講演情報

[O-7-01]地域在住高齢者における運動習慣と生活機能との関連 ―基本チェックリスト各領域に着目した横断研究―

*酒井 祥平1 (1. 医療法人伴帥会 愛野記念病院)
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キーワード:

地域在住高齢者、運動習慣、生活機能

対象者にはヘルシンキ宣言の趣旨に沿い,本研究の主旨及び目的について書面にて説明し,同意を得ている.

【はじめに,目的】
我が国では高齢化の進行に伴い,要介護状態の予防および健康寿命の延伸が重要な課題である.その対策の一つとして,運動習慣の確立が挙げられ,心身機能の維持・向上に寄与することが報告されている.しかし,活動や参加を含む生活機能との関連については十分に検討されていない. そこで本研究では,地域在住高齢者を対象に,運動習慣と基本チェックリスト(以下KCL)で評価される生活機能との関連について明らかにすることを目的とした.
【方法】
本研究は横断研究である.対象は地域在住高齢者198名のうち,65歳未満の者,データ欠損がある者を除外した185名(平均年齢81.4±5.9歳,男性35名,女性150名)とした.調査項目は年齢,性別,BMI,同居者の有無,KCL,運動習慣とした.KCLは各領域(日常生活関連動作,運動機能,栄養状態,口腔機能,閉じこもり,認知機能,抑うつ)の得点を算出し,得点が高いほど機能低下を示す連続変数として用いた.運動習慣は国民健康・栄養調査の定義に基づき,「1回30分以上の運動を週2回以上実施し,1年以上継続している」とし,該当者を運動習慣あり,それ以外を運動習慣なしとした.統計解析は,KCLの各領域の得点を従属変数,運動習慣の有無を独立変数とし,年齢,性別,BMI,同居者の有無を共変量として調整した重回帰分析(強制投入法)を実施した.有意水準は5%未満とした.
【結果】
共変量で調整した重回帰分析の結果,運動習慣を有する者は,KCLにおける日常生活関連動作(B=-0.61,95%CI=-0.89,-0.32,p<0.01),運動機能(B=-0.40,95%CI=-0.76,-0.04,p<0.05),閉じこもり(B=-0.17,95%CI=-0.28,-0.07,p<0.01),抑うつ(B=-0.57,95%CI=-0.89,-0.24,p<0.01)と有意な負の関連が認められた.一方,栄養状態,口腔機能,認知機能とは有意な関連を認めなかった.
【考察】
本研究では,運動習慣はKCLで評価される複数の生活機能領域と関連することが示された.特に日常生活関連動作や閉じこもりとの関連は,運動の継続が外出頻度や交流機会の増加につながることが報告されている.このことから,運動習慣は運動機能の維持に加え,社会参加の促進を通じて手段的・社会的ADLの自立や閉じこもりの予防につながっていると考えられる.また,抑うつとの関連については,運動習慣が心理的健康の維持に寄与している可能性が示唆され,先行研究を支持する結果であった.一方で,栄養状態,口腔機能,認知機能とは関連を認めなかったことから,これらの機能は運動習慣以外の要因の影響を受ける可能性があると考えられる.以上より,運動習慣は高齢者の身体的・心理的・社会的側面を含む生活機能の維持に関連していることが示唆された.なお,本研究は横断研究であるため,因果関係については今後の縦断研究による検討が必要である.

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