講演情報

[O-6-05]末期変形性股関節症患者における脊柱アライメント異常と股関節機能および身体機能との関連

*大段 喬1、田中 創1,2、村上 剛史3、松田 匡弘3、徳永 真巳3 (1. 福岡整形外科病院 リハビリテーション科、2. 福岡整形外科病院 臨床研究センター、3. 福岡整形外科病院 整形外科)
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キーワード:

変形性股関節症、Sagittal Vertical Axis(SVA)、身体機能

ヘルシンキ宣言に基づき、全ての対象者には本研究の研究内容、リスク、参加の自由等を十分に説明した上で書面による同意を得た。また、本研究は当院の倫理委員会による承認を得た上で実施した。

【目的】変形性股関節症(股OA)患者では、脊柱アライメント異常が歩行能力や身体機能低下に関連することが報告されている。特に、Sagittal Vertical Axis(SVA)は、脊柱矢状面アライメントを反映する指標として用いられ、姿勢異常や運動機能低下との関連が示されている。しかし、末期股OA患者におけるSVAと股関節機能および身体機能との関連については十分に明らかではない。そこで本研究では、SVAのカットオフ値を用いて2群に分類し、股関節機能および身体機能との関連を検討することを目的とした。
【方法】対象は、人工股関節全置換術の適応となった末期股OA患者156例(男性35例、女性121例、平均年齢67.7±9.6歳、BMI 24.2±3.6 kg/m²)とした。術前の立位全脊椎単純X線画像からSVA(C7椎体中央から下ろした垂線と仙骨後上縁との距離)を計測し、SVAのカットオフ値40mmに基づき、脊柱アライメント正常群と異常群に分類した。疼痛関連因子として安静時および動作時の疼痛強度(VAS)を評価した。股関節機能として、股関節可動域 (ROM) および股関節外転筋力 、内外旋筋力をHand Held Dynamometerを用いて測定した。身体機能として10m歩行速度を測定し、能力障害の評価にはOxford Hip Score (OHS) を用いた。統計解析には、各評価項目の2群間比較にWelchのt検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】SVA正常群は74例(15.9±13.8mm)、異常群は82例(70.3±28.4.mm)であった。異常群では、伸展ROM(p=0.005)、内旋ROM(p=0.036)、外転筋力(p=0.042)が有意差をもって低値を示し,10m歩行速度(p=0.001)は高値を示した。一方、その他の安静時VAS(p=0.529)、動作時VAS(p=0.256)、股関節屈曲ROM(p=0.425)、外転ROM(p=0.07)、内転ROM(p=0.194)、外旋ROM(p=0.237)、外旋筋力(p=0.527)、内旋筋力(p=0.338)およびOHS(p=0.372)には有意差を認めなかった。
【考察】本研究では末期股OA患者の52.6%(82/156例)に脊柱アライメント異常を認めた。SVA異常群では、股関節伸展・内旋ROMおよび股関節外転筋力の低下に加え、歩行速度低下を認めた。SVA増大は体幹前傾を反映する指標であり、骨盤後傾や股関節屈曲位による代償姿勢を伴うことが報告されている。そのため、脊柱アライメント異常が股関節機能や歩行能力低下に関連した可能性が考えられる。一方で,疼痛および能力障害には有意差を認めなかったことから、SVA増大は主観的症状よりも客観的身体機能と関連する可能性が示唆された。
【まとめ】
末期変形性股関節症患者において、52.6%にSVA増大を伴う脊柱矢状面アライメント異常を認めた。SVA増大は股関節機能および身体機能に関連していた。一方で、主観的機能評価との関連は認めなかった。SVA増大は主観的症状よりも客観的身体機能に影響を及ぼす可能性が示唆された。

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