講演情報
[O-4-01]医療・介護関連肺炎患者における入院関連機能障害と栄養・全身状態の関連
*松尾 涼平1、藤田 大輔2 (1. 社会医療法人福西会 福西会病院、2. 福岡国際医療福祉大学 医療学部 理学療法学科)
キーワード:
医療・介護関連肺炎、入院関連機能障害、栄養
本研究は後方視的観察研究として、対象患者から入院時に診療情報の研究利用に関する包括的同意を取得し、所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【目的】
医療・介護関連肺炎(NHCAP)患者は高齢者に多く、入院前より日常生活動作(ADL)能力低下、複数の基礎疾患を有する。また、予後には低栄養状態が関与することが報告されている。このようなNHCAP患者の特徴は、入院関連機能障害(HAD)の発生と関連している。HADは入院を契機としたADL低下を示し、死亡リスクや再入院率と関連することから対策が重要である。しかし、NHCAP患者においてGLIM基準に基づく栄養状態とHADの発生との関連は十分に検討されていない。本研究の目的は、NHCAP患者を対象に入院時のGLIM基準による栄養状態とHADの発生との関連を検討することとした。
【方法】
本研究は後方視的観察研究である。2025年12月15日から2026年3月15日に当院急性期内科病棟へNHCAPで入院し、リハビリテーション治療を受けた65歳以上の連続症例を対象とした。除外基準は、病前Katz Index(Katz)が0点の症例および入院中に死亡した症例とした。HADの定義は、退院時Katzが入院前Katzより低下した場合とし、対象者をHAD群と非HAD群の2群に分けた。測定項目は診療録より後方視的に抽出し、年齢、BMI、性別、GLIM基準、アルブミン(Alb)、C反応性蛋白(CRP)、身体機能(Short Physical Performance Battery(SPPB))、Katzを入院時と退院時で収集した。栄養状態は入院時にGLIM基準に基づいて評価し、低栄養の有無を判定した。AlbおよびCRP、SPPBについては各指標の変化量(Δ退院時-入院時)を算出した。統計学的解析は、HAD群と非HAD群における各測定項目を比較するために連続変数の正規性に合わせて、対応のないt検定またはMann-Whitney U検定を行い、カテゴリー変数の比較には、Fisherの正確確率検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象期間中のNHCAP患者は48例であり、このうち病前Katzが0点の20例および死亡退院1例を除外し、解析対象は27例であった。HADは14/27名(51.9%)に認められた。GLIM基準による低栄養の割合は、HAD群で71.4%、非HAD群で61.5%であり、群間差を認めなかった。血液検査では、ΔCRPに差を認めなかった一方で、HAD群の退院時AlbとΔAlbは有意に低値を示した。また、年齢、BMI、性別、在院日数、退院時SPPB、ΔSPPBは群間差を認めなかった。
【考察】
本研究の結果、HADはNHCAP患者の半数以上に認められた。しかし、入院時の栄養状態や身体機能の変化量はHADと関連を認めなかった。本研究の対象者は入院前よりADL低下をきたしている症例が多く、入院を契機としてさらに機能低下をきたしやすい集団であると考えられる。そのため、入院時栄養状態や身体機能評価のみではHADの発生との関連を説明できなかった可能性がある。一方、退院時Alb、ΔAlbはHAD群で有意に低値であった。この結果は、炎症からの回復がHADの発生に関与している可能性が考えられる。以上のことから、NHCAP患者のHAD対策には、炎症からの回復過程を踏まえたリハビリテーションの重要性が示唆される。なお、本研究は、少数例の後方視的観察研究であり、入院前ADLや交絡因子の評価が不十分であるため、症例数を増やし、HADの発生要因を検討する必要がある。
【まとめ】
NHCAP患者においてGLIM基準による低栄養の有無はHADの発生と関連を認めなかった。一方で、入院中の炎症からの回復がHADの発生に関与する可能性が示された。
【目的】
医療・介護関連肺炎(NHCAP)患者は高齢者に多く、入院前より日常生活動作(ADL)能力低下、複数の基礎疾患を有する。また、予後には低栄養状態が関与することが報告されている。このようなNHCAP患者の特徴は、入院関連機能障害(HAD)の発生と関連している。HADは入院を契機としたADL低下を示し、死亡リスクや再入院率と関連することから対策が重要である。しかし、NHCAP患者においてGLIM基準に基づく栄養状態とHADの発生との関連は十分に検討されていない。本研究の目的は、NHCAP患者を対象に入院時のGLIM基準による栄養状態とHADの発生との関連を検討することとした。
【方法】
本研究は後方視的観察研究である。2025年12月15日から2026年3月15日に当院急性期内科病棟へNHCAPで入院し、リハビリテーション治療を受けた65歳以上の連続症例を対象とした。除外基準は、病前Katz Index(Katz)が0点の症例および入院中に死亡した症例とした。HADの定義は、退院時Katzが入院前Katzより低下した場合とし、対象者をHAD群と非HAD群の2群に分けた。測定項目は診療録より後方視的に抽出し、年齢、BMI、性別、GLIM基準、アルブミン(Alb)、C反応性蛋白(CRP)、身体機能(Short Physical Performance Battery(SPPB))、Katzを入院時と退院時で収集した。栄養状態は入院時にGLIM基準に基づいて評価し、低栄養の有無を判定した。AlbおよびCRP、SPPBについては各指標の変化量(Δ退院時-入院時)を算出した。統計学的解析は、HAD群と非HAD群における各測定項目を比較するために連続変数の正規性に合わせて、対応のないt検定またはMann-Whitney U検定を行い、カテゴリー変数の比較には、Fisherの正確確率検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象期間中のNHCAP患者は48例であり、このうち病前Katzが0点の20例および死亡退院1例を除外し、解析対象は27例であった。HADは14/27名(51.9%)に認められた。GLIM基準による低栄養の割合は、HAD群で71.4%、非HAD群で61.5%であり、群間差を認めなかった。血液検査では、ΔCRPに差を認めなかった一方で、HAD群の退院時AlbとΔAlbは有意に低値を示した。また、年齢、BMI、性別、在院日数、退院時SPPB、ΔSPPBは群間差を認めなかった。
【考察】
本研究の結果、HADはNHCAP患者の半数以上に認められた。しかし、入院時の栄養状態や身体機能の変化量はHADと関連を認めなかった。本研究の対象者は入院前よりADL低下をきたしている症例が多く、入院を契機としてさらに機能低下をきたしやすい集団であると考えられる。そのため、入院時栄養状態や身体機能評価のみではHADの発生との関連を説明できなかった可能性がある。一方、退院時Alb、ΔAlbはHAD群で有意に低値であった。この結果は、炎症からの回復がHADの発生に関与している可能性が考えられる。以上のことから、NHCAP患者のHAD対策には、炎症からの回復過程を踏まえたリハビリテーションの重要性が示唆される。なお、本研究は、少数例の後方視的観察研究であり、入院前ADLや交絡因子の評価が不十分であるため、症例数を増やし、HADの発生要因を検討する必要がある。
【まとめ】
NHCAP患者においてGLIM基準による低栄養の有無はHADの発生と関連を認めなかった。一方で、入院中の炎症からの回復がHADの発生に関与する可能性が示された。
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