講演情報
[O-4-03]当院におけるRobotic MVP導入初期における離床状況と離床を阻害する要因の追加報告~MICS MVP群との比較〜
*祖慶 竜一郎1、金城 功治1、崎浜 正吾1、山内 昭彦2 (1. 友愛医療センター リハビリテーション科、2. 友愛医療センター 心臓血管外科)
キーワード:
ロボット支援下僧帽弁形成術、低侵襲僧帽弁形成術、心臓リハビリテーション
【倫理的配慮】本研究は当院臨床研究審査委員会の承認(承認番号:R05R037)を得て、ヘルシンキ宣言に基づき実施した。
【目的】
近年、心臓外科手術後の早期離床は術後合併症の予防や術後在院日数短縮に寄与するとの報告がある1-3)。当院では2020年よりMinimally Invasive Cardiac Surgery Mitral Valve Plasty(以下MICS MVP)が施行され、2023年5月よりRobotic Mitral Valve Plasty (以下Robotic MVP)を導入した。豪州での先行研究によるとMICS MVPと比較し低侵襲のRobotic MVPは安全性や有効性が示唆されており、早期離床の安全性も確立されてきている4-6)。一方でRobotic MVP導入初期の離床状況・実態の経過においては未だ少ないのが現状である。2024年の第一報に続き、今回新規60症例を追加し、術後48時間以内の離床状況と阻害要因を再検討し第二報として報告する。
【方法】
2022年1月〜2026年4月に当院でMVPを施行した80名(Robotic群40名、MICS群40名)を対象とした。診療録より患者背景、経胸壁心エコー、術中指標(麻酔時間・挿管時間・大動脈遮断時間・自己心肺時間、出血量、in-outバランス)、術後経過(挿管時間・ICU在室日数・術後在院日数・立位・歩行獲得日数)、手術前後の身体機能(FIM・SPPB・握力・膝伸展筋力)、離床阻害因子の有無を後方視的に調査した。統計ソフトは、EZRを使用し統計解析は2群間の比較にStudent-Ttest、Mann-Whitney Utest、χ2‐testを用い、有意水準は5%とした。
【結果】
離床阻害因子(血圧不安定)、麻酔・大動脈遮断時間、術中出血量、術後在院日数、術前後4m歩行において有意な群間差を認めた(以下、Robotic MVP群 vs MICS MVP群の順。連続変数は中央値[四分位範囲]、または平均値±標準偏差で表記)。離床阻害因子は30% vs 57%(p<0.02)であり、うち血圧不安定(平均血圧65mmHg未満)が3% vs 17%(p<0.05)とRobotic MVP群で低値を示した。術中指標では、麻酔時間が436 [393-476] vs 477 [417-549]分(p<0.04)、大動脈遮断時間が140 [121-170] vs 162 [135-200]分(p<0.03)、術中出血量が1250 [908-1581] vs 620 [413-1120]ml(p<0.001)であった。術後経過・機能面では、術後在院日数が5 [4-6.25] vs 7 [4-12]日(p<0.001)、術前4m歩行が3.98±0.15 vs 3.75±0.54秒(p<0.013)、術後4m歩行が3.97±0.15 vs 3.8±0.15秒(p<0.043)であった。
【考察】
第一報においてRobotic MVP群は離床阻害因子が少ない傾向を示した。今回新規症例を追加し分析した結果、特に血圧不安定による阻害が有意に少なかった。この要因として、高度な低侵襲性に伴う術後疼痛の最小化が考えられる。疼痛や精神的ストレスの軽減が交感神経の過緊張を抑制し、循環動態安定に寄与した可能性が高い7-9)。さらに、大動脈遮断時間等の短縮による全身への侵襲軽減も、円滑な離床開始を後押ししたと考えられる10)11)。一方で、第一報では顕在化しなかった術中出血量の有意な増加が今回新たに認められた。これは導入初期特有の術者熟練度や機器特性等の影響が推察される12-15)。しかし、これが術後の離床遅延に直結せず、最終的に術後在院日数の有意な短縮が得られた。これは、術中の迅速な輸液・輸血管理により術後の循環動態が保たれ早期離床が可能となり、術後在院日数の有意な短縮が得られたと考える。
