講演情報

[P7-10]生活混乱期における有害事象発生予測スコアの作成

*早舩 微沙稀1、山崎 遥人1、小笠原 啓太1 (1. 品川リハビリテーション病院 在宅支援部)
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キーワード:

生活混乱期、退院支援、環境適応

【はじめに・目的】
退院直後の生活混乱期では,環境変化への適応不全により日常生活活動レベルが一時的に低下し,転倒などの有害事象が生じやすい。特に環境適応が困難な患者ではその影響が大きいため,生活混乱期を見据えた退院支援が求められる。我々は先行研究において,入院中の情報から生活混乱期における有害事象発生を予測する因子を調査し,リスク層別化の可能性を報告したが,対象者数が少なく,予測因子の再現性の検証が課題であった。そこで本研究では対象者を追加し,関連因子の再検討,リスクスコアの作成およびその有用性を検証した。
【方法】
2022年1月1日から2026年5月31日までに当院回復期病棟を退院し,訪問リハビリテーションを利用した79名を対象とした。目的変数は退院後1ヶ月以内の有害事象発生(転倒・転落,福祉用具・サービス追加,疼痛増悪・病態悪化,再入院),説明変数は退院時の対象者情報(年齢,要介護度,高次脳機能障害の有無,向精神薬服用の有無,アルブミン値,MMSE-J,FIM,BBS,TUG,入院中の転倒歴,入院日数)とした。単変量解析でp<0.1の項目を用いた多変量ロジスティック回帰分析にて独立因子を抽出し, ROC解析にて予測能を評価した。また,抽出因子についてROC解析によりカットオフ値を設定した。さらに,多変量ロジスティック回帰分析で得られた回帰係数を基にリスクスコアを作成し,スコアと有害事象発生の関連およびリスク群別の発生率を検討した。
【結果】
単変量解析では,退院時年齢,要介護度,入院中の転倒歴の3因子が抽出された。多変量ロジスティック回帰分析の結果,これら3因子はいずれも退院後の有害事象発生に関連する独立因子であった(P<0.05)。予測モデルのAUCは0.729であった。リスクスコアは,退院時年齢85歳以上:1点,要介護度3以上:1点,入院中の転倒歴あり:2点,総スコアは0~4点となった。スコア合計が1点増加するごとの有害事象発生リスクは1.72倍に上昇した(p=0.018)。また,低・中・高リスク群で有害事象発生率は33.3%,37.5%,70.0%であり,スコア上昇に伴う増加傾向を認めた(p=0.050)。
【考察】
退院時年齢,要介護度,入院中の転倒歴は,退院後の環境変化への適応力低下を反映する指標である可能性が示唆された。また,リスクスコアは,生活混乱期における有害事象発生を一定程度予測できる可能性を示した。今後はさらなる症例数の拡大と外的妥当性の検証が必要である。
【結論】
本研究で作成したスコアは生活混乱期を見据えた退院支援におけるリスク層別化に有用である可能性が示唆された。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り実施した。包括的同意を取得し,得られたデータは匿名化し個人が特定されないよう配慮した。

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