講演情報
[O-16-04]痙縮外来と通所リハビリテーションの連携により痙性麻痺肢の機能向上を認めた脳卒中生活期の一症例
*平川 裕紀1、中村 笑美1、池田 浩二2、外薗 昭彦3 (1. 潤和会記念病院 リハビリテーション療法部、2. 潤和会記念病院 リハビリテーション療法部 通所リハビリテーションあびりんす、3. 潤和会記念病院 リハビリテーション科)
キーワード:
脳卒中生活期、痙縮治療、地域連携
【倫理的な配慮、説明と同意】対象者には本報告の目的を説明し、書面にて同意を得た。なお、情報の匿名化を徹底し、個人情報の保護に十分に配慮した。
【目的】 脳卒中生活期患者の痙縮管理において,A型ボツリヌス療法(以下,BoNT-A)と理学療法の併用は推奨されているが,病院での介入成果が通所リハビリテーション(以下,通所リハ)等の生活期リハビリテーションへ十分に引き継がれず,情報共有の難しさが一貫した治療の妨げとなるケースは少なくない.今回,痙縮外来チームの一員として,BoNT-Aと月1回の拡散型体外衝撃波療法(以下,rESWT)を併用し,通所リハスタッフとの連携を通じて痙性麻痺肢の機能向上を認めた症例を報告する.
【症例紹介】脳梗塞発症から5年経過した70歳代女性.右片麻痺を呈し,上下肢の痙縮により歩行および日常生活動作(以下、ADL)に支障を来していた.初回評価時,右上下肢の筋緊張亢進と関節可動域(以下,ROM)制限を認め,Timed Up and Go Test(以下,TUG)は20秒、短下肢装具を常時使用していた.
【経過】本症例は,通所リハスタッフより相談を受けたことを契機に,痙縮外来での治療を開始した.外来にて3~4ヶ月周期のBoNT-A施注(通算8回)と,月1回のrESWTを定期的かつ継続的に実施した.なお、経過の途上で諸事情によりrESWTを一時中断した期間を認めた.介入に際し、「連絡ノート」を介して病院と通所リハスタッフとの双方向の連携体制の下で痙縮管理を継続した.
1. 下肢:筋緊張抑制が定着したため,下肢へのBoNT-Aは4回目で終了し,現在はrESWTも休止中だが良好なROMを維持している.TUGは遅延を認めたが,これは機能向上に伴い足底接地が安定し,装具による外部制動に頼らず自律的な重心制御へと移行した過程を反映しているものと考えられた.結果,支持性の向上により,自宅内や訓練室における裸足移動の獲得に至っている.
2. 上肢:通所リハでの訓練を通じた随意性の向上に伴い,施注部位を適宜調整しながら継続している.特筆すべき点として,rESWTの中断時に筋緊張の再増悪を認めたが,再開により速やかに再安定化した.双方向の連携により,痙縮外来での筋緊張緩和を通所リハでの機能訓練へ円滑に繋げることが可能となり,結果として爪切りやペットボトルの開栓といった具体的なADLの獲得に至った.
【考察】本症例の良好な経過は,BoNT-Aによる筋弛緩作用とrESWTによる軟部組織の柔軟性向上との相乗効果に加え,通所リハとの連携が大きく寄与したと考えられる.専門外来での介入による生体機能の変化を,通所リハでの実践的な課題指向型訓練へと繋げたことが,生活場面における運動学習の促進を導いた。その結果,裸足歩行の獲得や,爪切り・ペットボトルの開栓といった緻密なADLの実現に至った.このような双方向の連携は,生活期における機能向上の可能性を提示する一つの臨床的経過と言える.すなわち,外来での筋緊張ならびに組織粘弾性の調整と,日々の生活場面に即した介入との相互作用が,生活期における動作の再獲得を促進したことが示唆される.専門外来での治療と通所リハをシームレスに連結させる試みはBoNT-Aの必要性の減少や機能変化に応じた細やかな調整を可能にし,生活期における多様なニーズに応えるための有効な選択肢の一つになり得ると考えられる.
