講演情報

[P7-07]回復期リハビリテーション病棟入院時のサルコペニア関連指標と退院時トイレおよび移動自立獲得との関連

*渡邉 光1 (1. 湖街ホスピタル)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

サルコペニア、回復期、予後予測

【はじめに】回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期)では、自宅退院に向けたADL改善が重要な目標である。なかでもトイレ動作や移動は在宅復帰に直結するADLであると報告されている。一方、回復期入院患者の53%がサルコペニアを有し、身体機能やADL改善に影響を及ぼすと報告されている。サルコペニアの診断には専用機器を要するため、握力や下腿周径などの簡便な指標がサルコペニア関連指標として活用されている。入院時の簡便な指標により自立を予測できれば、介入の一助となる可能性がある。そこで本研究では、回復期入院患者を対象に、入院時の握力と下腿周径が退院時のトイレおよび移動自立獲得に関連するかを検討した。【方法】対象は2024年7月から2026年4月までに当院回復期に入院した患者のうち、測定困難、死亡例およびデータの欠損例を除いた181例(脳血管50例、運動器77例、廃用54例)とした。退院時のトイレFIMおよび移動FIMがともに6点以上を自立群、それ以外を非自立群とした。入院時の年齢、性別、疾患、BMI、握力、下腿周径、認知機能を収集し、群間比較を実施した。また、握力と下腿周径についてROC解析を行い、男女別にAUCとカットオフ値を算出した。さらに独立した関連因子を検討するため、退院時自立の有無を従属変数とし、年齢、性別、BMI、握力、下腿周径、認知機能を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行った。【結果】自立群99例、非自立群82例であった。自立群は握力および下腿周径が有意に高く、認知機能低下の割合が有意に低かった。ROC解析では、握力のAUCは男性0.810、女性0.810であり、カットオフ値はそれぞれ16.2kg(感度89.5%、特異度65.9%)、11.9kg(感度72.1%、特異度78.0%)であった。下腿周径のAUCは男性0.717、女性0.744であり、カットオフ値は30.8cm(感度63.2%、特異度78.0%)、29.8cm(感度55.7%、特異度85.4%)であった。ロジスティック回帰分析では、性別(OR 5.59、95%CI 2.13–14.7)、握力(OR 1.23、95%CI 1.12–1.35)、認知機能(OR 0.21、95%CI 0.10–0.47)が独立して関連した。【考察】握力は年齢やBMI、認知機能などの交絡因子を調整後も退院時自立と独立して関連しており、回復期患者の予後予測に有用である可能性が示唆された。一方、下腿周径は多変量解析では独立した関連を認めず、他因子の影響を受ける可能性が考えられる。【結論】サルコペニア関連指標である握力は、退院時の歩行およびトイレ動作自立獲得と関連することが示された。握力は早期からの予後予測や介入計画立案に有用である可能性が示された。【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に則り個人情報の取り扱いに十分留意し、患者情報を診療録から抽出した。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン