講演情報
[O9-04]靴装着型センサーを用いた介護老人保健施設入所者の施設内歩行特性の探索的検討
*玄 安季1、上田 哲也1、高尾 耕平1、村上 達典1、樋口 由美1 (1. 大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科)
キーワード:
介護老人保健施設、ウェアラブルセンサー、歩行特性
【はじめに、目的】歩行速度やストライド長、立脚時間などの時空間歩行パラメータは、従来、実験室環境や活動性の高い地域在住高齢者を対象に評価されることが多かった。一方、介護老人保健施設(以下、老健)入所者では、生活自立度や認知機能、補助具使用などを背景に、評価場面での歩行能力と施設内歩行が必ずしも一致しない可能性がある。入所者の施設内歩行特性を把握することは、移動支援や転倒予防策を検討するうえで重要である。本研究の目的は、老健入所者を対象に、靴装着型センサーを用いて施設内歩行を測定し、歩行特性を探索的に検討することとした。【方法】A老健の入所者を対象に、2025年6月から7月に取得したデータを用いた探索的横断研究である。補助具使用の有無にかかわらず施設内歩行が可能な者を対象とした。施設内歩行は、施設内2地点を結ぶ廊下歩行約40mとし、靴装着型センサー(ORPHE CORE 2.0、株式会社ORPHE)で測定した。日を変えて計4試行実施し、連続3歩以上の歩行エピソードが最長であった試行を代表試行とした。解析指標は施設内歩行速度、ストライド長、立脚時間割合(歩行周期に占める立脚期の割合)とした。5m快適歩行速度、過去1年間の転倒歴、基本情報は施設データベースより収集した。5m快適歩行速度が計測可能であった者を解析対象とし、5m快適歩行速度と施設内歩行指標との関連をSpearmanの順位相関係数で確認した。さらに、転倒歴の有無別に各指標をMann–Whitney U検定で比較した。【結果】解析対象者は8名(年齢中央値87.5[四分位範囲83.0–92.8]歳、女性5名、転倒歴あり3名[37.5%])であった。5m快適歩行速度は0.43[0.28–0.64]m/sec、施設内歩行速度は0.39[0.25–0.59]m/sec、ストライド長は0.55[0.46–0.76]m、立脚時間割合は77.5[72.1–79.3]%であった。5m快適歩行速度は、施設内歩行速度(ρ=.81、p=.015)およびストライド長(ρ=.88、p=.004)と正の相関を認めた。転倒歴を有する対象者では、5m快適歩行速度、施設内歩行速度、ストライド長が低値を示し、立脚時間割合が高値を示した(いずれもp=.036)。【考察】5m快適歩行速度は施設内歩行速度およびストライド長と正の相関を示し、評価場面での歩行能力と施設内歩行には一定の対応がみられた。一方、転倒歴を有する対象者では、施設内歩行速度の低下やストライド長の短縮、立脚時間割合が高い傾向がみられ、施設内歩行における推進性の低下や支持性を重視した歩行様式を反映している可能性がある。【結論】靴装着型センサーによる施設内歩行評価は、老健入所者の歩行特性を補足的に把握する手段となる可能性が示唆され、今後の検証が必要である。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(2025-103)。対象者または代諾者に研究目的および内容を説明し、書面にて同意を得た。
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