【まとめ】痙縮外来と通所リハの連携によりADLが向上した一症例を報告した.本症例が,生活期の多様なニーズに即した,途切れのない継続的な地域支援のあり方を模索する上で一助となれば幸いである.
【目的】 脳卒中生活期患者の痙縮管理において,A型ボツリヌス療法(以下,BoNT-A)と理学療法の併用は推奨されているが,病院での介入成果が通所リハビリテーション(以下,通所リハ)等の生活期リハビリテーションへ十分に引き継がれず,情報共有の難しさが一貫した治療の妨げとなるケースは少なくない.今回,痙縮外来チームの一員として,BoNT-Aと月1回の拡散型体外衝撃波療法(以下,rESWT)を併用し,通所リハスタッフとの連携を通じて痙性麻痺肢の機能向上を認めた症例を報告する.
【症例紹介】脳梗塞発症から5年経過した70歳代女性.右片麻痺を呈し,上下肢の痙縮により歩行および日常生活動作(以下、ADL)に支障を来していた.初回評価時,右上下肢の筋緊張亢進と関節可動域(以下,ROM)制限を認め,Timed Up and Go Test(以下,TUG)は20秒、短下肢装具を常時使用していた.
【経過】本症例は,通所リハスタッフより相談を受けたことを契機に,痙縮外来での治療を開始した.外来にて3~4ヶ月周期のBoNT-A施注(通算8回)と,月1回のrESWTを定期的かつ継続的に実施した.なお、経過の途上で諸事情によりrESWTを一時中断した期間を認めた.介入に際し、「連絡ノート」を介して病院と通所リハスタッフとの双方向の連携体制の下で痙縮管理を継続した.
1. 下肢:筋緊張抑制が定着したため,下肢へのBoNT-Aは4回目で終了し,現在はrESWTも休止中だが良好なROMを維持している.TUGは遅延を認めたが,これは機能向上に伴い足底接地が安定し,装具による外部制動に頼らず自律的な重心制御へと移行した過程を反映しているものと考えられた.結果,支持性の向上により,自宅内や訓練室における裸足移動の獲得に至っている.
2. 上肢:通所リハでの訓練を通じた随意性の向上に伴い,施注部位を適宜調整しながら継続している.特筆すべき点として,rESWTの中断時に筋緊張の再増悪を認めたが,再開により速やかに再安定化した.双方向の連携により,痙縮外来での筋緊張緩和を通所リハでの機能訓練へ円滑に繋げることが可能となり,結果として爪切りやペットボトルの開栓といった具体的なADLの獲得に至った.
【考察】本症例の良好な経過は,BoNT-Aによる筋弛緩作用とrESWTによる軟部組織の柔軟性向上との相乗効果に加え,通所リハとの連携が大きく寄与したと考えられる.専門外来での介入による生体機能の変化を,通所リハでの実践的な課題指向型訓練へと繋げたことが,生活場面における運動学習の促進を導いた。その結果,裸足歩行の獲得や,爪切り・ペットボトルの開栓といった緻密なADLの実現に至った.このような双方向の連携は,生活期における機能向上の可能性を提示する一つの臨床的経過と言える.すなわち,外来での筋緊張ならびに組織粘弾性の調整と,日々の生活場面に即した介入との相互作用が,生活期における動作の再獲得を促進したことが示唆される.専門外来での治療と通所リハをシームレスに連結させる試みはBoNT-Aの必要性の減少や機能変化に応じた細やかな調整を可能にし,生活期における多様なニーズに応えるための有効な選択肢の一つになり得ると考えられる.
【まとめ】痙縮外来と通所リハの連携によりADLが向上した一症例を報告した.本症例が,生活期の多様なニーズに即した,途切れのない継続的な地域支援のあり方を模索する上で一助となれば幸いである.
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