講演情報
[O6-04]ペースメーカー留置後の高齢心不全患者に対し段階的運動療法を実施し在宅復帰・在宅業務再開支援の1症例
*村木 大星1、荒木 達也1、松岡 一求1、西牧 航駆1 (1. 蒲田リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
キーワード:
ペースメーカー留置後、段階的運動療法、在宅復帰
【はじめに,目的】心臓リハビリテーションは,運動耐容能やADLの改善に加え,退院後の生活再建や社会参加を支援する包括的介入である.心疾患患者の復職には身体機能のみならず,心理的要因,職場環境,支援体制などが影響し,個別化された多職種支援が必要とされる(Andersenら,2023).虚血性心疾患患者の復職には,年齢や心機能に加え,不安・抑うつの有無,教育歴,職業上の身体負荷などの社会職業的要因が関連すると報告されている(Delgado-Calderónら,2024).心不全とペースメーカー留置後に心原性脳塞栓症を呈した高齢症例に対し,自宅退院と在宅での職業的役割再開を見据え,段階的運動療法と退院後課題への支援を行ったため報告する.【症例紹介,評価結果と問題点】症例は80歳代男性.複数企業の顧問を担う個人事業主であり,数値入力,Zoomやメールでの連絡調整など,PC操作中心の在宅業務を行っていた.徐脈と心不全症状に対するペースメーカー留置後,自宅退院したが,心原性脳塞栓症を発症し,当院回復期病棟へ転棟した.既往に脳梗塞があり,左上下肢軽度麻痺を認めた.LVEFは60%,HFpEFで,ペースメーカー設定はventricular paced,ventricular sensed,inhibited response,下限60bpm,上限130bpmであった.入棟時は労作時息切れ,病棟内移動は車椅子全介助で,歩行耐久性および下肢筋力低下を認めた.本人は自宅退院,外来通院,運転再開,PCを用いた在宅業務再開を希望した.【介入内容と結果】CPXは困難であったため,6分間歩行距離,10m歩行速度,mFIM,NYHA,Borg scale,バイタルサイン,体重,BNPを指標とした.心拍数のみに依存せず,Borg,自覚症状,血圧,SpO2,体重,BNPを確認しながら段階的に負荷量を増加させた.循環動態の破綻を認めずに歩行耐久性とADLが改善し,自宅退院および外来通院が可能となった.【考察】社会参加上の課題は,身体的負荷の高い就労ではなく,PC操作,数値入力,Zoomやメールでのやり取りを中心とした在宅業務再開であった.急性冠症候群患者では,心臓リハビリテーション参加群は非参加群より職業関連アウトカムが良好で,心臓リハビリテーションと職業カウンセリングの重要性が示唆されている(Lambertiら,2016).心疾患患者では復職率が高い場合でも,身体的負担や職場理解に関する不安が残存すると報告されている(Imaokaら,2025).退院後の役割再開を見据えた支援が重要であったと考える.心臓リハビリテーションの運動強度処方ではCPETが標準的評価とされるが,困難な場合は6分間歩行などの機能評価とBorgなどの主観的指標を組み合わせることが実践的選択肢とされる(Milaniら,2024).本症例では複数指標で病態を確認しながら負荷量を調整したことが,循環動態の破綻なく歩行耐久性とADLの改善につながったと考える.【倫理的配慮,説明と同意】発表にあたり,症例および家族に目的を説明し同意を得た.
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