講演情報
[P15-06]社会的比較を伴う他者交流を契機に疼痛の緩和と生活空間の拡大が得られた通所介護の一例
*秋定 優太1、森 優太2、石垣 智也3、平野 理絵1、西村 彰規1、平川 雄太4、武田 広道5、横山 広樹6、後藤 悠太7 (1. 合同会社Well-being base、2. 名古屋学院大学リハビリテーション学部理学療法学科、3. 畿央大学大学院健康科学研究科、4. JA愛知厚生連介護老人保健施設あおみ、5. 北陸大学医療保健学部、6. 関西医科大学くずは病院リハビリテーション科、7. 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部)
キーワード:
デイサービス、社会的比較、生活空間
【はじめに】
通所介護では、集団内での交流を通じて他者と自己を比較する機会があり、これは社会的比較と呼ばれる。社会的比較は慢性痛患者の自己効力感の向上や行動変容に作用するとされるが、通所介護を利用する要介護高齢者の心理社会面に与える影響は明らかでない。本報告では、痛みに伴う活動制限を呈す要介護高齢者に対し、社会的比較を伴う他者交流が及ぼす影響を事例経過から考察する。
【事例紹介】
事例は通所介護を利用する80歳代の女性(要介護1)である。介護職としての勤務歴があり、元より社交的な性格で友人も多かった。X日より通所介護を開始したが、X-2年から変形性膝関節症による膝痛があり、X-8ヶ月に受けた副鼻腔炎の手術後から生活空間が狭小化していた。日常生活動作は自立していたが、痛みに悲観的であり、膝を中心とした身体症状の訴えが多く、閉じこもり傾向にあった。
【経過】
X日より、集団での運動プログラムに加え、利用者同士の交流を促した。X+2カ月には痛みの訴えが軽減し、受診頻度が減少した。X+6カ月には鎮痛薬の服用が終了となった。また、同時期より前向きな発言が増加し、活動性の向上(毎日の散歩)もみられた。X+11カ月には要支援2となり、痛みのNumerical Rating Scale(以下、NRS)2、生活空間の広がりであるLife Space Assessment(以下、LSA) 100/120点(高値ほど広い)、転倒に対する自己効力感はModified Falls Efficacy Scale(以下、MFES)で113点であった。その後、X+14カ月には電車を利用した外出が可能となった。同時期に利用開始当初(X日)を想起して評価した結果、NRSは8、LSAは30点、MFESは76点であった。また、これまでの経過に対して「辛いのは自分だけではないので頑張ろうと思えた」「あの人はすごい。頑張っている」と特徴的な発言があり、自己効力感の向上や活動に対する動機づけの向上が伺えた。
【考察】
本事例では、他者交流を通した社会的比較のうち、類似した悩みや課題を持つ他者との水平比較や、努力している他者を見本とする上方比較が肯定的に作用した可能性がある。これら心理的作用により、痛みや活動に対する自己効力感や動機づけが向上し、身体活動の増加を介して、痛みの緩和や生活空間の拡大につながったと考えられる。社会的比較を活用した他者交流は、通所介護の集団特性を活用した心理社会的支援となり得る。
【倫理的配慮,説明と同意】
本報告にあたり、事例の個人情報の保護とプライバシーに配慮し、充分な説明を行った後に口頭および書面で同意を得た。
通所介護では、集団内での交流を通じて他者と自己を比較する機会があり、これは社会的比較と呼ばれる。社会的比較は慢性痛患者の自己効力感の向上や行動変容に作用するとされるが、通所介護を利用する要介護高齢者の心理社会面に与える影響は明らかでない。本報告では、痛みに伴う活動制限を呈す要介護高齢者に対し、社会的比較を伴う他者交流が及ぼす影響を事例経過から考察する。
【事例紹介】
事例は通所介護を利用する80歳代の女性(要介護1)である。介護職としての勤務歴があり、元より社交的な性格で友人も多かった。X日より通所介護を開始したが、X-2年から変形性膝関節症による膝痛があり、X-8ヶ月に受けた副鼻腔炎の手術後から生活空間が狭小化していた。日常生活動作は自立していたが、痛みに悲観的であり、膝を中心とした身体症状の訴えが多く、閉じこもり傾向にあった。
【経過】
X日より、集団での運動プログラムに加え、利用者同士の交流を促した。X+2カ月には痛みの訴えが軽減し、受診頻度が減少した。X+6カ月には鎮痛薬の服用が終了となった。また、同時期より前向きな発言が増加し、活動性の向上(毎日の散歩)もみられた。X+11カ月には要支援2となり、痛みのNumerical Rating Scale(以下、NRS)2、生活空間の広がりであるLife Space Assessment(以下、LSA) 100/120点(高値ほど広い)、転倒に対する自己効力感はModified Falls Efficacy Scale(以下、MFES)で113点であった。その後、X+14カ月には電車を利用した外出が可能となった。同時期に利用開始当初(X日)を想起して評価した結果、NRSは8、LSAは30点、MFESは76点であった。また、これまでの経過に対して「辛いのは自分だけではないので頑張ろうと思えた」「あの人はすごい。頑張っている」と特徴的な発言があり、自己効力感の向上や活動に対する動機づけの向上が伺えた。
【考察】
本事例では、他者交流を通した社会的比較のうち、類似した悩みや課題を持つ他者との水平比較や、努力している他者を見本とする上方比較が肯定的に作用した可能性がある。これら心理的作用により、痛みや活動に対する自己効力感や動機づけが向上し、身体活動の増加を介して、痛みの緩和や生活空間の拡大につながったと考えられる。社会的比較を活用した他者交流は、通所介護の集団特性を活用した心理社会的支援となり得る。
【倫理的配慮,説明と同意】
本報告にあたり、事例の個人情報の保護とプライバシーに配慮し、充分な説明を行った後に口頭および書面で同意を得た。
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