講演情報

[O2-04]有事における地域リハビリテーション行動指針策定事業の概要と進捗報告

*田中 康之1、宮澤 拓人1、下出 雅仁1、太田 直樹2 (1. 千葉県千葉リハビリテーションセンター 地域リハ推進部、2. 千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療部)
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キーワード:

地域リハビリテーション、行動指針、0次予防

【はじめに】
 近年、頻発する大規模災害や新興感染症の流行は、地域の生活支援基盤を脅かす喫緊の課題である。有事においても、高齢者や障害者が住み慣れた地域でリハビリテーション(以下、リハ)を継続できる体制の構築は重要である。当センターでは県からの受託事業として、令和6年度より3か年計画で訪問・通所リハ提供機関が有事にも継続的、または早期にリハを提供できることを目指し、「有事における地域リハ行動指針」の策定を進めている。本事業は「平時有事往還」の視点から、地域全体のレジリエンス向上を目指すものである。
【実践内容】
 令和6年度は、県内2,289件の事業所を対象に実態調査を実施(回答数725件、回答率31.7%)。そして県内200か所以上の地域リハ関連機関の職員が参加したワークショップの意見をもとに「7つの重点課題」(人員確保、道路状況、安否確認等)や事業所間連携による対応策を整理した。令和7年度は、都市部1圏域と過去に甚大な被害を経験した2圏域をモデル圏域として選定し、各圏域で計9回の実務者意見交換会を開催した。現場スタッフが「いつ・誰が・何をすべきか」を整理し、AI等も活用して具体的な取組を抽出した。さらに、実災害の経験を持つアドバイザーや県下9か所の地域リハ広域支援センターから助言を得て、「全県共通指針案」および「モデル地域固有の指針案」を策定した。
【成果と課題】
 本事業の成果は、指針を単なる作業チェックリストにとどめず、各施設が現状を確認し、改善に向けた対話を促す「共通言語」として位置づけた点である。また、有事に迅速な連携・支援を行う基盤は、自事業所内のBCP確認や近隣事業所同士の顔の見える関係づくりなど、当たり前の備えを積み重ねる「凡事徹底」の姿勢にあることが再確認された。一方で、リハ関係職種に加え、行政や物流・通信等の異業種、事業所の経営層の参画を促すことが課題として明らかとなった。
【今後の展望】
 令和8年度は、策定した指針案に基づき、モデル圏域でシミュレーション訓練を実施し、得られたフィードバックを反映することで、指針の実効性を高める予定である。
 今回報告した有事における訪問リハ・通所リハの継続に関わる仕組みづくりは、有事においても人々が地域でのくらしを主体的につくりあげられるよう、個人を取り巻く環境に対して行う間接的な支援である。また、多職種連携や地域特性を踏まえた関わりを通じ、地域社会のレジリエンス向上に資する0次予防としての地域理学療法学の実践であると考える。今後、このような実践に理学療法士が関わる機会が広がることを期待する。
【倫理的配慮】
 本報告は事業の実施報告であり、事業の実施体制や取組み状況、課題の整理結果等を中心に記載し、個人、施設、団体が不利益を受けることのないよう、具体的な名称や発言内容の取扱いに配慮した。

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