講演情報
[O-3-02]術前%BWからみたQT ACLR術後の短期筋力の回復予測
*田渕 俊紀1、井手 智輝1、上原 博斗1、野中 咲希1、江頭 正英1、蒲原 悠汰1、立川 千紘1、西古 亨太2 (1. 百武整形外科・スポーツクリニック リハビリテーション部、2. 百武整形外科・スポーツクリニック 整形外科)
キーワード:
QT ACLR、短期筋力、術前予測
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に準拠し,対象者に対して本研究の趣旨及び方法,結果の取り扱いについて十分な説明を行い,同意を得た上で実施した.
【はじめに】
大腿四頭筋腱を用いた前十字靱帯再建術(以下QT ACLR)において再断裂率の低下を期待できる一方、膝伸展筋力の回復に時間を要することが報告されている。当院では安全なジョギング開始の目安として術後4か月で患健比(以下QLSI)60%以上を目標としているが、回復に難渋する症例も経験する。そのため、本研究はQT ACLR術後4か月におけるQLSI60%以上に影響する術前因子を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
2023年7月から2025年11月に当院にて手術を行ったQT ACLR患者のうち、術前と術後4か月の等速性膝伸展筋力を測定可能であった52例52膝(平均年齢26.9歳、男性28例、女性24例)とした。ピークトルクから患側の体重比(以下%BW)とQLSIを算出した。まずStep1として、術後4か月のQLSI60%以上H群と60%未満L群に分け、年齢、性別、BMI、競技レベル、術前患側%BW、術前QLSI、術前KOOS各項目について群間比較を行った。比較には2標本t検定もしくはMann-Whitney U検定、Fisherの正確確率検定を用いた。次にStep2として、術後4か月QLSI60 %と術前%BWの関係についてカットオフ値と相関係数を算出した。カットオフ値の算出にはROC分析を、相関係数にはSpearmanの順位相関係数を用いて算出した。統計解析はRを使用し有意水準は5%未満とした。
【結果】
術後4か月でQLSI60%を超えたH群は16例、60%未満L群は36例であった。Step1群間比較において年齢、BMI、競技レベル、術前QLSI、KOOSに有意差がみられなかった。H群において有意に男性が多く(p=0.002、OR=10.49)、患側%BWは高値であった(p=0.002、d=0.98)。Step2術後4か月QLSI60%達成に対する術前患側%BWのROC分析では、カットオフ値188%、感度86%、特異度63 %、AUC 0.758であった。また、相関分析において中程度の正の相関が認められた(r=0.41、p=0.003)。
【考察】
本研究の結果より、QT ACLR術後4か月における膝伸展筋力の回復(QLSI60 %以上)には、術前患側%BWおよび性別が関連因子である可能性が示唆された。まず術前患側%BWはH群で有意に高値を示し、さらにROC分析においてカットオフ値188%、中等度の判別能を有していた。先行研究では術前の筋力が術後筋力に影響を及ぼすことが報告されており、本研究においても同様の傾向を示した。また術後の関節原性筋抑制によって引き起こされる筋萎縮に対して、術前筋力が高い症例では効果的に作用した可能性が考えられた。性別に関してはH群で男性が有意に多い結果となった。術後の筋力回復に影響した可能性があるものの交絡の影響については検討できておらず、今後の検討が必要と考える。本研究の臨床的意義として、今回得られたカットオフ値を介入指標として術前から積極的な筋力強化介入、術後の加速的リハビリテーションといったリスク層別化に有用である可能性が考えられる。 一方、本研究の限界としてサンプルサイズが小さいことに加え、説明変数間の多重共線性の影響が懸念されたため、多変量解析は実施していない。そのため、交絡の影響と独立した関連因子については今後の課題である。
【結論】
QT ACLR術後4か月におけるQLSI60%達成には術前患側膝伸展筋力および性別が関連することが示唆された。特に術前患側%BWは有用な予測指標となる可能性がある。
ヘルシンキ宣言に準拠し,対象者に対して本研究の趣旨及び方法,結果の取り扱いについて十分な説明を行い,同意を得た上で実施した.
【はじめに】
大腿四頭筋腱を用いた前十字靱帯再建術(以下QT ACLR)において再断裂率の低下を期待できる一方、膝伸展筋力の回復に時間を要することが報告されている。当院では安全なジョギング開始の目安として術後4か月で患健比(以下QLSI)60%以上を目標としているが、回復に難渋する症例も経験する。そのため、本研究はQT ACLR術後4か月におけるQLSI60%以上に影響する術前因子を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
2023年7月から2025年11月に当院にて手術を行ったQT ACLR患者のうち、術前と術後4か月の等速性膝伸展筋力を測定可能であった52例52膝(平均年齢26.9歳、男性28例、女性24例)とした。ピークトルクから患側の体重比(以下%BW)とQLSIを算出した。まずStep1として、術後4か月のQLSI60%以上H群と60%未満L群に分け、年齢、性別、BMI、競技レベル、術前患側%BW、術前QLSI、術前KOOS各項目について群間比較を行った。比較には2標本t検定もしくはMann-Whitney U検定、Fisherの正確確率検定を用いた。次にStep2として、術後4か月QLSI60 %と術前%BWの関係についてカットオフ値と相関係数を算出した。カットオフ値の算出にはROC分析を、相関係数にはSpearmanの順位相関係数を用いて算出した。統計解析はRを使用し有意水準は5%未満とした。
【結果】
術後4か月でQLSI60%を超えたH群は16例、60%未満L群は36例であった。Step1群間比較において年齢、BMI、競技レベル、術前QLSI、KOOSに有意差がみられなかった。H群において有意に男性が多く(p=0.002、OR=10.49)、患側%BWは高値であった(p=0.002、d=0.98)。Step2術後4か月QLSI60%達成に対する術前患側%BWのROC分析では、カットオフ値188%、感度86%、特異度63 %、AUC 0.758であった。また、相関分析において中程度の正の相関が認められた(r=0.41、p=0.003)。
【考察】
本研究の結果より、QT ACLR術後4か月における膝伸展筋力の回復(QLSI60 %以上)には、術前患側%BWおよび性別が関連因子である可能性が示唆された。まず術前患側%BWはH群で有意に高値を示し、さらにROC分析においてカットオフ値188%、中等度の判別能を有していた。先行研究では術前の筋力が術後筋力に影響を及ぼすことが報告されており、本研究においても同様の傾向を示した。また術後の関節原性筋抑制によって引き起こされる筋萎縮に対して、術前筋力が高い症例では効果的に作用した可能性が考えられた。性別に関してはH群で男性が有意に多い結果となった。術後の筋力回復に影響した可能性があるものの交絡の影響については検討できておらず、今後の検討が必要と考える。本研究の臨床的意義として、今回得られたカットオフ値を介入指標として術前から積極的な筋力強化介入、術後の加速的リハビリテーションといったリスク層別化に有用である可能性が考えられる。 一方、本研究の限界としてサンプルサイズが小さいことに加え、説明変数間の多重共線性の影響が懸念されたため、多変量解析は実施していない。そのため、交絡の影響と独立した関連因子については今後の課題である。
【結論】
QT ACLR術後4か月におけるQLSI60%達成には術前患側膝伸展筋力および性別が関連することが示唆された。特に術前患側%BWは有用な予測指標となる可能性がある。
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