講演情報
[P4-05]フレイルを有する人工透析患者に対する外来リハビリテーションと地域資源活用の1例
*小島 舜平1、岩瀨 拓1、橋本 駿1、中村 大樹1、石野 晶大1 (1. 国立長寿医療研究センター)
キーワード:
人工透析、フレイル、地域資源
【はじめに、目的】
人工透析患者はフレイルサイクルを形成し、日常生活活動(ADL)制限や生命予後の悪化につながるとされている。そこでフレイルを有した人工透析患者に対し、非人工透析日に週2回外来リハビリテーション(リハ)と、地域資源の活用支援を行った症例を経験したため報告する。
【症例紹介、評価結果と問題点】
本症例は77歳男性であり、体力低下を自覚し当センターのフレイル外来を受診した。糖尿病および腎硬化症による慢性腎不全のため、受診1年前より他院で人工透析を週3回実施していた。受診時の血液データは尿素窒素60.8mg/dL、クレアチニン9.3mg/dLであった。初回介入時の評価では、最大握力は6.0kg、Short Physical Performance Battery(SPPB)10点、快適歩行速度0.78m/秒、6分間歩行距離(6MD)281mであり、Japanese version of the Cardiovascular Health Study(J-CHS)基準ではフレイル(主観的疲労感、歩行速度低下、筋力低下)に該当し、Functional Independence Measure(FIM)は117点であった。介入経過中、足趾潰瘍を発症し、疼痛増悪による運動意欲の低下を認めた。また、歩行時の間欠性跛行も出現し、リハ開始5か月後に6MDは156mまで低下した。
【介入内容と結果】
足趾疼痛や間欠性跛行による活動量低下を生じていたため、下肢の色調変化や疼痛増悪に配慮しながらリカンベントエルゴメーターを用いて低~中等度負荷での有酸素運動を実施した。また、フレイルの進行予防、ADL低下予防を目的とした下肢レジスタンストレーニング、ADL練習を実施した。また、電球交換などの高所作業が困難であり、家族への依頼が難しかったため、居住エリアを管轄する地域包括支援センターの連絡先を伝え、相談するように促した。その結果、軽度生活援助事業などの生活支援の導入に至った。リハ開始9か月後の最大握力は11.0kg、快適歩行速度0.77m/秒、J-CHS基準ではフレイルであり、6MDは215m、SPPBは10点から9点に低下した。また、FIMは116点であり、著明なADLの低下は認めなかった。
【考察】
人工透析患者は全身状態悪化や活動量低下などにより身体機能低下を来しやすい。本症例でも経過中に6MDおよびSPPBの低下を認めたが、FIMは1点の低下にとどまった。足趾疼痛や間欠性跛行に配慮し運動療法を継続したことは、ADL低下予防に寄与した可能性がある。また、生活支援のニーズがあり、地域包括支援センターへの相談を契機に生活支援の導入に至った。地域資源に関する情報提供は生活支援に対するニーズへの対応に有用であった可能性がある。本症例に対する介入では運動療法だけでなく、生活に対する社会資源の活用といった包括的な支援も重要となる可能性があると考えられた。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に口頭で趣旨を説明し、発表の同意を得た。
人工透析患者はフレイルサイクルを形成し、日常生活活動(ADL)制限や生命予後の悪化につながるとされている。そこでフレイルを有した人工透析患者に対し、非人工透析日に週2回外来リハビリテーション(リハ)と、地域資源の活用支援を行った症例を経験したため報告する。
【症例紹介、評価結果と問題点】
本症例は77歳男性であり、体力低下を自覚し当センターのフレイル外来を受診した。糖尿病および腎硬化症による慢性腎不全のため、受診1年前より他院で人工透析を週3回実施していた。受診時の血液データは尿素窒素60.8mg/dL、クレアチニン9.3mg/dLであった。初回介入時の評価では、最大握力は6.0kg、Short Physical Performance Battery(SPPB)10点、快適歩行速度0.78m/秒、6分間歩行距離(6MD)281mであり、Japanese version of the Cardiovascular Health Study(J-CHS)基準ではフレイル(主観的疲労感、歩行速度低下、筋力低下)に該当し、Functional Independence Measure(FIM)は117点であった。介入経過中、足趾潰瘍を発症し、疼痛増悪による運動意欲の低下を認めた。また、歩行時の間欠性跛行も出現し、リハ開始5か月後に6MDは156mまで低下した。
【介入内容と結果】
足趾疼痛や間欠性跛行による活動量低下を生じていたため、下肢の色調変化や疼痛増悪に配慮しながらリカンベントエルゴメーターを用いて低~中等度負荷での有酸素運動を実施した。また、フレイルの進行予防、ADL低下予防を目的とした下肢レジスタンストレーニング、ADL練習を実施した。また、電球交換などの高所作業が困難であり、家族への依頼が難しかったため、居住エリアを管轄する地域包括支援センターの連絡先を伝え、相談するように促した。その結果、軽度生活援助事業などの生活支援の導入に至った。リハ開始9か月後の最大握力は11.0kg、快適歩行速度0.77m/秒、J-CHS基準ではフレイルであり、6MDは215m、SPPBは10点から9点に低下した。また、FIMは116点であり、著明なADLの低下は認めなかった。
【考察】
人工透析患者は全身状態悪化や活動量低下などにより身体機能低下を来しやすい。本症例でも経過中に6MDおよびSPPBの低下を認めたが、FIMは1点の低下にとどまった。足趾疼痛や間欠性跛行に配慮し運動療法を継続したことは、ADL低下予防に寄与した可能性がある。また、生活支援のニーズがあり、地域包括支援センターへの相談を契機に生活支援の導入に至った。地域資源に関する情報提供は生活支援に対するニーズへの対応に有用であった可能性がある。本症例に対する介入では運動療法だけでなく、生活に対する社会資源の活用といった包括的な支援も重要となる可能性があると考えられた。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に口頭で趣旨を説明し、発表の同意を得た。
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