂道、交通量など多様な課題が含まれ、これらに対応する歩行能力や屋外歩行への自信が生活範囲に関連する可能性がある。本症例報告の目的は、生活範囲の狭小化と転倒への懸念を認めたデイケア利用者に対して、段階的な外出支援の介入内容と経過を報告することである。【症例紹介、評価結果と問題点】症例は約3年半前の脳幹梗塞の既往を有する70代男性で、要介護2、週2回のデイケアと週2回の訪問リハビリテーション(訪問リハ)を利用していた。本人の目標は、外出頻度を増やし、自宅から約1km離れた行きつけのスーパーへ買い物に行くことである。居住地周辺のWalkabilityはWalk Score®72点でVery Walkableに分類された。一方、自宅周辺には幹線道路や交通量の多い道があり、歩道の下り坂で前方へ転倒しそうになる不安が聞かれた。Barthel Indexは100点、Frenchay Activities Indexは16点であった。身体機能はScale for the Assessment and Rating of Ataxia 1.5点、Brunnstrom Stage左Ⅵ、Timed Up & Go Test 10.2秒、6分間歩行テスト390m、5回立ち上がりテスト8.9秒、Mini-BESTest 21点であり、予測的姿勢制御と反応的姿勢制御に減点を認めた。身体活動量は短縮版IPAQで891 METs・分/週、Life-Space Assessment(LSA)は30点、Falls Efficacy Scale-International(FES-I)は35点であり、生活範囲の狭小化と転倒への強い懸念を認めた。【介入内容と結果】対象者の居住地周辺の外出先を、歩行距離と歩行環境を考慮して150m、190m、450mの3段階に分類し、地図上で色分けした。外出時には、訪れた場所に対応する色のシールをカレンダー形式の記録表に貼付するよう依頼した。デイケアでは、バランス機能練習、不整地歩行練習、記録表の確認を行った。訪問リハでは、実際の歩行場面における困りごとを確認し、デイケアと共有したうえで、転倒不安が強い場所での歩行練習を反復した。介入1か月半後、Mini-BESTestは25点となり、予測的姿勢制御と反応的姿勢制御に改善を認めた。短縮版IPAQは1485 METs・分/週、LSAは51点、FES-Iは26点となった。転倒への不安は残存したものの、「日常的に外出できるようになってきた」との発言が聞かれ、付き添い下で目標としていたスーパーへの移動を達成した。【考察】本症例では、外出先の段階化と記録表による可視化により、外出行動の振り返りと外出頻度が増加した可能性がある。また、訪問リハで得た実際の困りごとをデイケアと共有し、転倒不安場面での練習に反映したことが、屋外歩行への自信につながり、生活範囲の拡大と転倒への懸念の軽減がみられた可能性がある。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院倫理委員会の承認(R8-0003)を受け書面による同意を得て実施した。
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