講演情報

[O-16-02]多系統萎縮症疑い患者の腰椎椎体骨折後における段階的リハ介入と多職種連携が在宅復帰に寄与した一例

*富岡 一俊1、上園 竜也2、上諸 麻衣子(OT)1、瀬戸山 沙織(MSW)1、加治 智和1、竹中 俊宏(MD)1 (1. 垂水市立医療センター垂水中央病院、2. 公益社団法人肝属郡医師会立訪問看護ステーション)
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キーワード:

オリーブ橋小脳萎縮症、MSA-C、家屋調査

【倫理的配慮】本発表に際し、症例に対し書面を用いて説明し同意を得ており、当院の承認も得ている(起案26‐5‐6)。

【はじめに】多系統萎縮症は起立性低血圧等の自律神経症状、小脳性運動失調を主とした運動症状、認知障害等の非運動症状を臨床的特徴とする進行性疾患である(園田悠馬,他.2024)。今回、在宅復帰に難渋した多系統萎縮症疑い患者が、入院中の集中的なリハビリテーション(以下、リハ)と多職種の介入により自宅退院に至ったので報告する。

【症例紹介】70歳代女性。キーパーソンの夫と二人暮らしでADL自立し、自ら車を運転して外出する活動的な生活を送っていた。数年前より自宅内での躓きやすさを自覚していた。

【経過】202X年Y月、自宅内で転倒し腰痛が出現したが、鎮痛薬を内服し自宅で様子をみていた。2週後に腰痛増悪にて当院整形外科を受診し、第2腰椎椎体骨折の診断にて入院となり、同日よりリハを開始した。入院2週目より歩行器歩行練習を開始したところ、体幹動揺と上肢振戦等の運動失調様症状を認めた。入院3週目に神経内科を受診し、多系統萎縮症(オリーブ橋小脳萎縮症:MSA-C)疑いと診断された。入院8週目に住宅改修と介護保険申請の手続きを経て自宅退院し、その後は訪問リハを利用し機能維持に努めている。

【方法】理学療法は、立位バランス練習や歩行練習(歩行器からT字杖への移行)等を中心に実施した。MSA-Cの進行性を考慮し過負荷を避けながら残存機能の維持と転倒リスクの軽減を図った。ADL動作の安全性向上を目指し、作業療法士(OT)と協力して調理動作等の家事動作を中心としたADL練習を実施した。また、医療ソーシャルワーカーやケアマネージャー、OTと共に退院前の家屋調査を行い、介護保険分野での住宅改修と訪問リハの提案を行った。評価項目は介入初期と退院時に、疼痛の評価としてNRS、身体機能の評価として握力や歩行速度、連続歩行距離、バランスの評価としてBBS、運動失調の評価としてSARAを用いて実施した。

【結果】介入初期:NRS4、握力18.4kg、歩行速度0.83m/秒(歩行器)、連続歩行距離300m(歩行器)、BBS38/56点、SARA16点。退院時:NRS1、握力18.0kg、歩行速度0.97m/秒(T字杖)、連続歩行距離150m(T字杖)、BBS40/56点、SARA13点。疼痛及び運動失調の軽減を認めた。一方、連続歩行距離は短縮したが、歩行補助具は歩行器からより自由度の高いT字杖へ移行した。

【考察】本症例はMSA-C疑いという進行性疾患を背景に腰椎椎体骨折を呈した複合的病態であった。過負荷を避けた段階的な運動療法により疼痛軽減と歩行速度の向上、バランス機能の改善が得られ、介護保険での住宅改修により自宅退院が可能となった。訪問リハの際に歩行時の介助方法に関して、介護者が指導を受け、習得することにより、介護負担感の軽減や転倒事故の予防につながる可能性が報告されており(水澤英作,2018)、退院後も継続的な訪問リハによる機能維持の必要性が示唆された。入院時のリハ介入と多職種によるシームレスな連携が、安全な在宅生活の基盤整備に寄与し、自宅退院につながったと考える。

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