講演情報

[O-6-04]ロボティックアーム手術支援システム導入前後における人工股関節全置換術の身体機能と患者満足度の比較

*中道 雄輔1、下田 啓介1 (1. 米盛病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

ロボティックアーム手術支援システム、THA、患者満足度

本研究は、当院倫理委員会の承認を得て実施した。なお、ヘルシンキ宣言に基づき、対象者の個人情報に配慮し、匿名化して実施した(承認番号:YR2547)

【目的】
 近年、人工関節手術では手術精度の向上を目的としてロボティックアーム手術支援システムの導入が進んでいる。一方、人工関節手術の評価では患者報告アウトカム(patient-reported outcome measures:PROMs)の重要性が高まっており、患者の生活機能や主観的健康状態を反映する指標として重視されている。しかし、ロボティックアーム手術支援システムがPROMsに与える影響についての報告は限られている。
 そこで本研究では、当院で人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)が施行された症例を対象に、ロボティックアーム手術支援システム導入前後における術後早期の身体機能およびPROMsの比較検討を行った。

【方法】
 対象は当院にて原発性または続発性股関節症に対して同一術者によりTHAを施行された432例とし、ロボティックアーム手術支援システム導入前群94例、導入後群338例の2群に分類した。主評価項目は術後4週のJapanese Hip Evaluation Questionnaire(JHEQ)とした。副次評価項目は術後3週のJHEQ、Visual Analog Scale(VAS)、Timed Up and Go test(TUG)、Berg Balance Scale(BBS)とし、それぞれ術前、術後3週、術後4週に測定した。統計解析は術後各評価値を目的変数、群(導入前群・導入後群)を説明変数、術前値および年齢を共変量とした線形回帰分析を実施した。
 患者背景の群間比較には、連続変数は対応のないt検定またはMann–WhitneyのU検定、カテゴリ変数はχ²検定を用いた。統計解析にはEZRを使用し、有意水準は5%とし、両側検定とした。

【結果】
 JHEQは、術後3週および4週ともに導入後群で有意に高値を示した(術後3週:調整平均差10.8点、95%信頼区間6.6–15.0点、p<0.001;術後4週:調整平均差10.7点、95%信頼区間6.8–14.7点、p<0.001)。VASおよびTUGについても同様に術後3週および術後4週ともに導入後群で有意な差を認めた。一方、BBSについては術後3週および4週ともに群間差は認められなかった。

【考察】
 本研究では、ロボティックアーム手術支援システム導入後のTHA症例は、導入前症例と比較して術後早期のPROMsが有意に良好であった。さらに、術後疼痛の軽減および歩行能力の改善も認められた。
 PROMsは人工関節手術の臨床的成功を評価する重要な指標であり、近年その重要性が高まっている。本研究において導入後群でJHEQが高値を示したことは、ロボティックアーム手術支援THAが患者の生活機能や主観的健康状態の改善に寄与する可能性を示唆する。
 術後疼痛の軽減については、高精度なインプラント設置により股関節周囲軟部組織への過度な張力やインピンジメントが回避された結果と考えられる。疼痛の軽減は活動性の向上をもたらし、結果として歩行能力の改善にも寄与したと推察される。
 これまでのロボティックアーム手術支援THAに関する研究は、インプラント設置精度などの手術技術的指標を中心とした報告が多く、PROMsや身体機能回復といった臨床的アウトカムとの関連についての検討は十分とはいえない。本研究はPROMsを主評価項目として検討し、ロボティックアーム手術支援THAの臨床的意義を患者視点から示した点に意義がある。

【まとめ】
 ロボティックアーム手術支援システムはTHA術後早期の患者報告アウトカムおよび身体機能の改善に寄与する可能性が示唆された。

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