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[O-15-01]変形性膝関節症患者の歩行戦略(DJSと非対称性)と痛みに対する心理的指標との関連

*岡澤 和哉1、藤田 努1、奈須 勇樹1、濱井 敏2、川原 慎也2、中島 康晴2、加藤 浩3 (1. 九州大学病院リハビリテーション部、2. 九州大学大学院医学研究院臨床医学部門外科学講座 整形外科学分野、3. 山形県立保健医療大学大学院)
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キーワード:

DJS、非対称性、変形性膝関節症

本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2020-395).対象者には研究の目的・方法・個人情報の保護について十分な説明を行い,書面による同意を取得した.

【目的】変形性膝関節症(膝OA)患者の歩行では,疼痛回避や関節不安定性の代償として筋の共同収縮が増加し,関節剛性を高める歩行戦略(stiffening strategy)が報告されている.関節剛性を評価する指標としては,Dynamic Joint Stiffness(DJS)がある.また,膝OAでは罹患側の剛性が高まる一方で,代償的に非罹患側の負担が増大するため,左右の非対称性を示すAsymmetry Index(AI)の評価も重要である.一方,痛みに対する心理的な評価指標として,破局的思考を評価するPain Catastrophizing Scale(PCS)や運動恐怖感の指標であるTampa Scale for Kinesiophobia(TSK)がある.しかし,DJS,及びAIとこれら心理的因子との関連は,十分に検討されていない.そこで本研究の目的は,膝OA患者の歩行時DJS,及びAIと心理的指標であるPCS,TSKとの関連を検討することである.
【方法】対象は,変形性膝関節症(KL分類grade II以上)と診断された膝OA患者26名(性別:女性20名・男性6名,平均年齢:65.4 ± 9.5歳)であった.研究デザインは,横断的研究である.歩行解析には,三次元動作分析装置を用い,初期接地〜荷重応答期の膝関節最大屈曲角度,及び膝関節屈曲モーメントからDJSを算出した.AIは(罹患側DJS − 非罹患側DJS)/ {(罹患側DJS + 非罹患側DJS)/ 2} × 100として算出した.心理的指標として,PCS(反芻,拡大視,無力感),及びTSKを評価した.統計解析では,DJS,及び膝関節屈曲角度の罹患側と非罹患側の比較には,Wilcoxon符号付順位検定(効果量r)を用いた.また,罹患側DJSとPCS・ TSK,AIとPCS・TSKとの関連性を検討するため,Spearmanの順位相関係数(rs)を用いた.
【結果】罹患側DJSは,非罹患側と比較して有意に高値(p = 0.002,r = 0.49)を示した.罹患側の膝屈曲角度は,非罹患側と比較して有意に低値(p = 0.03,r = 0.49)を示した.相関分析の結果,罹患側DJSとPCS下位尺度(無力感)との間には,有意な正の相関を認めた(rs = 0.50,p = 0.03).PCS合計との間には,有意な相関は認めなかった.罹患側DJSとTSK,AIとPCSとの間には,有意な相関を認めなかった.
【考察】本研究の結果より,罹患側DJSが高いほどPCS下位尺度の無力感が強いことが示された.膝OA患者のstiffening strategy歩行は,メカニカルストレスを抑制する適応的戦略と解釈されている.一方,痛みへの破局的思考のうち無力感は,「痛みを自ら制御できない」という認知的評価を反映し,活動制限や身体機能低下と関連することが報告されている.本研究の結果は,このような対処不能感の強さと,関節剛性を高める歩行パターンとの間に関連がある可能性を示唆するものである.すなわち,関節剛性の増大は単なる力学的適応にとどまらず,痛みに対する認知的側面を反映している可能性がある.ただし,本研究は横断的デザインであるため,因果関係については縦断的研究による検証が必要である.
【まとめ】膝OA患者において罹患側DJSは,非罹患側と比較し高値を示し,関節剛性を高める歩行特性が示された.さらに罹患側DJSはPCSの無力感と関連し,関節剛性の増大と痛みへの対処不能感との関連が示唆された.これらの結果より,DJSは力学的特性に加え,特定の認知的側面を反映する指標となりうる可能性がある.

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