講演情報

[P6-10]通所リハビリテーション利用者における栄養補助食品の定期的摂取が体組成に与える影響:1症例における検討

*田代 幸大1 (1. 寺尾病院 リハビリテーション部 地域リハビリテーション課)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

体組成、栄養補助食品、通所リハビリテーション

【目的】
 要介護高齢者におけるサルコペニアはADL低下に直結する重要な課題である。通所リハビリテーション(以下通所リハ)では運動療法が主軸となるが、近年はリハ・栄養・口腔の一体的取組が重視されている。本報告では、運動習慣や日常生活、通常の食事量に大きな変化がない中で、通所リハ利用に合わせた栄養補助食品の定期摂取を追加し、3か月と6か月後の体組成計のデータにおいて骨格筋量およびタンパク質量などの改善が認められた高齢者の1症例について報告する。
【症例紹介】
 対象は当通所リハ(1~2時間型)利用中の80代後半の女性。約4年前に胸腰椎圧迫骨折を受傷し要介護1の判定となる。その後通所リハを週2回の頻度で利用され、現在も能力面維持し継続利用中。
【介入内容と結果】
 事前調査として、体組成計(InBody270)を用い、3か月間毎月測定を実施した。測定は通所リハ利用開始時(運動開始前)であり飲水前に実施した。結果、タンパク質量、骨格筋量、骨格筋指数(以下SMI)の持続的な低下傾向を認めたため、栄養介入の必要性を判断した。
 通所リハ利用直後に栄養補助食品(リハたいむゼリー:タンパク質10g、エネルギー100kcal、ビタミンD等含有)1本の摂取を指導した。利用時は毎回確実に摂取され、服薬遵守は良好であった。通所リハでの運動メニューは変更なく、口頭で食生活や日常生活の活動量などを聴取したが変化はなかった。摂取開始から3か月後と6か月後に体組成計を用いて評価を行った。
 介入前、3か月後、6か月後の体組成データを(前/3か月/6か月)の順で示す。体重(49.2/49.2/52.6 kg)、骨格筋量(17.4/18.7/19.8 kg)、SMI(5.2/5.3/5.5kg/㎡)、タンパク質量(6.4/6.9/7.2 kg)、体脂肪率(31.6/26.5/27.6 %)であった。
【考察】
 本症例では、運動プログラムや活動量、3食の食事内容に変更がない中で、週2回の栄養補助食品の付加により骨格筋量とタンパク質量の向上が得られた。要介護高齢者の筋量低下には、タンパク質不足に加え、筋肉の合成効率が低下する「同化抵抗性」が関与する。本症例は週2回の運動を実施していたものの、介入前は筋量増加となるタンパク質・エネルギーが不足し、運動による合成効果が相殺されていた可能性が考えられた。
 今回、運動直後に適切なアミノ酸、エネルギー、および筋合成を促すビタミンD等を補給したことで、定着していた運動刺激との相乗効果が生まれ、運動負荷を強めることなく代謝が同化優位へと傾き、SMIの改善(5.2から5.5kg/㎡)に繋がったと示唆された。
【倫理的配慮】
 ヘルシンキ宣言に基づき、本事例発表に参加する対象者には、研究の目的・方法、個人情報の取り扱いについて文書及び口頭で説明を行い、自由意思による参加であることを確認したうえで書面にて同意を得た。なお同意撤回による不利益は一切生じないことを説明した。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン