講演情報

[O-12-04]地域在住健常高齢者の立ち上がり能力に関係する要因

*藤村 諭史1,2、釜﨑 大志郎3、八谷 瑞紀3、大川 裕行3、藤原 和彦3、保坂 公大4,6、末永 拓也5,6、鎌田 實7、溝上 泰弘8、大田尾 浩3 (1. 医療法人公和会 横須賀病院 リハビリテーション科、2. 西九州大学大学院 生活支援科学研究科 リハビリテーション学専攻、3. 西九州大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科、4. 医療法人かぶとやま会 久留米リハビリテーション病院 リハビリテーションセンター、5. かとうクリニック内科・呼吸器内科リハビリテーション室、6. 西九州大学大大学院 生活支援科学研究科 保健医療学専攻、7. 諏訪中央病院、8. 株式会社ミズ)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

立ち上がり能力、立ち上がりパワー測定器、地域在住高齢者

参加者には,研究の内容と趣旨について十分に説明し,理解を得たうえで協力を求めた。なお,本研究への参加は自由意志であり,不参加や途中で辞退した場合も不利益にならないことを説明した。本研究は,西九州大学倫理審査委員会の承認(23HRK31)を得てから実施した。

【目的】
起立動作は,日常生活における基本動作の一つである。立ち上がりパワー測定器では,起立動作時の地面反力や最大傾斜体重比を評価できる。最大傾斜体重比は,素早く力を発揮する能力を示す指標であり,筋パワーを反映するとされている。高齢者では,筋量や筋力に先行して筋パワーが低下することから,老化を捉える指標の一つとして注目されている。これまで,地面反力に着目した報告が多く,下肢筋力やバランス能力との関連が示されている。一方,最大傾斜体重比に関係する要因を検討した報告は少ない。そこで本研究は,地域在住高齢者の最大傾斜体重比に関係する要因を検討することとした。本研究の結果は,理学療法における起立動作の改善に役立つものと考える。
【方法】
本研究は横断研究である。対象は,体力測定会に参加した地域在住高齢者とした。選定基準は,65歳以上の健常高齢者とし,認知機能の低下や欠損値がある者は除外した。最大傾斜体重比(kgf/s/kg)は,立ち上がりパワー測定器(竹井機器工業,T.K.K.5809)で測定した。最大傾斜体重比は,立ち上がり開始から立位になるまでの垂直成分の最大値を,そのピーク値に到達するまでの時間で除した値を,さらに体重で除して算出した。統計解析は,最大傾斜体重比と各測定項目の関連をSpearmanの順位相関係数で検討した。次に,最大傾斜体重比を目的変数とした重回帰分析を行った。model 2では性別および年齢を共変量として投入した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
参加者は地域在住健常高齢者81名であった。最大傾斜体重比は片足立ち時間(ρ=0.44)および通常歩行速度(ρ=0.29)と正の相関,5回立ち座りテスト(FTSST)(ρ=-0.30)およびtimed up and go test(TUG)(ρ=-0.55)と負の相関を示した。また,重回帰分析の結果,最大傾斜体重比にはTUGが関係していた(標準化係数:-0.30,p=0.029,R2=0.13)。また,性別および年齢で調整したmodel 2でもTUGが関係していた(標準化係数:-0.32,p=0.023,R2=0.11)。
【考察】
最大傾斜体重比は,FTSSTと片足立ち時間と有意な相関を示した。このことから,最大傾斜体重比は,下肢筋力に加えてバランス能力も関与する可能性がある。起立動作では,支持基底面内で重心を制御する能力が求められ,バランス能力との関連も報告されている。さらに,通常歩行速度およびTUGとの関連も示された。これらは移動能力を反映する代表的な指標である。加えて,重回帰分析では,最大傾斜体重比にTUGが関係していた。TUGは動的バランス能力を反映する指標であり,高齢者の立ち上がりの失敗が,動的バランス制御の低下と関連することの報告とも整合する。つまり,起立動作において安定して素早く力を発揮するためには,動的バランス能力が関与している可能性がある。
【まとめ】
立ち上がりパワー測定器における最大傾斜体重比は,TUGが関係していた。最大傾斜体重比における起立動作の評価は,動的バランス能力も考慮する必要がある可能性が示された。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン