講演情報
[P1-10]地域包括ケア病棟入院患者における機能変化と入院期間に関連する要因の検討
*梅田 陽平1、脇田 正徳2、寺嶋 和美1、横川 里紗子1、田中 敦亘1、瀬戸口 晴子3、古川 祐子3、淀 一菜4、宮本 俊朗5 (1. 向山病院 リハビリテーション部、2. 関西医科大学リハビリテーション学部 、3. 向山病院看護部、4. 向山病院診療技術部、5. 兵庫医科大学リハビリテーション学部)
キーワード:
地域包括ケア病棟、入院期間、体組成
【はじめに,目的】
地域包括ケア病棟では,在宅復帰支援を目的としてリハビリテーションが実施されているが,高齢化や多疾患併存に伴い,入院期間の長期化や機能回復の遅延が課題となっている.近年,栄養状態,口腔機能,体液バランスの異常が身体機能やADLに影響することが報告されているが,地域包括ケア病棟入院患者を対象とした検討は十分ではない.本研究の目的は,地域包括ケア病棟入院患者における入退院時のリハビリテーション評価指標の変化を明らかにし,入院期間に関連する入院時要因を検証することである.
【方法】
対象は,当院地域包括ケア病棟に入院した37名とした.基本属性,入院日数,Charlson Comorbidity Index(CCI),Body Mass Index(BMI),体組成計を用いた細胞外液比(ECW/TBW),徒手筋力計を用いた膝関節伸展筋力,快適および最大歩行速度,Short Physical Performance Battery(SPPB),舌圧,口腔機能評価であるOral Health Assessment Tool(OHAT),FIMなどを後方視的に収集した.入退院時比較には対応のあるt検定またはWilcoxon符号付順位検定を用いた.入院日数と各評価項目の変化量との関連はPearsonまたはSpearmanの相関係数により検討した.さらに,入院日数を目的変数,年齢,CCI,入院時FIM,入院時ECW/TBW,入院時OHATを説明変数とした重回帰分析を行った.
【結果】
対象者(男性12名/女性25名,83.1±11.1歳)の入院日数は46.4±11.9日であった.入院時と退院時を比較すると,膝関節伸展筋力,SPPB,舌圧,OHAT,FIMが有意に改善していた(P<0.05).一方, BMIは21.8±3.6から21.1±3.3 kg/m²へ有意に低下した.入院日数と各指標の変化量との間に有意な相関は認めなかった.重回帰分析では,年齢(偏回帰係数0.70,P=0.0497)および入院時ECW/TBW(偏回帰係数366.3,P=0.007)が入院日数と有意に関連した.
【考察】
地域包括ケア病棟入院患者では,入院中にADL,身体機能,口腔状態の改善を認めた一方で,BMIは低下していた.また,入院日数は各評価項目の変化量とは関連せず,長く入院した患者ほど機能改善量が大きいとは限らないことが示された.重回帰分析では,年齢と入院時ECW/TBWが入院日数に関連していた.ECW/TBWは体液バランスや浮腫状態を反映する指標であり,高値は低栄養,炎症,サルコペニア,身体機能低下と関連することが報告されている.そのため,入院時ECW/TBWはADLや併存疾患のみでは捉えにくい全身状態を反映し,入院期間の延長に関与する可能性が示唆された.
【結論】
入院早期からECW/TBWを含む体組成評価を行うことは,入院期間が延長しやすい患者の把握や,リハビリテーション,栄養管理を統合した退院支援に有用である可能性がある.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,倫理審査委員会の承認および研究協力施設長の実施許可を得て実施した.診療情報は匿名化し,個人情報保護に十分配慮した.
地域包括ケア病棟では,在宅復帰支援を目的としてリハビリテーションが実施されているが,高齢化や多疾患併存に伴い,入院期間の長期化や機能回復の遅延が課題となっている.近年,栄養状態,口腔機能,体液バランスの異常が身体機能やADLに影響することが報告されているが,地域包括ケア病棟入院患者を対象とした検討は十分ではない.本研究の目的は,地域包括ケア病棟入院患者における入退院時のリハビリテーション評価指標の変化を明らかにし,入院期間に関連する入院時要因を検証することである.
【方法】
対象は,当院地域包括ケア病棟に入院した37名とした.基本属性,入院日数,Charlson Comorbidity Index(CCI),Body Mass Index(BMI),体組成計を用いた細胞外液比(ECW/TBW),徒手筋力計を用いた膝関節伸展筋力,快適および最大歩行速度,Short Physical Performance Battery(SPPB),舌圧,口腔機能評価であるOral Health Assessment Tool(OHAT),FIMなどを後方視的に収集した.入退院時比較には対応のあるt検定またはWilcoxon符号付順位検定を用いた.入院日数と各評価項目の変化量との関連はPearsonまたはSpearmanの相関係数により検討した.さらに,入院日数を目的変数,年齢,CCI,入院時FIM,入院時ECW/TBW,入院時OHATを説明変数とした重回帰分析を行った.
【結果】
対象者(男性12名/女性25名,83.1±11.1歳)の入院日数は46.4±11.9日であった.入院時と退院時を比較すると,膝関節伸展筋力,SPPB,舌圧,OHAT,FIMが有意に改善していた(P<0.05).一方, BMIは21.8±3.6から21.1±3.3 kg/m²へ有意に低下した.入院日数と各指標の変化量との間に有意な相関は認めなかった.重回帰分析では,年齢(偏回帰係数0.70,P=0.0497)および入院時ECW/TBW(偏回帰係数366.3,P=0.007)が入院日数と有意に関連した.
【考察】
地域包括ケア病棟入院患者では,入院中にADL,身体機能,口腔状態の改善を認めた一方で,BMIは低下していた.また,入院日数は各評価項目の変化量とは関連せず,長く入院した患者ほど機能改善量が大きいとは限らないことが示された.重回帰分析では,年齢と入院時ECW/TBWが入院日数に関連していた.ECW/TBWは体液バランスや浮腫状態を反映する指標であり,高値は低栄養,炎症,サルコペニア,身体機能低下と関連することが報告されている.そのため,入院時ECW/TBWはADLや併存疾患のみでは捉えにくい全身状態を反映し,入院期間の延長に関与する可能性が示唆された.
【結論】
入院早期からECW/TBWを含む体組成評価を行うことは,入院期間が延長しやすい患者の把握や,リハビリテーション,栄養管理を統合した退院支援に有用である可能性がある.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,倫理審査委員会の承認および研究協力施設長の実施許可を得て実施した.診療情報は匿名化し,個人情報保護に十分配慮した.
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