講演情報
[O-3-01]中高生アスリートにおけるハムストリングス肉離れの競技復帰時期と再発に関する検討
*白石 佳成1、田渕 俊紀1 (1. 百武整形外科・スポーツクリニックリハビリテーション部)
キーワード:
ハムストリングス肉離れ、中高生アスリート、競技復帰時期
本研究は、対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得て実施した。
【はじめに】ハムストリングス肉離れは、全肉離れの37~40%を占め、最も発生頻度が高い。当院では、JISS分類に基づいた損傷程度を競技復帰(RTP)時期判断の参考としている。しかし、JISS分類に基づくRTP時期に関する報告は主にトップアスリートや成人アスリートを対象としたものが多く、中高生アスリートに関する報告は限られている。
【目的】本研究の目的は、中高生アスリートにおけるハムストリングス肉離れのJISS分類とRTP時期との関連、および再発との関係を明らかにすることとした。
【方法】対象は2021年1月から2026年1月に当院でハムストリングス肉離れと診断され、RTP時期が明瞭であった27例とし、カルテを用いて後ろ向きに調査を行った。包含基準は、12-18歳、MRIによる画像診断およびリハビリテーションを実施した症例とした。除外基準は、他関節の同時受傷例、フォローアップ不能例とした。損傷型は、筋線維型(Ⅰ型)と腱膜型(Ⅱ型)に分け、損傷部位は内側群と外側群に分類した。なお、診断・読影・分類に関しては1名の医師がMRI所見に基づき、JISS分類に従い行った。本研究のRTP時期は、主治医および理学療法士が疼痛とスポーツ動作を評価し、RTPを許可した時点と定義した。また再発は、RTP後に同部位の症状再燃により当院に受診し競技離脱を要したものと定義した。競技復帰時期に関して統計学的に解析し、有意水準は5%未満とした。
【結果】損傷型はI型が13例(内側7例、外側6例)、Ⅱ型で14例(内側7例、外側7例)であった。平均RTP時期はI型で28.6日、Ⅱ型で50.9日であった。I型はⅡ型に比べて復帰時期が有意に早かった(p<0.05、d=0.93)。再発は5例(18.5%)に認められ、うち3例はRTP後2ヶ月以内に発生した。これらはいずれもⅠ型の外側例であり、RTP時に疼痛が残存していた症例であった。
【考察】中高生アスリートにおいてもI型はⅡ型に比べ早期復帰が可能であり、これは成人アスリートを対象とした先行研究とも一致した。筋線維は血流に富む一方、腱膜は血流が乏しいことが組織修復に時間を要し、復帰時期に差が生じたと考えられる。一方、Ⅰ型では早期復帰となる傾向があるため、組織修復が十分でない段階で高負荷が加わり、再受傷リスクが高まる可能性がある。本研究においても2ヶ月以内の再発例は全てⅠ型外側例であり、かつ疼痛が残存していたことから、疼痛の残存は再受傷リスクとなる可能性が示唆される。臨床では競技日程やチーム状況により十分な機能回復が得られないまま復帰する症例も存在するため、患者や保護者、チームスタッフに対する、十分な説明と負荷管理が重要である。
【本研究の限界】後ろ向き研究であり症例数が少ない点が挙げられる。また、重症度や身体機能、競技種目、競技レベルを考慮できないため、今後は症例数を増加させ、より包括的な検討が必要である。
【まとめ】中高生アスリートにおけるハムストリングス肉離れに対するJISS分類はRTP時期と関連し、復帰時期予測の一助となる可能性が示唆された。また、疼痛残存下でのRTPは早期再発のリスクとなる可能性がある。
【はじめに】ハムストリングス肉離れは、全肉離れの37~40%を占め、最も発生頻度が高い。当院では、JISS分類に基づいた損傷程度を競技復帰(RTP)時期判断の参考としている。しかし、JISS分類に基づくRTP時期に関する報告は主にトップアスリートや成人アスリートを対象としたものが多く、中高生アスリートに関する報告は限られている。
【目的】本研究の目的は、中高生アスリートにおけるハムストリングス肉離れのJISS分類とRTP時期との関連、および再発との関係を明らかにすることとした。
【方法】対象は2021年1月から2026年1月に当院でハムストリングス肉離れと診断され、RTP時期が明瞭であった27例とし、カルテを用いて後ろ向きに調査を行った。包含基準は、12-18歳、MRIによる画像診断およびリハビリテーションを実施した症例とした。除外基準は、他関節の同時受傷例、フォローアップ不能例とした。損傷型は、筋線維型(Ⅰ型)と腱膜型(Ⅱ型)に分け、損傷部位は内側群と外側群に分類した。なお、診断・読影・分類に関しては1名の医師がMRI所見に基づき、JISS分類に従い行った。本研究のRTP時期は、主治医および理学療法士が疼痛とスポーツ動作を評価し、RTPを許可した時点と定義した。また再発は、RTP後に同部位の症状再燃により当院に受診し競技離脱を要したものと定義した。競技復帰時期に関して統計学的に解析し、有意水準は5%未満とした。
【結果】損傷型はI型が13例(内側7例、外側6例)、Ⅱ型で14例(内側7例、外側7例)であった。平均RTP時期はI型で28.6日、Ⅱ型で50.9日であった。I型はⅡ型に比べて復帰時期が有意に早かった(p<0.05、d=0.93)。再発は5例(18.5%)に認められ、うち3例はRTP後2ヶ月以内に発生した。これらはいずれもⅠ型の外側例であり、RTP時に疼痛が残存していた症例であった。
【考察】中高生アスリートにおいてもI型はⅡ型に比べ早期復帰が可能であり、これは成人アスリートを対象とした先行研究とも一致した。筋線維は血流に富む一方、腱膜は血流が乏しいことが組織修復に時間を要し、復帰時期に差が生じたと考えられる。一方、Ⅰ型では早期復帰となる傾向があるため、組織修復が十分でない段階で高負荷が加わり、再受傷リスクが高まる可能性がある。本研究においても2ヶ月以内の再発例は全てⅠ型外側例であり、かつ疼痛が残存していたことから、疼痛の残存は再受傷リスクとなる可能性が示唆される。臨床では競技日程やチーム状況により十分な機能回復が得られないまま復帰する症例も存在するため、患者や保護者、チームスタッフに対する、十分な説明と負荷管理が重要である。
【本研究の限界】後ろ向き研究であり症例数が少ない点が挙げられる。また、重症度や身体機能、競技種目、競技レベルを考慮できないため、今後は症例数を増加させ、より包括的な検討が必要である。
【まとめ】中高生アスリートにおけるハムストリングス肉離れに対するJISS分類はRTP時期と関連し、復帰時期予測の一助となる可能性が示唆された。また、疼痛残存下でのRTPは早期再発のリスクとなる可能性がある。
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