講演情報

[P11-07]脳幹梗塞後フットスラップを呈した書道家に対するIVES-ST介入により復職に至った症例

*中塚 耀斗1、荒木 達也1 (1. 蒲田リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

脳卒中、社会参加、復職

【はじめに】今回,脳幹梗塞後にフットスラップを呈し,屋外移動能力低下により復職に支障をきたしていた症例に対し,Integrated Volitional-control Electrical Stimulation(IVES)センサートリガーモード(以下IVES-ST)を用いた歩行介入を実施した.その結果,屋外独歩獲得および復職に至ったため報告する.
【症例紹介】症例は70代男性.左橋内側腹側脳梗塞を発症し右片麻痺を呈した.発症23日目に当院回復期病棟へ転院した.職業は書道家で復職を希望していた.「右足が床へ叩きつけられる感じがする」と訴えていた.
【問題点・評価結果】10m歩行試験は快適10.8秒・19歩,最大7.8秒・16歩,TUGは右14.7秒,左14.1秒,SARA7点,FBS50/56点であった.歩行観察では右IC後にフットスラップを認め,LRにおける前脛骨筋の遠心性制御低下,荷重応答時の不安定性および歩行周期の再現性低下を認めた.一方,明らかな感覚障害は認めなかった.以上より,橋病変に伴う歩行周期のタイミング制御低下および前脛骨筋遠心性制御低下により,IC〜LRでの足関節制御不良が生じたと考えた.
【介入内容・結果】発症35日目よりIVES-STを用い,歩行時の前脛骨筋活動に同期した刺激入力を実施した.介入はIC〜LRにおける足部接地および荷重応答を意識した反復歩行練習を中心に行った.最終評価では10m歩行試験は快適8.1秒・17歩,最大6.9秒・15歩,TUGは右9.3秒,左10.0秒,SARA2.5点,FBS56/56点となった.フットスラップの軽減,荷重応答時の安定性向上,歩行周期の再現性改善を認めた.歩行補助具は歩行器からT-caneへ移行し,病棟内独歩を獲得した.連続歩行距離は約1kmまで拡大し,発症100日目に退院した.退院時の屋外歩行はT-cane自立であったが,外来リハビリテーション継続により屋外独歩自立となり,書道活動再開および復職に至った.
【考察】フットスラップは足関節背屈筋力低下のみではなく,IC〜LRにおける前脛骨筋遠心性制御低下が関与したと考えられた.本症例では,IVES-STによる刺激入力が前脛骨筋活動タイミングの再学習に寄与した可能性が示唆された.先行研究では,脳卒中後片麻痺患者に対する前脛骨筋へのIVES介入により,立脚初期の前脛骨筋遠心性収縮改善および歩行能力改善が報告されている.本症例でも同様の機序が関与したと推察された.また,足関節制御の安定化が歩行周期の再現性向上につながり,連続歩行距離の拡大や活動範囲の拡大を介して,書道活動再開および復職につながった可能性が示唆された.
【倫理的配慮、説明と同意】本発表にあたり,症例および家族には目的を説明し,同意を得た.

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