講演情報

[O4-05]運動器疾患患者の地域生活移行を見据えた早期家屋調査の有用性

*荒木 達也1、村木 大星1、中塚 耀斗1、森田 祐紳1 (1. 蒲田リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

早期家屋調査、退院支援、地域生活移行

【はじめに】
2024年度診療報酬改定により,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期)における運動器疾患リハビリテーション料は1日6単位を上限とする運用へ全国的に統一された.これにより,限られた介入時間の中で効率的かつ退院後生活を見据えた支援が求められている.回復期における在宅復帰には,ADL改善のみならず家屋環境や介護力を踏まえた支援が重要とされる.当院では入院後2週間以内に家屋調査を実施しているが,その有用性は十分に明らかではない.本研究の目的は,運動器疾患患者における早期家屋調査の有用性について検討することである.
【方法】対象は当院回復期から家屋調査を実施し自宅退院した運動器疾患患者223名とした.診療報酬改定前に家屋調査を実施した92名を従来群,改定後に入院後2週間以内の家屋調査を実施した131名を早期家屋調査群とした.FBS,10m歩行テスト,MMSEの実施が困難であった患者は除外した.電子カルテより後方視的に調査し,年齢,MMSE,FBS,10m歩行時間,FIM,運動FIM利得,FIM効率,在院日数,同居の有無,介護度を収集した.群間比較にはMann-Whitney U検定を用いた.また,在院日数を従属変数とし,早期家屋調査の実施,年齢,MMSE,FBS,10m歩行テスト,運動FIM,同居の有無,介護度を説明変数とした重回帰分析を実施した.有意水準は5%未満とした.
【結果】MMSE(p=0.069),FBS(p=0.837),10m歩行テスト(p=0.896),運動FIM(p=0.363),認知FIM(p=0.406),FIM合計(p=0.563)に群間差は認めなかった.運動FIM利得は従来群で有意に高値を示した(p=0.027)が,FIM効率に差は認めなかった(p=0.234).在院日数は早期家屋調査群で有意に短かった(p=0.0056).重回帰分析では,早期家屋調査の実施(B=-15.32,p<0.001)および介護度(B=4.47,p<0.001)が在院日数に関連する有意な因子として抽出された.
【考察】両群の身体機能および認知機能に差を認めなかったことから,在院日数短縮は入院時機能のみでは説明できない可能性が示された.早期家屋調査により住宅環境の課題把握や住宅改修,福祉用具導入,家族指導を早期から進めることで,退院準備の円滑化につながった可能性がある.また,FIM効率に差を認めなかったことから,ADL改善速度を低下させることなく在院日数短縮に寄与した可能性が示唆された.さらに,介護度を調整後も早期家屋調査が独立して関連したことから,地域生活移行を支援する有用な退院支援手段であると考えられた.
【結論】運動器疾患患者に対する入院後2週間以内の早期家屋調査は,在院日数短縮に独立して関連していた.早期家屋調査は,地域生活移行を支援する有効な退院支援手段である可能性が示唆された.
【倫理的配慮】厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に沿って実施した.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン