講演情報
[O-10-01]人口構造変化を踏まえた高齢者の運動機能の特徴
—短時間通所リハビリテーションにおける2群比較研究—
*黒木 博和1、濵田 大成1 (1. 医療法人松城会 隼人温泉病院 リハビリテーション課)
キーワード:
人口構造変化、運動機能、短時間通所リハビリテーション
本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、個人が特定されないよう配慮した。また、対象者に対し研究の趣旨と目的を十分に説明し同意を得た。
【目的】
近年公表された新たな地域医療構想の取りまとめにおいて、2040年に向けて医療・介護の複合的ニーズをもつ高齢者への対応が重要視されている。特に85歳以上人口の増加が見込まれ、この層は医療・介護双方の支援を要することが多い。2023年地域別将来推計人口によれば、当院が所在する鹿児島県霧島市でも2035年に85〜89歳人口が大きく増えると推計され、地域の医療・介護体制への影響が懸念される。当短時間通所リハビリテーションでも85歳以上の利用増が予測され、加齢に伴う多様な身体機能低下を踏まえた評価と介入が求められる。そこで本研究では、将来人口推計を踏まえ利用者を85歳以上群と85歳未満群に分類し、運動機能の比較を行うことで、理学療法における介入方法や支援計画の立案に資する基礎的知見の獲得を目的とした。
【方法】
対象は、自宅で生活し自立歩行が可能な通所リハビリテーション利用者のうち、研究目的および内容を説明し同意が得られた47 名(平均年齢81.4 ± 8.0 歳、男性22 名。要支援1:9 名、要支援2:10 名、要介護1:17 名、要介護2:9 名、要介護3:2 名)とした。調査期間は令和8年1月から2月とした。身体機能および能力評価として、生活範囲の広がりを評価する指標にLife-Space Assessment(LSA)を用いた。下肢機能の評価にはShort Physical Performance Battery(SPPB)を使用した。握力はスメドレー式握力計(竹井機器工業製)を用いて左右1回ずつ測定し、最大値を代表値とした。歩行能力の評価にはTimed Up and Goテスト(TUG)を実施した。統計学的検定は、統計解析はRCommander(version2.9-2)を用いて実施した。正規性が満たされる場合はt検定、満たされない場合はMann–WhitneyのU検定を用いて85歳以上群と85歳未満群の群間比較を行い、効果量(r)を算出した。有意水準は5%とした。
【結果】
測定結果の各平均値(85 歳以上群、85 歳未満群)は、LSA(47.9 ± 12.4 点、43.2 ± 13.8 点)、SPPB(9.5 ± 2.5 点、8.6 ± 2.3 点)、TUG(16.5 ± 6.3 秒、22.8 ± 12.9 秒)、握力(16.9 ± 6.3 kg、24.3 ± 8.7 kg)であった。2群間の統計処理の結果、握力は2群間に有意差を認め(p < 0.01)、効果量は中等度であった( r = 0.465)。LSA、SPPB、TUGに有意差は認められなかった(p > 0.05)。
【考察】
本研究では、将来の人口構造を踏まえ、利用者を85歳以上群と85歳未満群に分けて運動機能を比較した。結果、有意差があったのは握力のみで、85歳以上群が低値を示した。これは加齢に伴う筋量減少を反映し、超高齢者への筋力維持介入の重要性を示唆する。一方、LSA・SPPB・TUGでは有意差がみられず、85歳以上でも移動能力や下肢機能が保たれていた可能性がある。対象者が自立歩行可能で活動性の高い通所リハ利用者であったこと、継続的なリハ介入が機能維持に寄与した可能性が考えられる。またLSAは環境・意欲など多要因の影響を受け、年齢差が出にくかった可能性がある。以上より、握力に差が認められたことは、握力評価が予防的介入を開始するための指標となりうることを示唆している。一方、移動能力は比較的保たれる可能性があり、個別性を踏まえた支援が必要となる。今後は対象者数の拡大や身体活動量・社会的要因などを含めたその他の要因についても検討を進めていく必要がある。
【目的】
近年公表された新たな地域医療構想の取りまとめにおいて、2040年に向けて医療・介護の複合的ニーズをもつ高齢者への対応が重要視されている。特に85歳以上人口の増加が見込まれ、この層は医療・介護双方の支援を要することが多い。2023年地域別将来推計人口によれば、当院が所在する鹿児島県霧島市でも2035年に85〜89歳人口が大きく増えると推計され、地域の医療・介護体制への影響が懸念される。当短時間通所リハビリテーションでも85歳以上の利用増が予測され、加齢に伴う多様な身体機能低下を踏まえた評価と介入が求められる。そこで本研究では、将来人口推計を踏まえ利用者を85歳以上群と85歳未満群に分類し、運動機能の比較を行うことで、理学療法における介入方法や支援計画の立案に資する基礎的知見の獲得を目的とした。
【方法】
対象は、自宅で生活し自立歩行が可能な通所リハビリテーション利用者のうち、研究目的および内容を説明し同意が得られた47 名(平均年齢81.4 ± 8.0 歳、男性22 名。要支援1:9 名、要支援2:10 名、要介護1:17 名、要介護2:9 名、要介護3:2 名)とした。調査期間は令和8年1月から2月とした。身体機能および能力評価として、生活範囲の広がりを評価する指標にLife-Space Assessment(LSA)を用いた。下肢機能の評価にはShort Physical Performance Battery(SPPB)を使用した。握力はスメドレー式握力計(竹井機器工業製)を用いて左右1回ずつ測定し、最大値を代表値とした。歩行能力の評価にはTimed Up and Goテスト(TUG)を実施した。統計学的検定は、統計解析はRCommander(version2.9-2)を用いて実施した。正規性が満たされる場合はt検定、満たされない場合はMann–WhitneyのU検定を用いて85歳以上群と85歳未満群の群間比較を行い、効果量(r)を算出した。有意水準は5%とした。
【結果】
測定結果の各平均値(85 歳以上群、85 歳未満群)は、LSA(47.9 ± 12.4 点、43.2 ± 13.8 点)、SPPB(9.5 ± 2.5 点、8.6 ± 2.3 点)、TUG(16.5 ± 6.3 秒、22.8 ± 12.9 秒)、握力(16.9 ± 6.3 kg、24.3 ± 8.7 kg)であった。2群間の統計処理の結果、握力は2群間に有意差を認め(p < 0.01)、効果量は中等度であった( r = 0.465)。LSA、SPPB、TUGに有意差は認められなかった(p > 0.05)。
【考察】
本研究では、将来の人口構造を踏まえ、利用者を85歳以上群と85歳未満群に分けて運動機能を比較した。結果、有意差があったのは握力のみで、85歳以上群が低値を示した。これは加齢に伴う筋量減少を反映し、超高齢者への筋力維持介入の重要性を示唆する。一方、LSA・SPPB・TUGでは有意差がみられず、85歳以上でも移動能力や下肢機能が保たれていた可能性がある。対象者が自立歩行可能で活動性の高い通所リハ利用者であったこと、継続的なリハ介入が機能維持に寄与した可能性が考えられる。またLSAは環境・意欲など多要因の影響を受け、年齢差が出にくかった可能性がある。以上より、握力に差が認められたことは、握力評価が予防的介入を開始するための指標となりうることを示唆している。一方、移動能力は比較的保たれる可能性があり、個別性を踏まえた支援が必要となる。今後は対象者数の拡大や身体活動量・社会的要因などを含めたその他の要因についても検討を進めていく必要がある。
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