講演情報

[O-17-04]上腕骨外側上顆炎女性患者における下垂位肩関節回旋可動域と前腕可動域及び握力の関連

*野崎 貴博1、相良 優太1、本多 一平1 (1. 愛野記念病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

上腕骨外側上顆炎、握力、前腕回外可動域

本研究は対象者に研究内容を説明し同意を得たうえで実施し、得られた情報は匿名化して管理した。

【背景・目的】
上腕骨外側上顆炎(lateral humeral epicondylitis:LE)は短橈側手根伸筋を中心とした腱付着部炎であり,握力低下や把持動作時痛を主症状とする.臨床において,LE女性患者の把持動作時に肩関節回旋肢位の変化が上肢運動連鎖を介して握力発揮へ影響する可能性を経験する。正常な把持動作には肩関節回旋と前腕回内・回外運動の協調が関与すると考えられるが、LEにおけるこれらの関係を検討した報告は少ない.本研究の目的は,LE女性患者における肩・前腕可動域と握力との関係を健常者と比較し,その特徴を明らかにすることである.
【方法】
対象はLE女性17名(58.1±8.5歳:以下LE群)および年齢を一致させた健常女性10名(55.9±7.0歳:以下健常群)とした.両側罹患例および非利き手側罹患例は除外した.測定項目は,下垂位肩関節外旋自動可動域,前腕回内・回外自動可動域(肘関節90°屈曲位),および握力とした.さらに,上肢を自然下垂させた状態から肘関節を90°自動屈曲させた際の肩関節回旋角度を下垂位肩関節内旋可動域として定義した.解析は,LE群を罹患側と非罹患側に,健常群を利き手側と非利き手側に分け,各郡の罹患側と利き手側を対応させMann-WhitneyのU検定を用いて比較を行った.また,各群において肩関節内外旋可動域,前腕回内外可動域および握力の関連をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.有意水準は5%とした.
【結果】
LE群の罹患側では,健常群の利き手側と比較して,下垂位肩関節外旋可動域と前腕回外可動域及び握力が有意に低下していた(p<0.05).一方,下垂位肩関節内旋可動域は有意に増大していた(p<0.05).さらに,相関分析の結果,LE群の罹患側に前腕回外可動域と握力に有意な負の相関(r=-0.70,p=0.002)が認められ,非罹患側にも同様の相関が認められた(r=-0.51,p=0.029).一方,健常群では有意な関連は認められなかった.
【考察】
本研究より,LE女性患者の罹患側では,下垂位における肩関節回旋可動域が内旋方向へ偏位することが認められた.さらにLE群の罹患側には,下垂位肩関節外旋可動域と前腕回外可動域及び握力に有意な低下を認め,LE群の両側の前腕回外可動域と握力に負の相関を認めた.これらの結果より,LE女性においては肩甲帯を含めた肩関節機能及び手関節伸筋群の機能低下と疼痛が要因となり把持動作時の筋出力が制限される可能性があることが考えられた.また,回外位での筋出力発揮が困難となりやすく,LE女性では異なる前腕肢位での代償的な運動戦略が選択されている可能性が考えられた.以上より,LE女性患者の評価において,肩関節回旋可動域および前腕回内外可動域に着目することが重要な要素である可能性が示唆された.

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