大会長挨拶
第7回神奈川県臨床作業療法大会開催にあたって

第7回神奈川県臨床作業療法大会
大会長 小砂 哲太郎
国立精神・神経医療研究センター病院
精神リハビリテーション部
このたび、2025年度神奈川県作業療法士会臨床作業療法大会の大会長を拝命いたしました。本大会は、隔年で開催される神奈川県作業療法学会と交互に行われる臨床実践に焦点を当てた大会であり、特に若手作業療法士にとっての「登竜門」としての役割を担っています。
今日、作業療法を取り巻く状況はますます複雑化し、多職種連携や地域との協働、個別性の高い支援の必要性が増しています。そうしたなかで、私たち作業療法士がそれぞれの現場で実践し続けていることには、臨床の知恵と工夫が詰まっています。大規模な学会では取り上げにくい、しかし現場に根ざしたテーマにこそ、私たちの専門性の本質が宿っているのではないでしょうか。
本大会のキーワードの一つに、「ニッチ(niche)」という言葉を掲げたいと考えています。ニッチとは、決してマイナーで価値のない領域ではなく、むしろ誰かが光を当てることで初めて意味を持つ、小さくも確かな実践の居場所です。私自身、臨床の初期から依存症という限られた分野に関心を持ち、少数派の実践者として細々と活動を続けてきました。けれども、その蓄積がやがて専門性となり、今では学生に伝える機会をいただく立場になりました。
作業療法士として歩み始めたばかりの若手の皆さんにこそ、「ちょっと変わった」「少し気になる」テーマに出会い、向き合ってほしいと願っています。それがやがて、その人ならではの臨床をつくる礎となるはずです。本大会がそうした小さな芽吹きを後押しする場となり、一人ひとりの関心や実践が尊重される空気感を大切にしたいと考えています。
ベテランの方々には、若手の発表に耳を傾け、実践の喜びや葛藤をともに語り合っていただければ幸いです。肩ひじ張らず、けれど確かな学びがある、そんな臨床大会をめざしてまいります。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
