講演情報
[O-2-01]特発性正常圧水頭症患者のシャント術後のTUG改善度に及ぼす要因の検討
*髙塚 翔太郎1、筑紫 和幸1、東 龍之介1 (1. 熊本市民病院)
キーワード:
正常圧水頭症、TUG、シャント術
本研究は熊本市民病院倫理審査委員会の承認(承認番号725)を得て実施した。また、対象者にオプトアウト方式を通じて不参加の機会を提供し、データは匿名化され個人情報の保護に十分配慮した。
【背景・目的】
特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:以下iNPH)は歩行障害、認知障害、排尿障害を3大徴候とする進行性の疾患である。3大徴候のうち、歩行障害が最も多く、広基性歩行、小刻み歩行、すり足歩行などが特徴であり、水頭症シャント手術によって症状の改善が期待される。一般的なiNPH患者の歩行検査の一つにTimed up & Go test(以下TUG)があげられる。TUGは歩行、方向転換、着座など複数の動作を検査することが可能であり、簡易検査として有用性が確認されている。当院においてもiNPH患者の歩行評価として用いているが、TUG改善度には個人差がみられており、先行研究においてもTUG改善度に対する報告は散見される程度である。本研究の目的はシャント術後、リハビリテーションを提供したiNPH患者のTUG改善度に影響を与える要因を検討することである。
【対象・方法】
対象は2022年4月1日~2025年3月31日に当院でシャント術を施行し、リハビリテーションを提供したiNPH患者60名とした。除外基準は続発性水頭症の患者、シャント術後検査が実施困難であった患者とした。評価項目はTUG(時間、歩数)、性別、年齢、BMI、アルブミン値、MMSE、BI、在院日数、歩行形態、術後から歩行開始に要した日数、リハビリテーション単位数・介入期間とした。TUG、MMSEはシャント術効果判定のためのタップテスト前とシャント術後7日目で計測し、変化率も算出した。先行研究よりシャント術前後のTUG歩行時間の改善率13%(minimai clinically important difference:以下MCID)をカットオフとし、TUGの改善度が13%以上を改善群、13%未満を非改善群とした。2群間の比較はχ2乗検定もしくはMann-Whitney U検定を実施した。統計解析はEZRver2.7-1 を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】
解析対象は49名であり、改善群は19名(男性15名、女性4名、平均年齢77.2歳±5.2)、非改善群は30名(男性17名、女性13名、平均年齢78.4歳±6.9)であった。除外者は11名であった。統計解析の結果、術後から歩行開始に要した日数、TUG歩数(変化率)で有意差を示した。一方、その他評価項目では改善群と非改善群の間に有意差を認めなかった。
【考察】
術後から歩行開始に要した日数の短縮とTUG歩数の減少がTUG改善度に関与していた。術後の早期離床は廃用予防だけでなく、早期の歩行確立、歩行能力改善に影響を与える。本研究ではシャント術後評価を術後7日目に計測しており、とくに早期離床にともなう活動量の増大がTUG改善度に影響したと考えられる。これは術後早期のリハビリテーションの必要性を表していると考えられる。TUG歩数(変化率)に関しては、先行研究でiNPH患者の歩行速度の改善には歩幅の拡大の影響が示されており、本研究においても同様の結果と考える。一方、リハビリテーション介入期間、単位数では有意差が認められなかった。先行研究ではリハビリテーション期間の延長と歩行改善度の関係が報告されているが、本研究は術後早期と限定的であったことから有意差に至らなかったと考える。
【結語】
iNPHシャント術後患者のTUG改善には術後早期の歩行開始と歩行時の歩幅の拡大が影響する可能性が示唆された。
【背景・目的】
特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:以下iNPH)は歩行障害、認知障害、排尿障害を3大徴候とする進行性の疾患である。3大徴候のうち、歩行障害が最も多く、広基性歩行、小刻み歩行、すり足歩行などが特徴であり、水頭症シャント手術によって症状の改善が期待される。一般的なiNPH患者の歩行検査の一つにTimed up & Go test(以下TUG)があげられる。TUGは歩行、方向転換、着座など複数の動作を検査することが可能であり、簡易検査として有用性が確認されている。当院においてもiNPH患者の歩行評価として用いているが、TUG改善度には個人差がみられており、先行研究においてもTUG改善度に対する報告は散見される程度である。本研究の目的はシャント術後、リハビリテーションを提供したiNPH患者のTUG改善度に影響を与える要因を検討することである。
【対象・方法】
対象は2022年4月1日~2025年3月31日に当院でシャント術を施行し、リハビリテーションを提供したiNPH患者60名とした。除外基準は続発性水頭症の患者、シャント術後検査が実施困難であった患者とした。評価項目はTUG(時間、歩数)、性別、年齢、BMI、アルブミン値、MMSE、BI、在院日数、歩行形態、術後から歩行開始に要した日数、リハビリテーション単位数・介入期間とした。TUG、MMSEはシャント術効果判定のためのタップテスト前とシャント術後7日目で計測し、変化率も算出した。先行研究よりシャント術前後のTUG歩行時間の改善率13%(minimai clinically important difference:以下MCID)をカットオフとし、TUGの改善度が13%以上を改善群、13%未満を非改善群とした。2群間の比較はχ2乗検定もしくはMann-Whitney U検定を実施した。統計解析はEZRver2.7-1 を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】
解析対象は49名であり、改善群は19名(男性15名、女性4名、平均年齢77.2歳±5.2)、非改善群は30名(男性17名、女性13名、平均年齢78.4歳±6.9)であった。除外者は11名であった。統計解析の結果、術後から歩行開始に要した日数、TUG歩数(変化率)で有意差を示した。一方、その他評価項目では改善群と非改善群の間に有意差を認めなかった。
【考察】
術後から歩行開始に要した日数の短縮とTUG歩数の減少がTUG改善度に関与していた。術後の早期離床は廃用予防だけでなく、早期の歩行確立、歩行能力改善に影響を与える。本研究ではシャント術後評価を術後7日目に計測しており、とくに早期離床にともなう活動量の増大がTUG改善度に影響したと考えられる。これは術後早期のリハビリテーションの必要性を表していると考えられる。TUG歩数(変化率)に関しては、先行研究でiNPH患者の歩行速度の改善には歩幅の拡大の影響が示されており、本研究においても同様の結果と考える。一方、リハビリテーション介入期間、単位数では有意差が認められなかった。先行研究ではリハビリテーション期間の延長と歩行改善度の関係が報告されているが、本研究は術後早期と限定的であったことから有意差に至らなかったと考える。
【結語】
iNPHシャント術後患者のTUG改善には術後早期の歩行開始と歩行時の歩幅の拡大が影響する可能性が示唆された。
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