講演情報
[O-1-02]鏡視下腱板修復術後6か月における肩関節機能のPASS達成に関連する疼痛および心理社会的因子の検討
*田中 康明1 (1. 重工記念長崎病院リハビリテーション科)
キーワード:
鏡視下腱板修復術、疼痛、心理社会的因子
本研究はヘルシンキ宣言に則って実施した。研究の目的,方法,個人情報の取扱いについて十分な説明を行い,対象者の同意を得た。
【目的】腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)後は,客観的な機能改善が得られても,症状の改善に満足できない症例を認める。ARCR後では,心理社会的因子が患者報告アウトカムと関連することが報告されているが,患者自身が症状を許容できる状態(Patient Acceptable Symptom State:PASS)との関連を検討した報告は少ない。そこで本研究は,患者立脚型肩関節機能評価であるShoulder36(Sh36)のPASSカットオフ値を用いて,ARCR後6か月時点におけるPASS達成と疼痛および心理社会的因子との関連を検討することを目的とした。
【方法】
対象はARCR後6か月で評価可能であった87例(男性71例,女性16例,平均年齢65.4±7.4歳)とした。Sh36の疼痛,可動域,筋力,健康感,日常生活活動(ADL)の各ドメインについて,PASSカットオフ値を用いてPASS達成群と非達成群の2群に分類した。説明変数は安静時痛,夜間痛,動作時痛,Pain Catastrophizing Scale(PCS),Fremantle Shoulder Awareness Questionnaire(FreSHAQ),Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK),Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),短縮版Central Sensitization Inventory(CSI-9)とし,Sh36の各ドメインのPASS達成を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を実施した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
多重ロジスティック回帰分析の結果,疼痛では動作時痛(OR 0.960,95%CI 0.931-0.989,p=0.007),可動域では動作時痛(OR 0.969,95%CI 0.943-0.995,p=0.020),筋力ではCSI-9(OR 0.852,95%CI 0.728-0.998,p=0.047),健康感ではCSI-9(OR 0.808,95%CI 0.682-0.957,p=0.017),ADLでは動作時痛(OR 0.964,95%CI 0.938-0.991,p=0.008)が有意な関連因子として抽出された。
【考察】
ARCR後6か月におけるSh36のPASS達成には,動作時痛および中枢性感作関連症状が関連していた。疼痛,可動域,ADLで動作時痛が抽出されたことから,術後6か月では安静時や夜間痛よりも,日常生活や上肢使用場面で経験される痛みの程度が,症状を許容できるかどうかと結び付きやすい可能性が示された。さらに,筋力および健康感でCSI-9が抽出されたことから,疼痛による機能低下だけでなく,中枢性感作関連症状がPASS達成と関連した可能性がある。ARCR後の患者報告アウトカムには心理社会的因子や痛み感受性が関連することも示されており,本研究はこれをPASSという症状許容度の観点から術後6か月の時点の肩関節機能との関連を示した点において、新たな知見を加えるものと考えられる。
【まとめ】
ARCR後6か月におけるSh36のPASS達成には,動作時痛および中枢性感作関連症状が関連していた。術後リハビリテーションでは,動作時痛への対応に加え,中枢性感作関連症状を含めた多面的な評価と介入が重要である。
【目的】腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)後は,客観的な機能改善が得られても,症状の改善に満足できない症例を認める。ARCR後では,心理社会的因子が患者報告アウトカムと関連することが報告されているが,患者自身が症状を許容できる状態(Patient Acceptable Symptom State:PASS)との関連を検討した報告は少ない。そこで本研究は,患者立脚型肩関節機能評価であるShoulder36(Sh36)のPASSカットオフ値を用いて,ARCR後6か月時点におけるPASS達成と疼痛および心理社会的因子との関連を検討することを目的とした。
【方法】
対象はARCR後6か月で評価可能であった87例(男性71例,女性16例,平均年齢65.4±7.4歳)とした。Sh36の疼痛,可動域,筋力,健康感,日常生活活動(ADL)の各ドメインについて,PASSカットオフ値を用いてPASS達成群と非達成群の2群に分類した。説明変数は安静時痛,夜間痛,動作時痛,Pain Catastrophizing Scale(PCS),Fremantle Shoulder Awareness Questionnaire(FreSHAQ),Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK),Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),短縮版Central Sensitization Inventory(CSI-9)とし,Sh36の各ドメインのPASS達成を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を実施した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
多重ロジスティック回帰分析の結果,疼痛では動作時痛(OR 0.960,95%CI 0.931-0.989,p=0.007),可動域では動作時痛(OR 0.969,95%CI 0.943-0.995,p=0.020),筋力ではCSI-9(OR 0.852,95%CI 0.728-0.998,p=0.047),健康感ではCSI-9(OR 0.808,95%CI 0.682-0.957,p=0.017),ADLでは動作時痛(OR 0.964,95%CI 0.938-0.991,p=0.008)が有意な関連因子として抽出された。
【考察】
ARCR後6か月におけるSh36のPASS達成には,動作時痛および中枢性感作関連症状が関連していた。疼痛,可動域,ADLで動作時痛が抽出されたことから,術後6か月では安静時や夜間痛よりも,日常生活や上肢使用場面で経験される痛みの程度が,症状を許容できるかどうかと結び付きやすい可能性が示された。さらに,筋力および健康感でCSI-9が抽出されたことから,疼痛による機能低下だけでなく,中枢性感作関連症状がPASS達成と関連した可能性がある。ARCR後の患者報告アウトカムには心理社会的因子や痛み感受性が関連することも示されており,本研究はこれをPASSという症状許容度の観点から術後6か月の時点の肩関節機能との関連を示した点において、新たな知見を加えるものと考えられる。
【まとめ】
ARCR後6か月におけるSh36のPASS達成には,動作時痛および中枢性感作関連症状が関連していた。術後リハビリテーションでは,動作時痛への対応に加え,中枢性感作関連症状を含めた多面的な評価と介入が重要である。
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