講演情報

[P9-07]機能的電気刺激を導入した生活期片麻痺者の歩行および心理面の変化:単一事例研究

*伊藤 功騎1 (1. 一般財団法人多摩緑成会 緑成会病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

訪問リハビリテーション、機能的電気刺激(FES)、Shared Decision Making(SDM)

【はじめに、目的】
脳卒中後片麻痺者に対する機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation:以下FES)は歩行能力改善に有効とされているが、先行研究では頻回介入による報告が多く、訪問リハビリテーション(以下:リハビリ)における週1回介入の実践報告は少ない。本症例は徒手的介入による改善がプラトーとなった生活期脳卒中後片麻痺者に対し、歩行中FESを導入し、歩行能力および心理的変化について検討した。
【症例紹介、評価結果と問題点】
症例は74歳女性でX年Y月に右被殻出血を発症し左片麻痺を呈した。要介護2で夫と同居、リハビリ特化型デイサービスを週1回と当院訪問リハビリを週2回利用している。Brunnstrom Recovery Stage下肢Ⅳであり、屋内歩行は自立、屋外歩行は見守りを要していた。疲労時には足部クリアランス低下によるつまずきを認め、歩行耐久性の低下がみられた。また、長期間の訪問リハビリ介入により身体機能はプラトー状態となっており、新たな介入方法としてFESを提案した。対象者に目的や期待される効果を説明し、対話を重ねながらShared Decision Making(SDM)の考えに基づいて導入を決定した。自己効力感および主体感をNumerical Rating Scale(NRS)を用いて評価した。
【介入内容と結果】
単一事例実験デザイン(ABデザイン)で検討した。A期は4週間のベースライン期とし、通常の訪問リハビリを実施した。A期の平均値は、10m歩行17.64秒、630m歩行1145.81秒、自己効力感7.25点、主体感6.25点であった。 B期は9週間、前脛骨筋に対するFESを併用し、630mの屋外歩行練習を週1回実施した。評価項目は10m歩行時間、630m歩行時間、自己効力感および主体感とした。B期の平均値は10m歩行16.65秒、FES装着時16.17秒、630m歩行1080.17秒、自己効力感7.75点、主体感6.88点となった。介入初期には「電気の効果がわからない」との発言があったが、介入継続に伴い「電気を使用している時は歩きやすい」との発言が得られた。
【考察】
10m歩行速度は向上したものの、改善量は脳卒中患者における歩行速度の最小臨床的重要変化量(MCID)には達しておらず、短距離歩行能力の改善は限定的であった。一方、630m歩行時間は約66秒短縮しており、疲労時の足部クリアランス低下や歩行耐久性の改善が示唆された。これは、FESによる背屈補助がつまずきの軽減に寄与したと考えられる。また、自己効力感および主体感は向上し、SDMに基づく介入が治療への納得感や主体的参加を促した可能性がある。以上より、週1回のFES介入でも、歩行能力に加え、心理面や主体的取り組みを促進できる可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本報告の目的と内容を説明し、発表への同意を得た。個人が特定されないよう匿名化した。

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