講演情報

[O12-04]地域在住中高齢者におけるフレイルと身体機能および脊柱骨盤矢状面アライメントとの関連性の検討

*千葉 恒1、小林 徹也2、清水 睦也3、水谷 幸三郎2、今井 充2、杉澤 裕之4、菅原 敏暢5、横濱 響4、中薮 幸広6、出田 真喜6 (1. 介護老人保健施設ふらの リハビリテーション科、2. 旭川医科大学 整形外科、3. 開西病院 整形外科、4. 富良野協会病院 リハビリテーション科、5. 美瑛町立病院 リハビリテーション科、6. 協立病院 リハビリテーション課)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

フレイル、地域在住中高齢者、体幹伸展可動性

【はじめに、目的】
我が国では健康寿命延伸に向けたフレイル対策が推進されており、地域理学療法においても重要な予防対象である。フレイルと握力や歩行能力との関連は報告されているが、体幹・下肢筋力および脊柱骨盤矢状面アライメントとの関連を包括的に検討した報告は見受けられない。本研究の目的は、地域在住中高齢者を対象に、フレイルと身体機能および脊柱骨盤矢状面アライメントとの関連を明らかにし、地域理学療法における評価および介入の方向性を検討することである。
【方法】
2023~2025年に大規模農業地区で実施した一般住民腰痛検診に参加した中高齢女性138名(71.3±6.4歳)を対象とした。フレイル評価は改訂日本版フレイル(J-CHS)を用いた。身体機能は体幹(TFX、TEX)・下肢筋力(QF、GM)、体幹伸展可動性(PP)、functional reach test(FRT)、腰痛VAS、立位歩行時体幹前傾角変化(dTIA)を評価した。脊柱骨盤矢状面アライメントは標準的なX線項目を計測した。統計解析はJ-CHS得点と各項目の相関をSpearman順位相関係数で検討し、有意な相関を認めた項目を独立変数、J-CHS得点を従属変数として重回帰分析も行い関連要因を検討した。
【結果】
J-CHS該当数は0項目61名、1項目52名、2項目18名、3項目6名、4項目1名であった。相関分析ではTFX(r=-0.33)、TEX(r=-0.31)、QF(r=-0.28)、GM(r=-0.31)、PP(r=-0.34)、FRT(r=-0.37)、dTIA(r=0.30)と有意な相関を認めた。X線項目および年齢との有意な相関は認めなかった。重回帰分析ではFRT(β=-0.36、p<0.001)およびPP(β=-0.28、p=0.001)が独立した関連因子として抽出された。
【考察】
フレイルは体幹・下肢筋力を含む複数の身体機能と関連したが、独立した関連因子としてFRTとPPが抽出された。FRTは動的バランス能力を反映し、フレイルには筋力低下だけでなく姿勢制御能力の低下が関与することが示唆された。また、農業地域では前屈姿勢を伴う作業が多いことから、体幹伸展機能の低下がフレイル形成に影響した可能性が考えられる。一方、X線アライメントとの関連は認めず、構造的変化よりも可動性やバランス能力といった機能的要素が重要であることが示唆された。
【結論】
地域在住中高齢女性において、フレイルは動的バランス能力および体幹伸展可動性と関連していた。地域理学療法ではFRTや体幹伸展可動性の評価がフレイルの早期発見に有用であり、バランス能力および体幹伸展機能の維持・改善を目的とした介入がフレイル予防に寄与する可能性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本調査は旭川医科大学倫理委員会の承認を受け実施した。対象者にはヘルシンキ宣言に則り、本研究の主旨、目的、研究への参加の任意性と同意撤回の自由、プライバシー保護について口頭と書面にて説明し同意を得た。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン