講演情報

[P1-06]生活期を知り,回復期に活かす −理学療法士に対する段階的教育プログラムの実践報告−

*野本 大雅1、尾川 達也1、生野 公貴1 (1. 西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

地域包括ケアシステム、教育、回復期

【はじめに】
地域包括ケアシステムの推進に伴い,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期)においても退院後の生活を見据えた支援の重要性が高まっている.しかし,回復期の理学療法士(以下,PT)が退院後生活に触れる機会は限られ,生活期に関する教育機会は十分とは言えない.特に,既存の教育は部署異動による経験的学習が中心であり,回復期への還元を目的とした実践報告はない.当院では,2023年より回復期PTが生活期の視点を獲得し,退院支援や回復期での実践に活かすことを目的とした教育プログラムを開始した.本報告では,教育プログラムの概要と研修成果を報告する.

【実践内容】
本プログラムは,事前研修と実務研修の2段階で構成した.事前研修は,回復期に所属する3年目のPTを対象に座学形式で行い,生活期や介護保険制度に関するグループワークを含む講義(180分×3回),および訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の同行(半日×1回)を行う.実務研修は,事前研修を受講したPTが6か月間,訪問リハに半日勤務し,指導のもと評価・介入や多職種との連絡調整等を行った. また,実務研修では,研修開始前に習得目標や組織への還元方法を記載し,研修中は月1回の成果報告会と習得目標を見直す面談を設けた.これら情報は訪問リハPT全員が共有し,指導方針の統一を図った.各研修後にリッカート尺度と自由記載によるアンケートを実施した.

【成果や課題】
事前研修は6名が終了し,退院後のくらしや地域リハに対する考え方について,全員が「変化した」または「大きく変化した」と回答した.自由記載では,「本人と医療者でより良い生活の認識が異なる 」「自立だけでなく自律の視点も重要」といった回答がみられ,退院後生活への視野の拡大が示唆された.また,回復期では背景因子を意識した情報収集,本人の意思を踏まえた支援の必要性が挙げられ,自立度以外の視点から生活を捉える変化がみられた.実務研修は現時点で終了者1名であるが,自由記載では「退院直後の生活実態」や「生活期における多職種の役割への理解」が記載された.また,回復期では退院後を見据えた提案やリスク回避だけでなく対処方法の検討など,生活期の視点を反映した実践に繋がった.一方,研修時間の確保に伴う単位・利用者調整が必要で,継続的な運営体制の整備が課題であった.

【今後の展望または結論】
本プログラムでは,事前研修による生活期視点の獲得に加え,実務研修を通してその学びが回復期の実践へ反映されていた.特に,退院後の生活を見据えた提案や背景因子を考慮した退院支援など,生活期の視点を踏まえた実践の変化から,本プログラムは生活期の視点を回復期へ還元する教育機会として有用である可能性が示された.

【倫理的配慮】
研修生に本報告の目的と発表内容を説明し,同意を得た.アンケートは匿名化して集計し,個人情報保護に配慮した.

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