講演情報

[O-5-04]当院における脊椎椎体骨折入院患者の受傷機転と骨密度の関連について(第一報)

*小濱 泰斗1、山田 大輔1、岩城 孝輔1、谷口 ひかる1、海江田 光裕2、海江田 光祥2 (1. 医療法人吉野会 はやと整形外科 リハビリテーション部、2. 医療法人吉野会 はやと整形外科 整形外科)
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キーワード:

骨密度、脆弱性骨折、受傷機転

【倫理的配慮】 本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、入院時に紙面で本人または家族へデータの提供および研究への協力を説明し同意を得た上で実施した。また個人が特定されないよう情報の取り扱いに十分に配慮した。

【背景】
脊椎椎体骨折は骨粗鬆症に起因する代表的な脆弱性骨折であり、その発生には骨密度低下に加え、転倒などの外力が関与するとされている。しかし臨床においては、明らかな転倒などのイベントを伴わずに発生する椎体骨折も少なくなく、骨折発生機序には骨質の脆弱性と外力の双方が影響していると考えられる。一方で、骨折の受傷機転と骨密度との関連については十分に検討されていない。
【目的】
当院における脊椎椎体骨折入院患者を対象に、受傷機転(転倒の有無)と骨密度との関連を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
対象は、2025年10月から2026年3月の間に脊椎椎体骨折の診断で当院へ入院し、DXA法による骨密度測定が実施されていた患者25例(女性24名:男性1名)とした。骨密度は入院から直近の大腿骨近位部および腰椎の%YAM値を用いた。受傷機転に関してはカルテ内の受診時問診票や診療録から転倒の有無を確認し、転倒骨折群(転倒群)13例と非転倒骨折群(非転倒群)12例の2群に分類した。除外基準は高エネルギー外傷および病的骨折で椎体骨折と診断されたもの、%YAM値のデータに欠損があったものとした。2群間の比較にはMann-Whitney U検定を用いた。また、骨粗鬆症(%YAM値70%以下)の割合についてはFisherの正確確率検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。連続変数は中央値(四分位範囲)で示した。
【結果】
年齢は転倒群:81歳[78-90]、非転倒群:82歳[76.5-85.3]であった。骨密度においては大腿骨近位部で転倒群:68.0%[66.0-82.0]、非転倒群:70.5%[64.8-81.0](p=0.74)、腰椎で転倒群:83.0%[66.8-85.3]、非転倒群:73.5%[69.8-76.3](p=0.66)であり、2群間に有意差は認めなかった。骨粗鬆症の割合については腰椎(p=1.00、オッズ比0.80)、大腿骨近位部(p=0.42、オッズ比0.45)ともに有意差を認めなかった。
【考察】
今回の結果より、受傷機転の違いと骨密度の関連および骨粗鬆症の割合においても有意差は認められなかった。しかし、骨粗鬆症の割合では大腿骨において転倒群でオッズ比0.45と中等度の差を示唆する結果であった。これは腰椎では変性の影響などにより骨密度が過大評価される可能性があることや大腿骨近位部は荷重骨であり転倒との力学的関連がより直接的であるためと考えられる。また両群とも骨粗鬆症域から骨量減少域に分布しており、骨密度のみでは受傷機転の違いを説明するには不十分である可能性が示唆された。そのため椎体骨折の評価および骨折リスクの検討においては骨密度や受傷機転のみならず骨質や身体機能、生活背景など多面的に評価することが重要であると考えられる。
【まとめ】
本研究では受傷機転による骨密度の関連について有意差は認められなかったが、本研究では症例数が少なく統計学的検出力が十分でない可能性がある。骨密度低下は受傷機転に関わらず椎体骨折の発生に関与している可能性が示唆されたため、今後は症例数を増やし評価項目を吟味したうえで研究を進めていきたい。

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