講演情報
[O-5-03]脛骨近位端偽関節に対する支柱付き膝サポーター介入により歩行安定性が改善した一例
*友岡 佑太1,2、田中 創1,3、梶原 康宏1,3、谷口 隆憲4、森 詩乃5、西上 智彦2,6 (1. 福岡整形外科病院 リハビリテーション科、2. 県立広島大学 大学院 総合学術研究科 保健福祉学専攻、3. 福岡整形外科病院 臨床研究センター、4. 福岡国際医療福祉大学 医療学部 理学療法学科、5. 福岡整形外科病院 整形外科、6. 県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 理学療法学コース)
キーワード:
偽関節、膝サポーター、動作解析
倫理的配慮のもと,対象者へ十分な説明を行い,本研究への協力について同意を得た.また,本研究は当院の倫理委員会による承認を得た上で実施した.
【症例紹介】本症例は80歳代後半の男性である.X-1.5年に自転車転倒により左脛骨近位端骨折を受傷したが,手術を希望せず保存加療されていた.受傷後1年半が経過した後も疼痛と膝不安定感により,転倒を繰り返していた.X日に当院を受診し,左脛骨近位端偽関節と診断された後,X+2日に腰下肢痛を認め,当院へ入院となった.本症例では,偽関節に伴う前額面不安定性や疼痛には代償的な筋共収縮の関与が考えられた.また,膝サポーターは不安定性改善を目的に使用されるものの,偽関節症例での有効性は明らかでない.今回,左脛骨近位端偽関節による歩行時の膝不安定性を呈した症例に対し,支柱付き膝サポーターを用いた介入により主訴および歩行機能の改善を認めたため報告する.【評価結果と問題点】入院時のX線およびCT画像では,左脛骨近位端に骨折線の残存,仮骨形成不良,骨折端硬化像を認め,偽関節所見を呈していた.立位下肢アライメントでは,%MAは右49%,左-25%であり,左膝に内反変形を認めた.左膝関節可動域は伸展−5°,屈曲135°であり,左下肢筋力はいずれもMMT5であった.さらに,入院後に第4腰椎椎体骨折および腸腰筋損傷と診断された.X+9日に腰部軟性コルセット装着後から腰下肢痛は軽減したものの,歩行時の左膝不安定感および偽関節部痛が残存していた.装具未装着での歩行評価では,左膝不安定感と主観的膝信頼感の低下を認め,転倒リスク軽減と歩行安定性を目的に,主治医へ支柱付き膝サポーターの使用を提案した.【介入内容】主治医に確認のもと,X+16日より,左膝関節に支柱付き膝サポーター(エクスエイドニーACL,シグマックス社)を装着した.装着後は主観的な歩行安定性の向上を認め,杖歩行へ移行した.X+30日に装具装着の有効性を評価した.評価は装具除去時および装着時の2条件下で実施し,10m歩行速度,疼痛VAS,主観的膝信頼感VASを測定した.さらに,膝安定性の指標として脛骨外側加速度(VT),膝安定性に対する代償戦略指標として共収縮(CCR)を比較した.VTは歩行中に左脛骨近位部へ装着した慣性センサーにより測定し,立脚初期における外側加速度最大値とした.CCRは表面筋電図を用い,内側筋CCRは内側広筋と半腱様筋,外側筋CCRは外側広筋と大腿二頭筋を対象に,立脚期と遊脚期で算出した.【結果】装具未装着時は,10m歩行8.5秒,疼痛VAS23mm,主観的膝信頼感VAS50mm,VT17.6m/s²,CCRは,立脚期において内側筋58.4%,外側筋15.5%,遊脚期において内側筋CCR62.8%,外側筋CCR45.3%であった.一方,装具装着時は10m歩行7.6秒,疼痛VAS10mm,主観的膝信頼感VAS100mm,VT14.2m/s²であった.CCRは,立脚期では内側筋67.2%,外側筋16.8%と増加した一方,遊脚期では内側筋40.4%,外側筋11.7%へ低下した.X+39日に杖歩行にて自宅退院となった.さらに,X+3か月時のX線およびCT画像では,偽関節部に骨連続性と骨癒合を認めた.【結論】左脛骨近位端偽関節に伴う前額面不安定性を有する症例に対し,装具未装着での歩行評価を踏まえ,主治医へ提案のうえ,支柱付き膝サポーターを併用した保存的介入を実施した.その結果,歩行速度の改善,疼痛軽減,VT低下,遊脚期における過剰な筋共収縮の軽減を認め,歩行時安定性向上に寄与した可能性が示唆された.
