講演情報

[O-5-01]超低出生体重児における簡易的座位保持装置(牛乳パックチェア)の有効性

*原田 旭1、塩屋 雄一1、岩下 大志1 (1. やまびこ医療福祉センター リハビリテーション部)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

幼児初期、超低出生体重児、発達支援

本学会にて発表するにあたり,保護者に口頭にて説明し同意を得たのち,やまびこ医療福祉センター倫理委員会の承認を得た.(承認番号:A-2026004)

【はじめに】超低出生体重児は,幼児初期から運動面,精神面の両方で発達が心配されるケースが多く(豊田,2015),保育園などの集団生活における食事の困難さ(高橋,2013),就学後の学習障害や心理的問題を抱える児の多さから,新生児期から介入できる手段を探ることが課題である(城所,2009).近年,幼児後期以降の食事や学習面の問題は,座位姿勢の崩れが原因であるとされ,療育施設等で座位姿勢の環境が見直されるようになってきている.ただ,幼児初期における座位保持姿勢に対する支援介入の報告例は見当たらない.今回,幼児初期の超低出生体重児に対して,今後の離乳食や机上活動を円滑に促進させる目的で,牛乳パックをリサイクルして座位保持用の椅子(以下,牛乳パックチェア)を作製した.幼児用の椅子(豆椅子)と牛乳パックチェアにおける着座時の座面の接触圧力を比較し検証したので報告する.【対象】症例:2歳2か月 女児(在胎22w6d体重429g Aps 6/8) 粗大運動レベル:11か月レベル(伝い歩き),新版K式発達検査2020:DQ=37(修正年齢;45),Sensory:感覚過敏(+),感覚回避(+)【方法】牛乳パックチェアは,対象児の採寸結果を基に,牛乳パックを使用して,座面,背面,両側面を成形し作製した.豆椅子と牛乳パックチェアの各課題遂行(絵本めくり)時の座面に対する最高圧力と,重心移動の推移を,携帯型接触圧力測定器(Palm-Q;株式会社ケープ)を使用して測定した.また測定時の座位保持姿勢も観察した.データ分析は,豆椅子と牛乳パックチェアのデータを2群に分け,対応のあるt検定を用いて,群間比較を行った.なお有意水準(α値)はα=0.05とし,統計処理にはR-Ver4.3.2を使用した.【結果】座面部接触圧力は,全体の平均値は,豆椅子が98.8±27.5mmHg,牛乳パックチェアでは63.8±15.9mmHgであった.25~75%タイル値は,豆椅子が78.0~116.7mmHg,牛乳パックチェアでは51.9~74.9mmHgであった.それぞれを比較した結果,対応のあるt検定にて牛乳パックチェアの方が,接触圧力が有意に小さかった(p<0.01).座位保持中の観察では,豆椅子の方で足組みなど足を動かす動作が頻繁にみられた.【考察】本研究では,超低出生体重児1例に対する座位保持支援としての牛乳パックチェアの有効性を検証した.幼児が使用する椅子として代表的な豆椅子と比較した結果,牛乳パックチェアのほうが,有意に接触圧力が小さかった.この接触圧力が小さいのは,座骨結節部に圧力が左右均等にかかることを意味し,殿部と座面との接触面積が広くなることで,座位の未熟さを補い,下肢・体幹の姿勢制御の促進につながると考える.一方,豆椅子では,本症例は座位が未熟で不安定なため,接触圧が一点に集中し,この圧を分散させるために,下半身が活発に動いていたと推察する.このことが,食事や学習の困難感に影響を与えていると考える.このように牛乳パックチェアを活用して座位保持能力を高めることで,両上肢の操作性向上による認知面へのアプローチや,頭頚部の安定による摂食嚥下面へのアプローチなど,多職種と連携した発達支援が期待される.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン