講演情報

[O-1-03]筋スパズムを主体とした肩後面痛に対する超音波併用電気刺激療法とテーピングの有効性

*寺町 寛1、坂口 弘城1、徳丸 信代1、羽田野 佑弥1、南屋 崇斗1、遠矢 拓己1、松田 友秋2、中村 好成3 (1. 医療法人社団 創成会 なかむら整形外科クリニック リハビリテーション室、2. 医療法人 朋詠会 獅子目整形外科病院 リハビリテーション部、3. 医療法人社団 創成会 なかむら整形外科クリニック)
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キーワード:

肩関節後面痛、超音波併用電気刺激療法、テーピング

【倫理的配慮】
本症例はヘルシンキ宣言に基づき研究の目的および方法について文書にて説明し本人の同意を得て実施した.

【はじめに】肩関節周囲炎の主症状は疼痛であるが,ガイドラインでは理学療法と物理療法併用の有効性に関する明確なエビデンスは示されていない.また,疼痛部位別や筋攣縮に着目したテーピングの効果に関する報告は限定的である.今回,肩関節後面痛を呈した外傷性肩関節周囲炎症例に対し,超音波併用電気刺激療法とキネシオロジーテーピングを実施し,2日間で即時的および経時的な疼痛軽減を認めたため報告する. 【症例】症例は60歳代男性で,診断名は外傷後肩関節周囲炎であった.木の剪定作業中にバランスを崩し約2m下へ転落し,左肩,左大腿部,左側腹部を受傷した.右手に剪定用具を保持しており,転落時に右肩関節へ水平内転方向の外力が加わった.当日は右肩痛を自覚しなかったが,数日後より疼痛が出現し持続した.MRIでは小円筋にT2高信号を認めた.経過観察となったが疼痛持続した為,受傷1か月後より理学療法を開始.初期評価では右肩後面痛VAS80㎜であった.外転および水平内外転時に強い疼痛を訴え,就寝時の体位変換や咳嗽時にも疼痛を認めた.座位では右肩甲骨前傾,下方回旋,内旋が特徴的であった.肩関節可動域(右/左)は水平外転10°/30°,水平内転110°/135°,肩関節外転90°位での内旋30°/70°,外転135°/150°であり,右肩関節後面痛を伴っていた.Belly press test,Bear hug test,External rotation testで後面痛を認めた.触診では棘下筋斜走線維に圧痛を認め,小円筋,三角筋後部線維とともに筋攣縮を認めた.理学療法として,棘下筋斜走線維,小円筋,三角筋後部線維に超音波併用電気刺激療法を実施し,右上肢支持下で肩関節水平内外転運動を行った.その後,同筋群へキネシオロジーテーピングを施行した.疼痛軽減後,経過に伴い,肩甲骨胸郭機能エクササイズ,後方関節包モビライゼーション,肩甲下筋収縮運動を追加した.
【結果】初回介入直後より右肩後面痛は,VASで80㎜から40㎜へ軽減した.さらにテーピング施行後にはVAS20㎜となった.翌日の介入前VASは40㎜であったが,外転時痛,水平内外転時痛,咳嗽時痛,体位変換時痛はいずれも軽減した.同日介入後にはVAS10㎜となり,水平外転30°,水平内転135°,外転150°,肩関節外転90°位での内旋は50°へ改善した.介入2日目には肩後面痛は消失,肩関節外転90°位での内旋は70°,症状は肩前外側部痛VAS12㎜へ移行した.患者からは,力仕事再開の見通しが立ったとの発言を得た.
【考察】本症例の肩後面痛には,棘下筋斜走線維を中心とした小円筋,三角筋後部線維の筋攣縮による筋内圧上昇と筋滑走不全が関与した可能性が考えられた.その結果,水平外転時には短縮時痛,水平内転時には伸張時痛が生じた可能性がある.対象筋に対する超音波併用電気刺激療法とキネシオロジーテーピングの実施により,筋攣縮の改善と筋内圧低下が得られ,外転時痛,水平内外転時痛,咳嗽時痛,体位変換時痛の軽減につながったと考えられた.超音波併用電気刺激療法による筋硬度・疼痛低下は先行研究(大山ら, 2011)とも一致する.本症例は,これらの介入が即時的な疼痛軽減と機能改善に寄与する可能性を示唆する臨床的知見と考えられた.

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