【症例紹介】本症例は80歳代後半の男性である.X-1.5年に自転車転倒により左脛骨近位端骨折を受傷したが,手術を希望せず保存加療されていた.受傷後1年半が経過した後も疼痛と膝不安定感により,転倒を繰り返していた.X日に当院を受診し,左脛骨近位端偽関節と診断された後,X+2日に腰下肢痛を認め,当院へ入院となった.本症例では,偽関節に伴う前額面不安定性や疼痛には代償的な筋共収縮の関与が考えられた.また,膝サポーターは不安定性改善を目的に使用されるものの,偽関節症例での有効性は明らかでない.今回,左脛骨近位端偽関節による歩行時の膝不安定性を呈した症例に対し,支柱付き膝サポーターを用いた介入により主訴および歩行機能の改善を認めたため報告する.【評価結果と問題点】入院時のX線およびCT画像では,左脛骨近位端に骨折線の残存,仮骨形成不良,骨折端硬化像を認め,偽関節所見を呈していた.立位下肢アライメントでは,%MAは右49%,左-25%であり,左膝に内反変形を認めた.左膝関節可動域は伸展−5°,屈曲135°であり,左下肢筋力はいずれもMMT5であった.さらに,入院後に第4腰椎椎体骨折および腸腰筋損傷と診断された.X+9日に腰部軟性コルセット装着後から腰下肢痛は軽減したものの,歩行時の左膝不安定感および偽関節部痛が残存していた.装具未装着での歩行評価では,左膝不安定感と主観的膝信頼感の低下を認め,転倒リスク軽減と歩行安定性を目的に,主治医へ支柱付き膝サポーターの使用を提案した.【介入内容】主治医に確認のもと,X+16日より,左膝関節に支柱付き膝サポーター(エクスエイドニーACL,シグマックス社)を装着した.装着後は主観的な歩行安定性の向上を認め,杖歩行へ移行した.X+30日に装具装着の有効性を評価した.評価は装具除去時および装着時の2条件下で実施し,10m歩行速度,疼痛VAS,主観的膝信頼感VASを測定した.さらに,膝安定性の指標として脛骨外側加速度(VT),膝安定性に対する代償戦略指標として共収縮(CCR)を比較した.VTは歩行中に左脛骨近位部へ装着した慣性センサーにより測定し,立脚初期における外側加速度最大値とした.CCRは表面筋電図を用い,内側筋CCRは内側広筋と半腱様筋,外側筋CCRは外側広筋と大腿二頭筋を対象に,立脚期と遊脚期で算出した.【結果】装具未装着時は,10m歩行8.5秒,疼痛VAS23mm,主観的膝信頼感VAS50mm,VT17.6m/s²,CCRは,立脚期において内側筋58.4%,外側筋15.5%,遊脚期において内側筋CCR62.8%,外側筋CCR45.3%であった.一方,装具装着時は10m歩行7.6秒,疼痛VAS10mm,主観的膝信頼感VAS100mm,VT14.2m/s²であった.CCRは,立脚期では内側筋67.2%,外側筋16.8%と増加した一方,遊脚期では内側筋40.4%,外側筋11.7%へ低下した.X+39日に杖歩行にて自宅退院となった.さらに,X+3か月時のX線およびCT画像では,偽関節部に骨連続性と骨癒合を認めた.【結論】左脛骨近位端偽関節に伴う前額面不安定性を有する症例に対し,装具未装着での歩行評価を踏まえ,主治医へ提案のうえ,支柱付き膝サポーターを併用した保存的介入を実施した.その結果,歩行速度の改善,疼痛軽減,VT低下,遊脚期における過剰な筋共収縮の軽減を認め,歩行時安定性向上に寄与した可能性が示唆された.
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