【結語】
症例追加にて阻害要因がより明確になり、Robotic MVPの特性に応じた離床プロトコルの有用性が示された。
【目的】
近年、心臓外科手術後の早期離床は術後合併症の予防や術後在院日数短縮に寄与するとの報告がある1-3)。当院では2020年よりMinimally Invasive Cardiac Surgery Mitral Valve Plasty(以下MICS MVP)が施行され、2023年5月よりRobotic Mitral Valve Plasty (以下Robotic MVP)を導入した。豪州での先行研究によるとMICS MVPと比較し低侵襲のRobotic MVPは安全性や有効性が示唆されており、早期離床の安全性も確立されてきている4-6)。一方でRobotic MVP導入初期の離床状況・実態の経過においては未だ少ないのが現状である。2024年の第一報に続き、今回新規60症例を追加し、術後48時間以内の離床状況と阻害要因を再検討し第二報として報告する。
【方法】
2022年1月〜2026年4月に当院でMVPを施行した80名(Robotic群40名、MICS群40名)を対象とした。診療録より患者背景、経胸壁心エコー、術中指標(麻酔時間・挿管時間・大動脈遮断時間・自己心肺時間、出血量、in-outバランス)、術後経過(挿管時間・ICU在室日数・術後在院日数・立位・歩行獲得日数)、手術前後の身体機能(FIM・SPPB・握力・膝伸展筋力)、離床阻害因子の有無を後方視的に調査した。統計ソフトは、EZRを使用し統計解析は2群間の比較にStudent-Ttest、Mann-Whitney Utest、χ2‐testを用い、有意水準は5%とした。
【結果】
離床阻害因子(血圧不安定)、麻酔・大動脈遮断時間、術中出血量、術後在院日数、術前後4m歩行において有意な群間差を認めた(以下、Robotic MVP群 vs MICS MVP群の順。連続変数は中央値[四分位範囲]、または平均値±標準偏差で表記)。離床阻害因子は30% vs 57%(p<0.02)であり、うち血圧不安定(平均血圧65mmHg未満)が3% vs 17%(p<0.05)とRobotic MVP群で低値を示した。術中指標では、麻酔時間が436 [393-476] vs 477 [417-549]分(p<0.04)、大動脈遮断時間が140 [121-170] vs 162 [135-200]分(p<0.03)、術中出血量が1250 [908-1581] vs 620 [413-1120]ml(p<0.001)であった。術後経過・機能面では、術後在院日数が5 [4-6.25] vs 7 [4-12]日(p<0.001)、術前4m歩行が3.98±0.15 vs 3.75±0.54秒(p<0.013)、術後4m歩行が3.97±0.15 vs 3.8±0.15秒(p<0.043)であった。
【考察】
第一報においてRobotic MVP群は離床阻害因子が少ない傾向を示した。今回新規症例を追加し分析した結果、特に血圧不安定による阻害が有意に少なかった。この要因として、高度な低侵襲性に伴う術後疼痛の最小化が考えられる。疼痛や精神的ストレスの軽減が交感神経の過緊張を抑制し、循環動態安定に寄与した可能性が高い7-9)。さらに、大動脈遮断時間等の短縮による全身への侵襲軽減も、円滑な離床開始を後押ししたと考えられる10)11)。一方で、第一報では顕在化しなかった術中出血量の有意な増加が今回新たに認められた。これは導入初期特有の術者熟練度や機器特性等の影響が推察される12-15)。しかし、これが術後の離床遅延に直結せず、最終的に術後在院日数の有意な短縮が得られた。これは、術中の迅速な輸液・輸血管理により術後の循環動態が保たれ早期離床が可能となり、術後在院日数の有意な短縮が得られたと考える。
【結語】
症例追加にて阻害要因がより明確になり、Robotic MVPの特性に応じた離床プロトコルの有用性が示された。
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