講演情報
[O-12-01]AI解析で読み解くSTS訓練の効果について
~後期高齢者の転倒とフレイルの予防を目指して~
*萩尾 直人1、髙橋 孝吉2、山路 美樹2、武生 慶輝2、板井 勇樹3、河野 茉由3、小手川 大輝1 (1. 社会医療法人 関愛会 大東よつば病院 リハビリテーション部、2. 社会医療法人 関愛会 佐賀関病院 リハビリテーション部、3. 社会医療法人 関愛会 佐賀関デイケアひまわり)
キーワード:
STS訓練、AI分析、転倒予防
本研究参加に対する同意、対象となる利用者全員に対し、研究目的、方法、データ使用範囲について口頭・書面にて説明を行い、研究参加に対する同意書への署名を全対象者より取得し、自由意思による参加を確認した。AI活用については、情報の非識別化、クローズな環境での利用を確認し、情報の外部流出を防止した。
【目的】
当院、短時間通所リハビリテーション(以下:通所リハ)利用者に対し、身体機能評価を実施し、後期高齢者の自立生活を脅かす加齢に伴う変化(フレイル)や転倒リスクに対して、STS訓練が与える予防効果について、筋の形態的変化と神経的適応に注目し検討を行った。また、多角的分析を行うため、分析ツールとしてAI(Gemini 3 Flash / Nano Banana)を使用した。AIを用いることで短期間でのデータ統合と高度な解析が実現し、マンパワーが限られる小規模通所リハ事業所における質の高いエビデンス構築の可能性を検討した。
【方法】
当院、通所リハ利用者の介護度が要支援1・2の利用者44名を対象にSTS訓練の実施群、非実施群の2群に分け、設定した各運動評価項目の前後変化に対しAIを用いて解析を行った。対象期間は2カ月とし、実施群は、通所リハ利用時に週1~2回の頻度でSTS訓練を実施した。STS訓練の回数は対象者状態に合わせて、回数設定を行った。なお、本研究では身体機能と動作能力改善度を客観的に比較するため、各評価の単純な前後数値ではなく、初期値を基準とした「変化率(%)」を用いた。算出方法は、変化率(%)=(介入後測定値 - 介入前測定値)÷ 介入前測定値 × 100とした。
【結果】
本研究では「筋肥大などの形態的な変化(量)」と「形態的な変化を伴わない神経的適応(質)」に注目した。今回、大腿四頭筋の筋肉量の変化率は0.2~0.3%で、2カ月間、かつ週1~2回の実施では「形態的な変化」は起きないことが確認された。一方、筋力体重比は21.1%、TUGは18.5%の改善が認められた。筋力体重比では、2カ月で2割以上改善したことを意味し、有意差においてもp < 0.01という結果から、筋肉そのものに形態的変化が認められなかったこと踏まえると、STS訓練により運動単位の動員数増大などの神経系適応が起きたことが示唆される結果となった。また、TUGにおいても有意差はp < 0.05、筋力体重比との相関係数は-0.94を示し、「負の強い相関」を示す結果となった。
【考察】
今回、STS訓練実施群の筋肉量の変化率が+0.3%であったのに対し、膝伸展筋力体重比の変化率は+21.1%であった。通常、筋肥大には3カ月以上の持続的な高負荷訓練を必要とされるが、後期高齢者には負担が大きく、実用的ではないと考えている。しかし、今回、2カ月という短期間で身体・運動機能面において改善効果が得られたのは、筋肉の器質的変化ではなく、筋肉に伝える神経系の最適化に注目し、選択的・戦略的に訓練を実施したことが主な要因と考えられる。これらはAI解析において統計学的有意差(p < 0.01)を示すことが出来た。また、筋力体重比の向上とTUG短縮に強い相関(r = -0.94)が認められたことから、STSのような訓練は、神経系適応に作用することで筋出力を向上させ、短期間で後期高齢者の転倒リスク軽減を図るためには効果的な戦略の一つと考えられる。
【まとめ】
本知見は熟練者の経験則を客観的に裏付けるものであり、AIによる多角的分析は介入の正当性を証明する補助的な役割を担う。本研究により「筋力の質」が転倒リスクを回避させる因果関係を客観的に可視化できたことは、セラピストが治療成果に確信を持って訓練に臨むための一助になると考える。
【目的】
当院、短時間通所リハビリテーション(以下:通所リハ)利用者に対し、身体機能評価を実施し、後期高齢者の自立生活を脅かす加齢に伴う変化(フレイル)や転倒リスクに対して、STS訓練が与える予防効果について、筋の形態的変化と神経的適応に注目し検討を行った。また、多角的分析を行うため、分析ツールとしてAI(Gemini 3 Flash / Nano Banana)を使用した。AIを用いることで短期間でのデータ統合と高度な解析が実現し、マンパワーが限られる小規模通所リハ事業所における質の高いエビデンス構築の可能性を検討した。
【方法】
当院、通所リハ利用者の介護度が要支援1・2の利用者44名を対象にSTS訓練の実施群、非実施群の2群に分け、設定した各運動評価項目の前後変化に対しAIを用いて解析を行った。対象期間は2カ月とし、実施群は、通所リハ利用時に週1~2回の頻度でSTS訓練を実施した。STS訓練の回数は対象者状態に合わせて、回数設定を行った。なお、本研究では身体機能と動作能力改善度を客観的に比較するため、各評価の単純な前後数値ではなく、初期値を基準とした「変化率(%)」を用いた。算出方法は、変化率(%)=(介入後測定値 - 介入前測定値)÷ 介入前測定値 × 100とした。
【結果】
本研究では「筋肥大などの形態的な変化(量)」と「形態的な変化を伴わない神経的適応(質)」に注目した。今回、大腿四頭筋の筋肉量の変化率は0.2~0.3%で、2カ月間、かつ週1~2回の実施では「形態的な変化」は起きないことが確認された。一方、筋力体重比は21.1%、TUGは18.5%の改善が認められた。筋力体重比では、2カ月で2割以上改善したことを意味し、有意差においてもp < 0.01という結果から、筋肉そのものに形態的変化が認められなかったこと踏まえると、STS訓練により運動単位の動員数増大などの神経系適応が起きたことが示唆される結果となった。また、TUGにおいても有意差はp < 0.05、筋力体重比との相関係数は-0.94を示し、「負の強い相関」を示す結果となった。
【考察】
今回、STS訓練実施群の筋肉量の変化率が+0.3%であったのに対し、膝伸展筋力体重比の変化率は+21.1%であった。通常、筋肥大には3カ月以上の持続的な高負荷訓練を必要とされるが、後期高齢者には負担が大きく、実用的ではないと考えている。しかし、今回、2カ月という短期間で身体・運動機能面において改善効果が得られたのは、筋肉の器質的変化ではなく、筋肉に伝える神経系の最適化に注目し、選択的・戦略的に訓練を実施したことが主な要因と考えられる。これらはAI解析において統計学的有意差(p < 0.01)を示すことが出来た。また、筋力体重比の向上とTUG短縮に強い相関(r = -0.94)が認められたことから、STSのような訓練は、神経系適応に作用することで筋出力を向上させ、短期間で後期高齢者の転倒リスク軽減を図るためには効果的な戦略の一つと考えられる。
【まとめ】
本知見は熟練者の経験則を客観的に裏付けるものであり、AIによる多角的分析は介入の正当性を証明する補助的な役割を担う。本研究により「筋力の質」が転倒リスクを回避させる因果関係を客観的に可視化できたことは、セラピストが治療成果に確信を持って訓練に臨むための一助になると考える。
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