講演情報

[P9-06]退院後生活空間に対する患者の自己予測の正確性

*岩崎 亮介1 (1. 森之宮病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

生活空間、予測、退院支援

【はじめに、目的】
退院後の生活空間(life-space mobility)は、施設入所や活動性低下と関連する重要な指標である。入院により生活空間は狭小化しやすく、退院後の生活範囲を退院前に見通すことは生活支援の計画に有用とされるが、退院後の生活空間に関する報告は少ない。一方、入院患者では自己の活動能力に対する認識が不正確になりやすいことが知られる。本研究の目的は、退院前カンファレンス後に患者自身が表明した退院後生活空間の見通し(予測値)が、退院後の実際の生活空間(実測値)をどの程度反映するかを明らかにすることである。
【方法】
対象は当院回復期リハビリテーション病棟に入院し自宅退院した患者42名(年齢中央値74歳、脳血管疾患・頭部外傷55%)。生活空間はLife-Space Assessment(LSA、0〜120点)で評価した。予測値は退院前カンファレンス後に担当セラピストがLSA各項目について患者本人に退院後の見通しを聴取し、回答を修正せず記録した。実測値は退院後1か月に自記式調査票で評価した。正規性をShapiro-Wilk検定で確認し、予測値と実測値の関連をSpearman順位相関係数、級内相関係数(ICC)、Bland-Altman分析(実測−予測)で評価した。
【結果】
予測値は中央値20点〔四分位範囲14–31〕、実測値は24点〔16–37〕であった。両者の相関はSpearman順位相関係数0.47(p<0.01)、ICCは0.72(95%信頼区間0.53–0.84)であった。Bland-Altman分析では平均差は1.8点と集団全体での偏りは小さかったが、95%一致限界は−24〜+28点と広く、比例誤差は認めなかった。個人別では過大予測15名、過小予測22名、一致5名であり、絶対誤差10点以上が21名(50%)に認められた。FIM運動機能で3群に分けた探索的解析では群間に有意差は認めなかったが、中等度群で誤差が最も大きい傾向を認めた。
【考察】
カンファレンスを通じ医療者と情報共有された後の見通しであっても、退院後生活空間の予測は集団平均では実測に近い一方、個人では大きな誤差を伴っていた。これは情報共有のみでは個々の退院後生活範囲の予測は困難であることを示唆する。生活機能が中等度の患者は退院後の活動範囲の拡大に不確実性が大きく、予測が難しい可能性がある。退院支援では予測と実際の差を念頭に、退院後の生活範囲を継続的に確認する必要がある。
【結論】
退院後生活空間に対する患者の自己予測は集団平均では実測に近いが個人差が大きく、特に生活機能が中等度の患者で予測が困難な可能性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会の承認を受けた。対象者には文書および口頭で説明し同意を得るとともに、個人が特定できないよう配慮した。

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